アイリス・チュウ&鄭仲嵐著、文藝春秋刊
オードリー・タンはハッカーだが、35歳の若さで台湾政府のデジタル担当の要職に就任し、画期的な業績をあげ、世界にその名が知られることになったそうな。(私は知りませんでした)
IQが極めて高く、幼少期から、その天才ぶりを発揮するも、普通の人に適した学校教育に適応できなかったことから周囲と軋轢が生じて苦しんだ。
幸いにも、ご両親ともにインテリで、端野才能を認めた。特に母親がタンの才能を育み、周囲との軋轢を和らげ庇護した為、苦しみながらも成長していった。
中学生の時点で高校へ進学せずに独学で、あるいは才能豊かな人々との交流によって知識や見識を高めていった。その主な業績は下記のURLの通りです。
天才と呼ばれる人々は、周囲が奇異に感じる言動をする人が多いと思いますが、本書を読むと、そうならざるを得ない理由の一端が理解出来ます。しかし、タンは、幾多の困難を乗り越え、周囲の人々と良好なコミュニケーションを取る方法を編み出した。コミュニケーション能力は、周囲の状況を良い方向に変化させる力を持つに至ったようです。更に、IT技術を駆使して、人々の意見を合理的かつ生産的に集約・編集し、政策に反映していく手法が本書に示されています。
超人的な能力の一端が本書に紹介されています。膨大な資料を今日のうちに読破し頭に入れる方法です。ぱらぱらとページをめくりながら、ページを眺め最後までめくったら眠ると、翌朝にはすべて頭に入っているとのこと。へぇ~、ひぇ~。
こうしたことが紹介された後に、彼が台湾のひまわり学生運動で、仲間達と成した活動が紹介されています。それは、かつてリベラルと称せられた行動そのもので、今日の原理主義的なリベラルとは全く異なった正しい行いと感じました。人の能力が正しく生かされた優れた例であると思います。
本書の最後に、台湾が、コロナウイルスにどのように立ち向かったかが詳しく述べられています。タンの生き方にも感動を覚えましたが、台湾の人々がコロナウイルスに立ち向かった姿が素晴らしい。高い民度としっかりした行政組織の構築、そして原理原則に従った行政運営が見事です。
国会で繰り広げられる無意味な追求とワイドショーの醜態は、何とも見苦しくて正視に耐えません。これに代わる優れた手法が本書に示されています。政府は適切な対策を施す上で、国民の感情、意見を広く把握し、それを分析して、国民に知らせるべきことを選び正しく伝える。情報と意見をIT技術を使って的確かつ正確に集約し行政運営に反映すると言うことです。その実例が台湾で既に行われていることは、大きな励みになると思います。
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○オードリー・タン
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