読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

道路の日本史 古代駅路から高速道路へ

2015年08月17日 14時42分32秒 | ■読む
武部健一著、中公新書刊
著者は昭和元年に生まれ京都大学を卒業後、建設省に入省後道路整備に従事し、日本道路公団で高速道路の建設に尽力されたとのことです。高速道路の建設に伴い、古代の道路遺跡とぶつかることがあり、そこから独自に研究を進められたとのことです。
本書では、ローマ帝国と中国の秦代
の道路から説き起こし、次に日本の律令時代に中国の道の整備に範を取り、統治の装置として大規模な道路網を整備したことを説明しています。やがて中世に至り、こうした道が廃絶し、戦国時代を経て織田信長、豊臣秀吉の時代に、道路網が再び整備され経済が発展した。更に徳川時代から、明治、大正、昭和を経て現代までの道の有り様の変遷を示し、最後に、今日的な課題と提言を示しています。
20代に、歴史書でローマ帝国が整備した道の構造を知り相当驚きました。下記URLにもありますが、最大で2m程も掘り下げて砕石などを入れたというのです。しかも、2台の馬車が行き違えるよう、車道だけで4mあったというのですから。そして、道路が社会経済に多大な貢献をすることも知りました。その歴史書によれば、道路などの社会基盤が痛み、ローマ帝国の衰微に拍車が掛かったとのことでした。それ以来私は、道路だけで無く、治水、水道などの社会基盤が社会の運営にとって最も大きなファクターであると信じるようになりました。
本書は、そうした私の関心に対し、日本の歴史との関係で道路の有り様がどのように変遷したかを示しており、やはり社会が安定し、社会基盤が十分に整備されることによって、国家や地域が反映することが示されています。車社会になって、従来の中心市街地が対応できずに衰退したこともうなずけます。
国の技術系のキャリア官僚であった著者の文章は、お人柄を反映してか、気取らず平易で格調高く、多くの人にとって参考となる著書であると思います。
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URL => https://ja.wikipedia.org/wiki/ローマ街道#.E9.81.93.E8.B7.AF.E3.81.AE.E6.A7.8B.E9.80.A0
     https://ja.wikipedia.org/wiki/古代道路
     https://ja.wikipedia.org/wiki/日本の古代道路
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評価は4です。

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