
前間孝則著、新潮文庫刊
前間さんの著作は何冊か読みましたが、困難な開発に挑む技術者達の苦闘が主要なテーマでした。
本書でも、ホンダジェットの開発に。30年に亘って全身全霊を尽くした開発者の物語が主になっています。
その一方で、日本の航空機開発を巡る環境の変遷と世界の趨勢、ホンダの企業精神、開発者同士の軋轢など、立体的に描いており、重厚かつ濃厚な物語です。
時折見掛けるホンダジェットの報道で、そのあらましを知ってはいましたが、その開発が「偉業」と呼ぶに相応しいものであるとは知りませんでした。
三菱のジェット開発は上手く行っていないそうですが、本書を読むと、民間航空機の開発は非常に困難であり、販売開始までの様々なハードルを突破しなければならず、最終的には、日本だけで無くアメリカやEUの型式正目を取得することが必須とのことです。
ホンダジェットは、機体の開発をアメリカで行う選択をしました。これが、三菱との大きな違いであると思います。
また、自動車メーカーであることが、ホンダジェットの商品性を高めることにつながったそうです。
30年という長い時間を、困難を担って歩み続けた藤野道格さんの苦闘は、想像を絶します。
また、開発の過程を多面的に描いた前間さんの手腕に脱帽しました。
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○前間孝則 ○HondaJet ○ホンダの紹介ページ
○藤野道格 ○型式証明
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評価は5です。
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