読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

武家用心集

2008年04月24日 06時15分06秒 | ■読む
乙川優三郎さん(集英社文庫)の作品です。同氏の「屋島(おくう)」を読んでから2年振りでした。2003年8月刊の8編の短編を収録しています。乙川さんの作品に触れたのは、カセット文庫の「生きる」が初めてでした。ほぼ4年前でしょうか。公私ともに辛い時期だったせいもあり、生きることの意味や厳しさを考えさせられたその作品に涙しました。(この作品が乙川さんの直木賞受賞作品です)
時代劇の作品では、山本周五郎の作品を二十歳頃、三十代半ば、四十歳過ぎの三度読み、その度に同じ作品が異なった意味や深さを教えてくれました。読み手の精神世界の有り様で受け止め方が変わるのですね。
乙川さんの作品は、山本周五郎や藤沢周平と比較されますが、私は、山本周五郎の作品に近いように感じます。乙川さんの作品は、言葉が美しく、登場人物の心の移ろいが丁寧に描かれているように感じます。また、登場人物の設定とストーリーがごく自然に解け合っており、結末がすっと心に入ってきて、何ともいえない余韻があります。こんな素晴らしい作品を書く人はどんな人なのか、と考えさせられます。
作品全体から氏の主張を感じることは、まだ出来ていませんが、他の作品も何作か買いためてあるので、この謎解きも楽しみです。
評価は5です。

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