垣根涼介著、新潮社刊
久々の垣根さんの著書です。「君たちに明日はない」シリーズの3作目で、4つの物語が収録されています。正直、読み始めて少しがっかりしました。少しだれているかも、と思いました。しかし、次第に垣根さんの良さが発揮されて、3作目で涙し4作目で明るい光に包まれたような、心持ちになりました。また、リストラを請け負った会社が属する業界の状況が丹念に取材されているようで、それぞれの業界に固有の課題や悩みが分かりやすく描かれています。
リストラ請負人が主人公という、何とも奇抜な設定のこのシリーズは、それぞれの人生に込められた思いや生き様が、物語の魅力を深めています。そして、主人公が少しずつ成長して行く様も窺えます。
すべての人が生きて行く以上、何らかの葛藤を抱えていますが、自らの来し方に思い悩む時に、垣根さんの描き出す人間像は大きな救いになります。もう一冊未読の本があり楽しみです。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/垣根涼介
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