読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

秘訣は官民一体 ひと皿200円の町おこし

2009年10月30日 06時29分09秒 | ■読む
五十嵐幸子著、小学区間101新書
宇都宮の餃子が美味しいことは、娘から聞いていましたが、市を挙げて餃子によるまちおこしをしたことは知りませんでした。
本書によれば、平成2年に、宇都宮市役所で職員の行政課題研究が行われた。その時、総務庁による「家計調査」で、『宇都宮市が『餃子の1世帯あたりの年間購入量が全国1位』であることを知り、「餃子による町おこし」を検討したことがきっかけとなって始まったとのことです。
餃子は、身近に感じられ値段も手頃でありながら、具材も様々で、中にはフカヒレ餃子などという立派な一品まであり、実に様々多彩です。また、調理法も様々で、ラーメンと同様、日本人の凝り性によって、発祥した中国よりも掘り下げられた食べ物ではないでしょうか。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/餃子
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さて、本書は、こうした餃子による町おこしの経緯を丹念かつ簡潔に辿っており、それぞれのステージでキーとなった出来事や人物を取り上げています。著者によれば、そうした経緯の中で、宇都宮が成功した理由は、節目節目でマスコミの後押しがあったという幸運が事実でありながら、要所に適切な『人』がいたことを重視しています。また、行政、観光振興団体、商工会議所、そして、当事者である商業者がそれぞれの力を出し合い、困難を打開してきたからだとしています。しかし、利害が絡むと、話がまとまらないのは良くあることで、宇都宮市の関係者、とりわけキーマンの労苦は如何ほどであったかと、読んでいて想像し胸が熱くなりました。
そうした活動が、現在でも宇都宮餃子会に脈々と引き継がれているようです。
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URL => http://www.gyozakai.com/index.shtml
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人と人とが、理解し合って何かを始めることは困難で、それを継続することはなお一層難しい。それを見事に実践していることに脱帽です。しかも、本書で『「栃木県民はPR下手」とよくいわれる・・・』と紹介しています。これは私が生まれ育ち住んでいる茨城も全く同様。茨城人は加えて自己主張が強く、団体行動に適していない、とも自覚しています。これらの県民性は、気候が温暖で住み易く、生まれてから死ぬまでのライフステージで結構恵まれているからだと思います。
評価は5です。

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