読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

物語中国の歴史

2010年05月30日 07時03分14秒 | ■読む
寺田隆信著、中公新書刊
中国の歴史は、代々の王朝の名前を覚えるだけで大変です。中学生の頃「殷、周、秦、漢、隋、唐、栄、元、明、清・・」などと覚えたのですが、実際には三国志の時代など、数多の国々の複雑な歴史である、と何となく感じていました。それぞれの時代の事柄は断片的に来たり見たりしていましたが、まとまった歴史のイメージは描けませんでした。
そこで、本書を手にしました。本書は司馬遷の「史記」の記述から始まり、最初の王朝とされる「夏」から解説が始まります。密度の高い300ページ弱の内容で、読み通すのにかなり時間を要しました。しかし、他の歴史書と異なり、読んでいて納得の行く構成であった気がします。それは後書きでの筆者の言葉として、「文明」を中心テーマとして捉えていることが要因であったと思います。例えば、中国文化の中心である儒教がどの様に扱われてきたかを基調として解説されています。しかも、決して声高ではない。読んでいて気にならなかった。そして、あとがきで著者が指摘しています。
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中国の文明は自前で生みだされた。外来の要素に影響されなかったのではないが、それは比較的軽微であった。しかも、遠い祖先が黄河の中流域、いわゆる中原に創始した文明は、時とともに周辺各地に広がり、また、子孫達の手に継承されて発展をつづけ、断絶することなく現代にいたっているのである。近年、長江流域に別系統の文明が存在したことが知られたことが知られているけれども、それも含めて、中国の人々は数千年来、一貫して文明の現役でありつづけている。この事実こそ、中国の歴史と文明が他国のそれと決定的に異なる特徴であろう。
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昨今の中国の成長や日本への敵意を思うと、素直に受け入れがたい事実ですが、中国の抗争の歴史は、人間と世界の理解にとって大いに役立つことは事実です。
評価は5です。

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