読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

大図説世界の木材 木と人間の文化誌

2016年08月24日 19時23分57秒 | ■読む
小学館刊
本書は昭和54年(1979年)に刊行された図鑑です。木の生物学的構造と機能、植生、伐採、加工、用途などを、時代の変遷を踏まえて豊富な図と写真を元に解説しています。およそ半世紀前の出版で翻訳物で当時の最新事情での解説ですから、現代では異なる内容もありますが、本書が扱っている人間の歴史の長さと幅から見ればごく一部分です。それでも、本書の出版時よりも、木材の利用技術が進んでおり、伐採の速度が加速していることは事実です。本書では、端材や切りくずの再利用によって無駄に廃棄される量が減ったとしていますが、世界的に経済活動が活発になって、木材の需要が拡大すると共に、土地の開発のための伐採が拡大している現代の状況を考えて慄然としました。
本書で印象的だったのは、産業革命前の人々が木材を手工業で加工する方法が具体的に解説してある部分でした。用材を伐採できる森の中の、小さくて貧弱な作業小屋で使うロクロの動力は、その小屋の外に自生した立木に、柔らかく丈夫な木を水平より少し斜めに固定し、その反対側を小屋の窓から屋内に入れ、その先にロープを付けてロクロに巻き付け、足で踏むペダルに結ぶ。職人はそのペダルを踏むとロープが引っ張られロクロが回る。足を離すと、引っ張られた木がしなっていたので元に戻ってロクロが反対に回る。その途中でバイト(ノミのようなもの)で回転する木材を削るのです。文章で書くと長くなりますが、イラストで簡明に解説されており、ごく短い解説ですが、智恵の見事さに感動しました。その他、外洋向けの船の建造手法や特徴も具体的で分かり易く面白かった。良書です。
評価は5です。

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