読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

DXとは何か 意識改革からニューノーマルへ

2025年02月08日 08時13分02秒 | ■読む

坂村健著、角川新書刊
「デジタルトランスフォーメーション」の略語であるDXに関する著作です。

「DXとは何か」に関する本質的な議論を分かり易く展開しています。
その前提となる「オープン化」の不可欠性を論じた後、日本人に根強く残る保守的な傾向を回避するために必要な「程度の問題」について解説しています。

日本の歴史を振り返ると、島国故に内向きになり勝ちで、明治維新と敗戦による不可避で劇的な転換期になると大きく社会構造と価値観が変化しましたが、著者が指摘しているように、ほどほどの居心地良さに安住する「煮ガエル」のように、崖っぷちに至るまで抵抗しがちです。
変わることが良いのではなく、日本以外が変わりつつある時に、その変化を見極めて必要な対応を準備することが重要なことは論を俟たないでしょう。

コロナのPCR検査の在り方を巡る大混乱を振り返ると、専門家でさえ感覚的、感情的な議論が繰り広げたことを、著者は冷静に見ています。
世の中の全ては程度問題であり、現実に取り得る手段と方法を前提にして計画し実行することが最善であると、著者はしています。
国民総背番号制度、個人情報保護法、マイナンバーカードを巡る混乱についても、広く世界を見渡してみれば対応策があるのに、行き過ぎた完全性を求めるという愚も指摘してます。
全く同感です。

エストニアという小国が、科学者出身の大統領の下でデジタル化を進め、行政経費を圧倒的に減少したとのこと。
少子高齢化が進む日本は、今後も巨大な行政組織を維持することが困難なので、デジタル化によって関連経費を圧倒的に減らすことが可能でしょう。
また、デジタル難民になりそうは高齢者などに対しては、行政業務が減少する事で生じる人的余力を、サポートする職種に転換するなどの対応を著者は示しています。

著者は、日本が経済的に転落するなどの危険な局面から逃れる最後の機会だろうとしています。
------------------
坂村健  ○DX
------------------
評価は4です。

※壁紙専用の別ブログを公開しています。
カメラまかせ 成り行きまかせ  〇カメラまかせ 成り行きまかせその2


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« beyerdynamic DT 990 PRO | トップ |   
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

■読む」カテゴリの最新記事