夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

人間はどこまで詳細な区別がつく オケのピッチ

2005年08月04日 16時10分08秒 | 芸術・文化
DATE: 08/04/2005 15:59:15

ところで7月29日にビオラダガンバとピッチの話を書きました。
ピッチを上げるのはフレットの上側に指を置くことで出来るけど、下げるときにはどうするのかねって。
バロックピッチ以前の音楽では平均律では同じピッチのF♯とG♭が違う音だったって言いました。メロディが上行するとき、下行するとき同じ音のはずのこの両者が違うピッチを持っています。それは完全な和音を求めているから。
純正な音律で完全な和音の進行を求めようとするとどうしてもどこかに無理な、汚い和音が出来てしまう、そのために適当なところで手を打ったのが平均律。
だからバロックの楽器は純正律を出せなければいけないはずなのにピッチが下げられないというのはとても不思議。そのことを質問していました。

ところできょうは別な質問
オケでは管楽器は温度が上がるにつれピッチが上がってくる。それに反して弦楽器は弦が伸びてくるので音程が下がってくる。どちらにあわせているのだろうか。どのくらいの誤差を演奏者は感じてあわせる必要を感じるのだろうかということ。
入院して何もできない弟を先生にこれらの質問をして見ましたが、答えは
ピアノなどの途中での調律ができない楽器が入るとそれにあわせる。
でも普通は管楽器に合わせてピッチを上げていくというものでした。
管楽器はピッチが合わせにくいからだと思いますけど。
でも開放弦の部分は会わせられないけど、って聞きますと、普通代え指で開放弦を避けるか、調弦するってことでした。

オケなんかで途中にオーボエが調弦用にAを出しますが、これもこのときにはもうオーボエのピッチは上がってるからってこと。それに全体があわせていくのですね。
でも特にアメリカなどのオケでは、管楽器が華やかさを求めて、高めのピッチへと移行しやすく、弦があわせるのに苦労することが多いってことも言ってました。

どれくらいのピッチの差をあわせるって事に関してはコンマ1の単位。つまり442であわせてあると442.1の差を皆調整しているわけ。

よくオーケストラを聴いていて、とても高いと感じ、団員にどのくらいのピッチでひいてるって聞くと443とかって返事が返りますけど、とてもそんな低いとこではないかなって不思議に思うって聞きますと、「あ~、それは始まりのピッチだよ」ってことで、最後にはかなり上がっているようですね。それで納得。私の音感もそんなには狂ってないってことかな。

昔人間はどれくらいの微小な差をわかるのだろうってことで日記を書いたことがあります。
例えば熟練した大工さんはミクロの単位のカンナがけが出来る。その差がわかるそうです。
長さも、例えばアンダンテで64分の一の音符で上行しているメロディがあるときに、音楽家はそれぞれの音符の長さに微妙な長短をつけていき、それがその音楽家の持ち味になります。仮に一拍が一秒の長さだと、その64分の一に更に長短を付けている、音楽家がその差を意識して付けていると言うのは、観客が解るからってことですよね。ってことは100分の一秒が解るのでしょうか。