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「一体何をしに来たのだろう」。
良く聞く話である。
勿論、その後目的を思い出すから笑い話で済む。
どうしても思い出せなくなったら話は深刻だ。
◇ ◇ ◇
一昨日の日曜日、「普天間基地の頭越し・沿岸案に反対する県民総決起大会」が宜野湾市の海浜公園で行われた。
日米両政府が合意した米軍普天間飛行場の新たな移設先、名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設案に反対すると言うのが大会の趣旨。
翌日の沖縄タイムス社説もこれに応援のメッセージを送り「移設反対は県民の総意」と断じた。
・・・が、何かおかしい。
県民が選んだ県知事はこの大会への出席を拒否した。 「移設反対」だと言いながら。
一方当事者である名護市民が選んだ名護市長もこの大会に参加していない。
名護市長の言動も良く分からない。
移設「推進派」の前市長の支持を受けて「反対派」を破って当選した筈。
それが当選したら「反対」と言う。(前市長の考えも良く分からない)
県民代表の知事も当事者の名護市長も不参加の大会が、どうして「県民の総意」になるのか。
◇ ◇ ◇
どうやら名護市長は東京に出張で大会には参加しなかったようだ。
出張の目的は勿論県民の総意「移設反対」を訴える為に・・・。
昨日6日の午後、島袋名護市長は防衛庁に額賀防衛庁長官を訪ねていた。
そして、防衛庁長官室でハタと考え込んだ。
「一体何をしに来たのだろうか」。
やっと目的を思い出しオモムロに切り出した。
「長官! 沖縄に産婦人科医を派遣してください!」。
「えっ! ここは防衛庁ですよ。 お門違いでしょ」。
「厚労省に話を通しましょうか」
「いえ、自衛隊員にも医者はいるでしょう。 医官を派遣してください」
そう、市長は「県民の総意・移設反対」の事はコロッと忘れていた。
・・・で、今度は防衛庁長官がハタと考え込んだ。
「サ・サ・サンフジンカ、・・産婦人科医ネー」
「キビシイ! 検討させて下さい」
ローマ市長、・・いや、名護市長の頭には産婦人科医の事しか無かった。
県民の総意では無かった。
★蛇足:「ローマ」とは沖縄の方言で「老耄(ロウモウ)」のこと。老耄で耄碌(モウロク)した人の事は「ローマー」という。
◇ ◇ ◇
◆防衛庁長官 医官派遣は難しい
【東京】島袋吉和名護市長(北部広域市町村圏事務組合理事長)ら北部の三首長は六日午後、防衛庁に額賀福志郎長官を訪ね、県立北部病院産婦人科再開へ自衛隊の医官を派遣するよう正式に要請した。額賀長官は自衛隊病院でも産婦人科医が不足している現状から「厳しい」とした上で、「検討させてもらう」と返答した。(以下略)
(琉球新報 2006年3月7日)
◆沿岸移設「反対」/普天間代替で県民大会
「頭越し」3万5千人抗議
日米両政府が合意した米軍普天間飛行場の新たな移設先、名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設案に反対する「普天間基地の頭越し・沿岸案に反対する県民総決起大会」(主催・同実行委員会)が五日午後、約三万五千人(主催者発表)の県民らが参加して、宜野湾市の海浜公園多目的広場で開かれた。地元の頭越しで決められた移設案を厳しく批判し、沿岸案に反対する県民の意思を真摯に受け止めるよう日本政府に求める決議を採択した。実行委は今月中旬にも上京し、政府に直接、訴える予定。
主催する実行委は県政野党や労働組合、市民団体などで構成。県政与党は組織的な参加を見合わせ、稲嶺恵一知事は超党派の主催ではないとして、参加しなかった。
実行委の比嘉幹郎共同代表(元副知事)は「沿岸案反対は県民の総意といってもいい。政策決定のプロセスとして関係市民の声を聞くというのも民主主義の重要な原理。今回の日米両政府の合意形成の際、このような理念が無視または軽視された」と両政府を批判。
(以下略)
(沖縄タイムス 2006年2月6日)
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