八重山教科書問題は2011年、同地区の教科書採択協議会が中学校公民の教科書に育鵬社を選んだことで起きた。石垣市と与那国町は答申に沿ったが、竹富町は「手続きが不透明」などと主張して東京書籍を採択。地方教育行政法と教科書無償措置法という関連二法で解釈が分かれる余地があり、県や国も巻き込む問題に発展した。

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八重山採択協が育鵬社の公民教科書選定を決定したにもかかわらず、竹富町教委と沖縄県教委の法律違反でその決定が覆されたままの状態が続いた。

>石垣市と与那国町は答申に沿ったが、竹富町は「手続きが不透明」などと主張して東京書籍を採択。

当時の文科省は竹富町教委の教科書採択に対し「違法状態」として是正勧告をした。

ところが沖縄タイムスは、前川喜平・前文科省事務次官の証言を基に、文科省の是正勧告を「根拠なし」と一面トップの大見出し報じている。

今頃になって寝言を言ってはいけない。

是正勧告に法的根拠はある。

>地方教育行政法と教科書無償措置法という関連二法で解釈が分かれる余地があり、県や国も巻き込む問題に発展した。

二つの関連法を勝手に解釈した竹富町教委と沖縄県教育委の法令解釈に問題があるとして、内閣法制局は、特別法が一般法に優先すると閣議決定している。

文科省は、「再協議」による育鵬社版教科書の不採択決定は「無効」との判断を示しているが、沖縄県教委などが従わないのなら、指示・指導の行動を起し、法を護らせねばならぬ。

それが法治国家の行政府の務めだ。
 

【正論】日本大学教授・百地章 教科書採択をめぐる誤謬を正す (9/27 産経)
 
 
4年に一度行われる中学校教科書の採択で、日本人としての誇りを取り戻し、主権国家の国民たる自覚を養わせる「歴史」と「公民」の教科書が、飛躍的に増加したことは注目に値しよう。とりわけ育鵬社の歴史・公民教科書の普及は目覚ましく、横浜市、東京都大田区、愛媛県今治市などの全国409校の公立中学校がこれらの教科書を採用した。また、私立中学校でも21校が採用している(9月22日付産経新聞)。

 ≪教育基本法改正の成果表る≫

 採択数が伸びた背景には、平成18年の教育基本法改正と、それを踏まえた平成20年の学習指導要領改定がある。このことは実際に教科書採択に当たった教育委員や教育長の発言からも明らかで、例えば、横浜市教育委員会では「改正教育基本法に照らして吟味した」とし、武蔵村山市教育長も「
育鵬社の教科書が新学習指導要領の趣旨にもっとも合っていた
」と発言している(村主真人「中学校教科書採択を振り返って」=『日本の息吹』平成23年10月号)。
 もう一つ、採択の際に従来は調査員という名の日教組教員らが事前に順位づけを行い、教育委員らはそれを基に教科書を採択するという安易な方法がまかり通っていたのに対して、今回は、教育委員自身が教育基本法や学習指導要領の趣旨に従って教科書の内容をよく調査し、採択を決定したことが大きいと思われる。

 尖閣諸島を行政区域に含む石垣市や与那国町、それに竹富町の3自治体で組織される沖縄県八重山採択地区協議会(八重山採択協)が育鵬社の公民教科書採択を決定したのも、同様の理由によるものであった。ところが、育鵬社の教科書採用を不満とする竹富町教委が反対し、
沖縄県教委がこれを支持して不当介入
したことから、いまだに混乱が収束せず、異常事態が続いている。
 混乱の第一の原因は、八重山採択協が教科書無償措置法(無償措置法)にのっとって「協議」を行い、正式に育鵬社の公民教科書採用を決定したにもかかわらず、竹富町教委がそれに従わず、沖縄県教委が「正当な理由」なしに、「再協議」の場を設定してしまったことにある。このような
「再協議」は手続き的にも内容的にも違法・無効
と解される。

 ≪無償措置法は地教行法に優先≫

 
竹富町教委の暴走は明らかに無償措置法違反の行為であり、もしこれを認めてしまえば昭和40年以来続いてきた教科書の広域採択制度は崩壊する。また、八重山採択協が正式に育鵬社版公民教科書の採用を決定したにもかかわらず、沖縄県教委がこの「協議」を無効とし、新たに「再協議」の場を設定したことについては、そもそも「正当な理由」など存在しない。したがって、沖縄県教委が「再協議」の場を設定してしまったこと自体、違法
である。
 さらに、同県教委による「再協議」の場の設定は、石垣市教委と与那国町教委の「同意」なしに行われたものであり、事前に意見聴取を行うよう定めた無償措置法12条2項の趣旨に違反しており、
手続き的にも違法である。この点、「再協議」による育鵬社版教科書の不採択決定は両教委の同意なしに行われたもので、「無効」であるとした、文部科学省の判断
は妥当である。
 混乱の第二の原因は、
沖縄県教委が石垣・与那国・竹富の三教委による「再協議」を、地方教育行政法(地教行法)によって正当化しようとした
ことにある。

 ≪文科相は混乱収束へ指導せよ≫

 確かに、同法23条6号は教科書の採択権を市町村教委に認めており、沖縄県教委の指導は正当のようにも思える。しかし、無償措置法は、採択地区内では同一の教科書を採択するよう定めており、各教委は八重山採択協の決定に基づき育鵬社版を採択しなければならない。このため、両法律は一見、「矛盾」するかのような印象を与え、それが今回の混乱の原因とする見解(9月16日付朝日新聞)もあるが、これは「一般法」たる地教行法と「特別法」に当たる無償措置法との関係を正しく理解していないがゆえの謬論(びゅうろん)である。
「特別法は一般法に優先する」というのが法の基本原則
であり、例えば、民法と商法は一般法と特別法の関係にあるから、事業者間の商取引では、民法に基づく一般の契約とは異なり、特別法たる商法が優先し、これに従うことになる。
 それゆえ教科書採択に当たっては、まず無償措置法に従って採択地区協議会が同一教科書の採用を決定し、この決定に基づいて、各市町村教委が教科書採択権を行使し教科書を採択するというのが、両法律の正しい解釈である。
 この点についても、
文科省は「(市町村教委などの)採択権限は教科書無償措置法にのっとった条件付きのものだ」という正当な見解を示している。であれば、文科相は即刻、八重山採択協における混乱を収束させるべく、地方自治法(245条の4)や地教行法(48条)に基づいて、沖縄県と県教委に対し、断固たる「指導」「指示」を行うべき
だろう。(ももち あきら)

八重山採択協を構成する八重山地区の人口は、石垣市(4万9千人)、竹富町(4千人)、与那国町(1.6千人)の 1市 2町であり、人口では石垣市が 9割を占めている。

協議会委員は各自治体から同数の委員が選ばれている。

八重山採択協が正式に育鵬社版公民教科書を選定したにもかかわらず、これを無視する竹富町教委は違法である。

無償措置法が地教行法より優先されるにもかかわらず「再協議」の場を設定し、しかも石垣市教委と与那国町教委の「同意」なしに行われている。

手続き上の違法性も考慮すると、二重の無法状態である。

政府が遵法の指導を踏み込んで行うべきだし、メディアも竹富町教委と沖縄県教委の違法性について、広く報道すべきである。

沖教組の教科書採択における違法性が問題になり、日教組のドンが民主党幹事長になったので、文科省やメディアが腰が引けている事ではないと危惧するが、文科省のリーダーシップが注目されていた。

民主党の野田政権で輿石幹事長就任に伴う、文科省の動きが注目された。
 

そして自民党政権になり、下村文科大臣が是正勧告を出した。


 【採択の危機】「竹富町は違法状態」 政府、答弁書を閣議決定 - MSN産経ニュース