【竹富島=竹富】町主催の戦没者追悼式が23日、竹富島の慰霊之塔前で行われた。西大舛高旬町長や仲田森和教育長、遺族ら約20人が出席。先の大戦の犠牲者に対して手を合わせ、祈りをささげた。西大舛町長は式辞で「戦争マラリアで多くの住民が犠牲になった。今も忘れることができない深い悲しみで、決して癒やせるものではない。戦争の教訓を風化させることなく継承し、八重山から世界へ平和を発信していくことが私たちの責務だ」と訴えた。

 県遺族連合会女性部長の大山幸子さん(79)=石垣市=は、喜友名盛允同会八重山支部長の「追悼のことば」を代読。「二度と私たちのような戦没者遺族を出さないために、平和のありがたさを後世にわたり語り継いでいかなければならない」と語った。

 大山さんは台湾で郵便局員として働いていた父を亡くした。通信兵として軍に従事していた南洋諸島で戦死したという。「ただ、どうして死んだのか、最期にみとった人がいたのかなどは一切分からない。この年になっても親は親。手掛かりが知りたい」と唇をかんだ。

 一般参加の島仲彌喜さん(75)=竹富島=は「伯父が犠牲になった。当たり前のことだが戦争のない平和な社会が望ましい」と話した。

(写図説明)慰霊碑に手を合わせ犠牲者の冥福を祈る遺族の女性=23日、竹富島