100年以上前に戯曲として書かれた”シラノ・ド・ベルジュラック“を元にした映画。
原作は大きな不格好な“鼻”が故にその心の美しさとは裏腹にコンプレックスを持つ主人公。この映画では鼻ではなく異形の人として描かれています。愛する人のために、自らの想いを押しとどめつくす、その自己犠牲には現代ではむしろ新鮮に感じます。そしてその美しい心の想いが通じたときに悲劇。
実生活でもパートナー同士のシラノとロクサーヌ役の俳優であることを後でパンフレットで知るとこの二人の演技のなにか、強い想いに納得。古典的な、でもそれが故の素敵な映画
1960年代に実際に起きた事件。
元々社会問題に厳しく、正しく対応するが故にトラブルの多い老人、そしてそれをたしなめる奥さん。息子のしでかした事件を、やはり国営放送BBCの老人からの受信料徴収反対運動にして社会正義を貫こうとする不器用な父親。
でも、なんと言っても、裁判所でのやり取り。被告となった父親と裁判官、検察官との軽妙なやり取り、本来は法を護る側の裁判所職員の暖かな対応。そして最後の陪審員による陪審結果がこの映画の素敵さを。途中、1961年に公開されたウエストサイドストーリーに触れられて、クスッと。でも最後に二人で観ている映画はショーンコネリーの007
なんともいえない、古き良きイギリスのエスプリの効いた、寒い冬に心がホッとする映画
ヒロインと同じ病になり、亡くなった作家の恋愛小説。長くてあと10年しか生きられない、と”制限付き“の人生。この限られた時間の中で、生きること、そして恋をしない、というはかない思い。これを小松菜奈さんが憂いを持ちながら見事に演じています。そうとは知らずヒロインに惹かれていく坂口健太郎さんの、迷いながらの生き方と成長も。勿論、周りをかためている俳優さん達も素敵です。また、1年かけて丁寧に撮影されていてCGではない、自然の美しさも。
若い人向けだけかな、と思ってみましたが結構、年齢層が高い観客も。
自分自身、結婚する直前に、癌が見つかりました。その時に“癌”という言葉の響きに心理的に追い込まれるその感覚は、逆に、普段見慣れている周りの風景が新鮮に感じられる、感性が研ぎ澄まされる、そんな経験も。
結婚前の嫁さんはショックのあまり、顔面神経痛になってしまいましたが。
ただ、このヒロインのように”確実な死“ではなく、場合によっては“死”という状況なので、今から、後から考えるとまだマシだったのかもしれません。
とても素敵な映画でした。
島根県を流れる清流高津川とそこで生きる人々の営みを石見歌舞伎と絡ませた素敵な映画。
甲本雅裕さん、戸田菜穂さんは勿論、田口浩正さん、その他の俳優さん達には心が揺さぶられました。地方から若い人達が都会へ流れ、地方が寂れていく、その悲哀を清流の日々変わらず流れる、そして脈々と若い人達へ引き継がれている石見歌舞伎の“継承”。
地方の地域おこしのような映画かと思って観たら心から揺さぶられる、そんな宝物を拾ったような映画。思わず、涙が出てしまった、今年、今まで観た映画で1番かも。
ペルセポネーとはギリシア神話の冥府の女神、あの世とこの世の間をつかさどる神。
信越放送創立70周年記念に作られた映画。
あまり期待せずに観た映画でしたが、ギリシア神話を現代の長野県、上山田温泉を中心とした千曲市を舞台に。剛力彩芽さんの独特な雰囲気は素敵ですね。美しい長野、千曲川の風景と相まって、得した映画。