映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

余命一ヶ月

2009-05-17 12:50:01 | 新作映画
 人はいつか死を迎えます。
その死をどのように迎えるかは誰にも分かりません。願わくば寿命を全うし、愛し愛された人の中で静かに逝きたいものです。

 余命一ヶ月を宣告された愛する人を、わたくしは送る方法が分かりません。
それ故に先日観た「余命一ヶ月の花嫁」は号泣しながらも戸惑ってしまい、少し憂鬱な気分になってしまうのでした。映画であるからフィクションとして楽しんでしまえばいいのでしょうが、どうしてもそれは許されませんでした。ご存知の通りこのお話は、2年前TVでドキュメンタリーとして放映されたものだからです。ノンフィクションを映画・ドラマ化することは良くありますが、この例のようなドキュメンタリー映像を映画化したのはそんなにあるとは思えません。なぜなら同じ映像であるなら作り物は本物以上のインパクトを与える事は出来ないからです。何故あえてその事を分かっていながらも映画化したのか?

 このお話の故長島千恵さんは、若年乳癌で苦しむ人を減らせればとの意思を持って、自らドキュメンタリーの被写体になったと聞いています。その意思の延長線上にあるならばこの映画は映画化された意味があったということです。千恵さんの強く尊い意思が、この映画によってより一層生かされる事は間違いない事ですから。本当は映画のことも千恵さんや最後まで支えた太郎さん友人の皆さん何よりもお父様の事などここに書き連ねてみたいのですが、壮絶な千恵さんの生き方の前にその生を正面から受け止めてこられた方々の強さにわたくしは涙でモニターもキーボードも翳んでしまい、これ以上は書けません。

 長島千恵さんのご冥福を伏してお祈り申し上げます。