映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

ガンバレ住田!

2012-01-16 13:35:31 | 新作映画
 必ずご覧になっていただきたい映画、「ヒミズ」の事を書きます。
ラストシーンのことも書きますから、これからご覧になる貴方は鑑賞後にお読みください。
今、観るつもりの無い貴方が、この稚拙な文章から読み取っていただける熱い想いを汲んでいただけるなら、是非是非映画館に足をお運びいただきたいのです。

 園子温、本当に恐るべき作家です。実はわたくしと同い年なんです。何でこんなにも違うんですかね。わたくしだって世の中にゴロゴロ転がっている理不尽なことに腹を立て、何時かは思い切り蹴飛ばそうと考えているんです。拳が腫れるほど、強い力で殴り倒したいと夢想している事だって、二つや三つ持ってます。でも、毎日の不断の流れの中で小さく小さく妥協して、折り合いを付けて、忘れた振りまでして、悩んでないのに難しい顔で嬉しくも無いのにだらしない笑顔を繕ってます。好きなだけ映画(フィクション)で発散できる園監督なんかより、よっぽど偉い。
 それじゃ、血みどろになっても普通に生きることを選択できますか?そんな生き方に最大限のエールが送れますか?父からお前は要らなかったと酔うたび言われ、母から駆け落ちする愛人の爪の垢ほどにも愛されず、それでも立派な大人になろうと生きていけますか?一瞬の内に全てが失われた震災・大津波の被害者の真の代弁者になれますか?何が正義なのですか?どの様に生きれば人は幸せになれるのですか?15歳は子どもですか?50歳は大人なんですか?わたくしは、何の答えも出せないでいます。そもそも答えはないかもしれません。でも、真正面からその答えを出そうとしてしている映画がここにあります。感服です。

 あのラストシーンの事を書きます。
一晩苦しんで父親殺しの罪を償うために走りながら自首する住田を、同級生の景子が伴走しながらエールを送ります。「ガンバレ住田」「住田ガンバレ」二人を正面に捉えたカメラが秀逸です。二人のギリギリの青春が溢れ出て止まりません。その血が滲むような掛け声に、震災の瓦礫がオーバーラップしてゆきます。わたくの耳には何時しか「ガンバレ住田」の叫びとともに「ガンバレ東北」「ガンバレ日本」と聞こえてくるのでした。

 久しぶりにエンドタイトルに拍手をいたしました。
そして、小さな声ですが、「ガンバレ住田」と自分にあててエールを送りました。


ロボジー

2012-01-16 11:00:42 | 新作映画
 今年最初の映画は、大好きな矢口作品です。
いつも斬新な切り口で楽しませてくれるので、新春にはうってつけの番組です。

物語のパターンはいつもの通り、巻き込まれ型熱血成功物語です。
日本人が一番共感できるタイプのドラマだと思うのですが、ここまで上手に作っている人がいないのは不思議です。

充分楽しめるのですが、「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」と比べてしまうとかなりキレの無いものになってしまいました。ロボット作成チームの3人、おじいちゃんと娘家族(孫2人)、ロボット好き女子大生の融合が今ひとつの感がありました。このあたりは前作「ハッピーフライト」の失敗が生かされませんでした。もしかすると、矢口監督はナッシュビル形式の作風は無理なのかもしれません。

上野樹里、綾瀬はるかという天然キャラ女優好きなだけあって、吉高由里子の使い方はお上手でした。彼女の奔放な可愛らしさが生かさせていたと思います。