映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

日日是好日

2018-10-14 07:35:12 | 新作映画






先日亡くなった樹木希林の最期をしっかり焼き付けようと観にいった。
そんなに好きな映画じゃないけど「東京タワー」の母親役を演じたあたりから、日本映画には欠かせない女優だった。特に是枝作品に出てくると、演技なのか素なのか分からない自然さが魅力だった。中でも「歩いても、歩いても」の菩薩と般若を併せ持つ母親であり老妻役はすごかった。今年の「万引き家族」でも同じような女の性を垣間見せている。今の日本映画界の中で樹木希林の代替はいない。

本作は暗い凄みを見せるような役ではなかったが、いつものように飄々とその役になりきっていた。本格的なお茶を頂いたこともないし、それ程興味を持ったこともないから何んとも言えないけど、本物の茶道家がいるように感じたのはわたくしだけではないと思う。熱演というのとは違うから一層引き込まれてしまう。頑張ってます!演じてます!とやるのも悪いわけじゃないけど、映画のスクリーンで2時間も観せられたらこっちが疲れてしまう。「わが母の記」や「あん」を三田佳子がやっていたら派手な演技の見本市みたいになっちゃう。(それはそれで観てみたい)

これから樹木希林の空間を誰がどのように繕うのか?
大きな損失だ。

映画そのものについて。
夢中になれる何かを探していた女子大学生が従姉妹となし崩しに始めたお茶の稽古を二十数年に亘って淡々と描写してゆく。取り立ててドラマチックなことがあるわけじゃない。一緒に通った従姉妹をはじめ何人かが出たり入ったり。長く付き合った彼と別れたり新しい恋を拾ったり。一人暮らしを始めてから父親をすれ違うように亡くしたり。二十四節気を軸に季節は移ろう。

稽古を始めた頃は不器用にお手前する姿に劇場にいた年配の女性たち(多分お茶の稽古をされているのだろう)から笑いが漏れていた。HOW TO物になるのかなと思っていたが、主題はお茶の稽古ではなく女性の四半世紀をスケッチすることだった。初釜とか沢山の人が集うお茶会の雑然とした雰囲気とか、素人には知らないからこそ興味深いイベントをもうちょっと深掘りして欲しかった。

黒木華と多部未華子が一年の四季折々稽古を通じて成長し、大人になってゆく物語だとばかり思っていたので思惑はずれ。まあ、一年では茶道の奥行きを伝えられないし、スポーツと違い勝った負けたとか受かった落ちたの問題でもなかろうし、やっぱり25年を過ごさなければならなかったのだろう。う~ん、狙いは良くわかるのだけれど、2時間弱で茶室中心の描写じゃ説得力に欠けるな。夏至が来たと思ったらすぐ大寒で、うかうかしていると5年くらいスッと過ぎてしまうので、かえって時間の経過に重みが感じられない。あの震災を経て、樹木希林の師匠がのたまう「同じことができる幸せ」。この言葉に尽きるのだろう。二十四の季節を何度繰り返しても同じことができる事がどれほど贅沢なことなのか。そのことを観せたかったのだから、映せないからこそ難しい時間の経過と重さを映像化できなかったことが残念だ。







お気に入り散歩道

2018-10-14 04:35:59 | お遊び




朝8時30分、春に行った里山ガーデンを秋にも楽しもうと出かけた。
自宅から里山ガーデンまで5km弱、歩いて約一時間の距離。行程の大半は尾根伝いの歩道だから散歩にはうってつけだ。ご存知の通り横浜は丘と坂と谷戸の街だ。埋立地以外はほぼ全域そんな地形なので、自転車での移動は結構辛い。下っただけ上らなきゃならない。ゆずの夏色で、♪この長い長い下り坂を君を自転車の後に乗せて ブレーキいっぱいにぎりしめてゆっくりゆっくり下ってく♪と歌われている通り。

尾根といっても丘の頂きが続いているだけだから険しいわけじゃなく、歩道の整備とともに植樹された桜の古木の間を縫うように歩く。古木の中には冬に伐採を告げられたものもあり、この散り行く葉が見納めか。尾根の左右に戸建てや集合住宅がへばり付くように立ち並んでいるのが痛ましく感じてしまう。こんなところに住まなくてもと、大きなお世話だけど思ってしまう。わたくしの生まれ故郷を見た人はもっと痛切に思うだろうと考えれば、所謂住めば都なんだろう。尾根道が中原街道にさえぎられると動物園ズーラシアの広大な敷地にたどり着く。正面ゲートを通り過ぎサバンナゾーンに近い北門のお向かいが里山ガーデン。

春は陽気もよく、小さな子を連れた家族連れが多かったが、秋の里山は年配者が多くて心なしか寂しい感じだ。生き物が活動を始める蠢きはなく、谷戸も静まり返っている。来春のためだろうか、畦に花の種をまく人々がクワを振っていた。花畑を一望できるテラスで持参したおにぎりを二つ頬張る。春にはフカフカだった芝生も短く刈られ、子供たちがはしゃぐ声もない。早々に腰を上げ帰路に着く。途中、レンタル店やブックオフを覘いて自宅には正午前に到着。夕方からはみなとミライに映画を観に行く。
今日の歩数25,027歩。





2018渓を離れて

2018-10-14 04:26:10 | 釣り
振り返ってみれば今シーズンは桂川以外で竿を出さなかった。
毎年郷里の利根川上流部で1日~2日は川遊びをしていたから、不思議な感覚だ。

今年も解禁直後の寒い時期には川に立つ気が起きず、ズルズルとGWまで私的解禁日が延びてしまった。去年と違うのは、TVアニメの影響を受けてキャンプ(テント泊)を再開してみようと思い立ち、暑くなる前に2回のテント泊と1回の車中泊をしたこと。上野原の鶴川合流点と猿橋公園ではかつて隊長と何度もキャンプしたが、周辺の環境(騒音とか人の気配とか)で言えば圧倒的に猿橋公園が良い。川縁まで車で降りられるのはどちらも同じだけれど、猿橋には比較的きれいな水洗トイレがあるし、釣り人以外は川の近くに寄り付かない。上野原は夜遅くまで中央線が鉄橋を渡る音がうるさくて眠りが寸断されることもある。翌朝竿出す場所も上野原は限られるが、猿橋なら選択が多い。
車中泊はテント設営撤収の面倒が無いのと、雨等の天候に配慮する必要が無いのが良い。ただ場所の選択は気を使う。随分前に小学校近くの空き地で寝ていたら、夜回りの警察官に職務質問されたことがあった。去年から都留市にも道の駅が出来たので、手洗いや休憩も含めて有効に使わせてもらっている。道の駅は車中泊するためにあるような施設なので、気兼ねない。ここで寝泊りする人たちもわきまえているから、他の人に気を使い静に行動しているのも嬉しいところだろう。

大月地区は今年も年間ライセンスを取らなかったので、5時間くらいしか竿を出していない。
瀬釣りが楽しかった駒橋下流と理想的な渓相の梁川周辺に行ってみたが、ウグイが少し針掛りするだけで山女魚を見ることは無かった。
西桂から上流も一通り釣り歩いてみたが、魚は少ないと感じた。それは中流部の都留市内でも同じことが言える。かつてメインの釣り場として通ったコンクリ場(今は閉鎖されている)から富士吉田入り口の二股滝までのどこもが満足な釣果を出せなかった。蒼竜峡には今年も入渓しなかったので詳しくはないが、かつての大型山女魚が多く潜んでいるとは思えない。
そんな低調な中で唯一楽しめたのが、都留漁協最下流の蒟蒻淵上流の通らずからアピタを経由して川茂堰堤下までの地域。ここはいつ行ってもそこそこ楽しめる程度の魚信があるし、8.5mの長竿を振れるのが楽しい。惚れ惚れするほど美しく大きな魚には会えなかったが、上流部に比べると贅沢な話だ。

そして、一番の変化は川茂堰堤上流に入渓する道が崩れてしまい、今までのように気楽に入れなくなってしまった。一度だけ上流から釣り下ってみたけれど、全く反応がなかったのでその後行くことは無かったのでなんともいえないが、釣れている人を見ても小さな虹鱒ばかりだったから好転してるとは思えない。釣り人の減少が来シーズンにどう出るか楽しみではある。



秋ドラマの始まりに

2018-10-14 04:03:54 | 旧作映画、TVドラマ

夏ドラマが充実していたからか、今年の秋ドラマにはときめかない。
唯一楽しみにしているのが、野木亜紀子脚本=新垣結衣主演「獣になれない私たち」野木亜紀子のオリジナル恋愛ドラマなので、「逃げ恥」とどれほど違ったラブストーリーを描くのか興味津々。脇を固める役者も渋く豪華だから演出をミスらない限り面白いドラマになりそうだ。オリジナル脚本の出来を心配されてた「アンナチュラル」が今年最高位の評価だったから、ラブストーリーもいけるとなれば野木脚本の相場はより急上昇するだろうし、各局争奪になりそうだ。近い将来朝ドラなんかにも挑戦してもらいたいから、安請け合いの薄い作品を量産することの無い様希望するけど。
ガッキーも満を持しての登場の感がある。「逃げ恥」の大当たりから、NHK単発と映画「ミックス」シリーズの「コードブルーⅢ」とその映画版と定期的に露出しているけど、彼女はやっぱり連続ドラマでこそ輝ける女優なのだろう。(今まで観た彼女の映画で傑作だと思ったものは無い)
もう30歳だから滲み出る色気とかも出さなきゃならないのかもしれないが、以前書いたことがあるけど吉永小百合とガッキーは永遠に表だけの可愛い役を演じつつければいいと思う。今回のドラマの役どころでもそれを期待している。

さて、初回の感想。
TV局も脚本も演出も少し力入り過ぎかな。終盤になるに従い味が出てきたので今後に期待したい。ちょっと今のところどんな色になっていくのか見当もつかないけど、お気楽なラブコメじゃなさそうだ。ガッキーがそれをどう演じ視聴者を虜にしてくれるのかも見所かもしれない。


NHK金曜10時ドラマなんて今まで観たこと無かったけれど、夏シーズンに放映された「透明なゆりかご」が傑作だったので、秋シーズンも続けて観てみようと思う。
「昭和元禄落語心中」というタイトルからして普段なら絶対触手が動かないけど、落語家を主人公にしたミステリのようでもあるしNHKだから手を抜いた創りはしないだろうから取りあえず録画してみよう。初回を観てつまらなければ止めてしまえば良いのだし。

初回観て、もう終わろうと思う。岡田将生は好きな俳優だけど、手練れの落語家を演じるには若すぎるし未熟過ぎた。主人公に違和感を感じてしまうドラマが楽しめるわけない。


同じ日同じ時間にスタートするドラマをもう一本。戸田恵梨香主演の「大恋愛~僕を忘れる君と」。これまた不安だらけだ。戸田恵梨香があんまり好きじゃない。映画「駆け出し男と」は彼女無くては成功しなかった映画だけど、なんとなく鶏がらを想像させる見てくれが今ひとつ。アルツハイマーを発症した女医の役で、10年にわたる大恋愛を続けるのがムロツヨシらしい。二人とも上手だけど、恋愛ドラマで大切なのはその二人に感情を投影できるか否かなので、主人公に恋心を抱けないとつまらない悲恋物で終わりそうだ。脚本の大石静も好きになった作品が思い出せない。そもそも大石脚本だから観たいと思うような気持ちになったことが無い。

これはオーソドックスで、応援したくなるドラマになりそうだと感じた。
戸田恵梨香の痩せ過ぎが気になるけど、エキセントリックないつもの雰囲気が消されていて好きになれそうだ。若年性アルツハイマーって、他人事じゃないから観ていてシンドイかもしれないけど、骨太なラブストーリーにしてくれたら嬉しい。


厳密には秋ドラマではないけど、NHKの朝ドラが始まった。
前作「半分、青い」の朝ドラらしからぬドラマに批判的だった人には安心して毎朝楽しめることだろう。日清食品の創業者を支えた奥さんをモデルにしているらしいので、紆余曲折ありながらも結末がどのようになるかが透けて見える。わたくしのように先行きも知らず楽しみたい視聴者には些か興味半減でもある。「マッサン」も同じような話だったけど、ヒロインが初の外国人女優だったのが目新しく半年付き合えたが、今度はどうだろうか?よっぽど魅力的な話じゃないとリタイアしてしまうかもしれない。
そもそも、ヒロインの安藤サクラが嫌い。女優としては素晴らしいと思っている(万引き家族は彼女無しに成立しなかった)けど、朝ドラのヒロインじゃないよな。永野芽郁だったから許された傍若無人なヒロインも、安藤サクラのあの顔でやられたら次の日から見るのやめちゃうかもしれない。オーソドックスな朝ドラが観たくないわけではないから、面白ければそれで良し。