そもそも、少年ジャンプも韓流ドラマも好きじゃない。
熱血とか熱い友情とかバトルとかにはうんざりしちゃうし、大げさな状況転換やご都合主義のストーリーも辟易。
好きじゃないだけで否定するつもりもない。
ジャンプだって、昨今は物語性のある漫画も増えているようだし、常に新しい才能と題材を発掘し続けているからこそ日本のエンタメ(アニメや映画やドラマ)への貢献度は非常に高い。
韓流ドラマもかつての粗悪品が淘汰され、技術的にも作劇も海外を意識した質の高さがうかがえる。
NetflixやAmazon Primeの配信で映画やドラマを見続けているうちに、今ブームになっている漫画のアニメ版と最近再放送されているドラマの原作韓流ドラマを観ることになった。
「鬼滅の刃」のアニメ26話は原作漫画の1/3にも満たないらしい。
仲間や先達と叩いて切って鬼退治していれば進んでいく話だろうけど、主人公の少年が抱える悲しみが根底にあるので単純なバトルアニメにはなっていない。鬼に変化した妹を人間に戻すために戦うという個人的な動機も受け入れやすい。少年漫画だからグロテスクな殺戮シーンもあり、所々笑いをとるためのギャグシーンもあるけど、敵である鬼の最期に想いを寄せるあたりに涙が止まらない。妹に対する無二の愛情も、寅さんがさくらにかける情愛のようで感動的だ。ゲーム的だなと感じたのは、戦い傷ついた身体を癒すための挿話が結構長く作られていて、その辺りも今日性をうかがうことができる。
秋には映画版として続いていくことが決まっており、結末まで映像化するのはまだかなりの時間が必要そうだ。せっかく26話のアニメを観たことだし、最後まで付き合いたいと思う。
「グッドドクター」は韓国ドラマのリメイクだと知って今再放送されている日本版を観ているところだが、原作を観て感じるのは同じ素材でもこんなにまで料理の仕方で味付けが変わるのかということ。日本のリメイク版はありがちな病院ヒューマニズム物語だ。近年でも「コウノドリ」のような優れた作品が生まれているからこの手のドラマを否定するものではない。日本版も良く出来ている。原作と同様、病院存続のサスペンスも絡ませながら、チーム医療と自閉症の障害を持った医師が成長する姿をしっかり描いている。小児外科が舞台なので子供たちとの触れ合いも涙を誘う。
原作の韓国版は正味1時間全20話の大作だ。日本版は正味45分全10話だから拡大版があるにせよ尺では半分にも及ばない。原作が割く時間の配分が全然違うのは、病院内のお話はそれほど変わらないけど、主人公の青年医師の恋の顛末だ。日本版はそこを丸っとカットしている。いかにも韓国ドラマだと感心したし、実はこのドラマの一番面白いところだ。青年医師が恋焦がれる先輩医師のヒロインを、観ているわたくしも愛しく思っちゃうあたりは韓流全開。やっぱり原作にはかなわない。