自らのコロナ感染で映画館には行けなかったけど、テレビドラマはしっかりチェックしていた。
当初危惧していた通り力量のある脚本家が見当たらないシーズンだったこともあり、観続けた4本(朝ドラは別として)は冬や春ドラマみたいな記憶に残る優良作品は生まれなかった。
「ハコヅメ」
題材は良いのに設定が酷すぎて興ざめしてしまうアリアリなパターン。原作がそうなんだろうけど、戸田恵梨香の元同僚をひき逃げした犯人を逮捕する復讐劇は邪魔だった。せっかく戸田恵梨香、永野芽郁のW主演なんだから交番勤務の婦人警官奮闘物語に的を絞って物語を展開すればいいものを、年中所轄警察署での捜査に駆り出されていては交番という面白い題材を生かし切ることは難しい。
ムロツヨシを上手く使って日々の交番勤務の些細な出来事を絡ませながら、婦人警官のバディ感とか新人警官の成長する姿とかが活写出来ていたなら大化けできただろうにと残念に思う。
永野芽郁の如何にも現代っ子らしい飄々とした演技にはわざとらしさがなく好感が持てた。もともと素材としてのポテンシャルは高いから、コメディエンヌとしての力量をこれからも増して欲しい女優だ。
「推しの王子様」
期待値は一番低かったので、最後までどうにか観続けられただけでも合格点をあげても良いと思う。
比嘉愛未、渡邊圭祐、ディーンフジオカの主要キャストも頑張っているから観ていて噓臭さは感じない。しかし決定的な欠陥はトキメキ感がないところだろう。これは主役の比嘉愛未が年上で大人の経営者役であることから致し方ない事ではあるが、大人の女性でも憧れの王子様への純粋な感情はあるだろうからそこをもっとファンタジックにそれでいてリアリティを持たせながら描ければもっと応援したくなっただろうに。
白石聖の美しさをドラマの中で引き出せる作品に出合いたいものだと今回も思ってしまった。このままだとそのままフェードアウトしてしまいそうで勿体ないな。
ゲーム作りのヲタク的要素とそれに懸ける熱量とかはあまり描かれなくて、その部分でも平均点止まりかな。
「#家族募集します」
このところ日本のホームドラマは疑似家族を題材にすることが多い。現実(肉親)の家族を描いてこそ真のホームドラマであろうとは思うけど、変に近しい間柄はドラマチックなストーリーにはならないのかそれともかえってリアリティを醸し出せないからなのか、適度なフェイクがあった方が観ているこちらもヒリヒリしなくてドラマに集中できるのか。
結局3家族+1.5みたいな変形されたホームドラマだけど、利害の一致はあっても抱えるそれぞれの事情や悩みは当然違うわけで、いくら仲の良いホームシェア家族だとしても相容れない部分は共有のしようがない。
そこを力技で感動的になんか作ろうとするから白けてしまうのも稚拙な感じがする。
仲野太賀をはじめうまい役者を揃え、子役も良くなじんでいたが重岡大毅は雰囲気良いお父さんキャラなだけでこの役は荷が重かった。
「TOKYO MER」
夏ドラマでは唯一放送日が来るのを待っていたドラマだった。
救急医療ドラマはよっぽど勘違いを起こさない限りハズレになる事はないので、定石通りに演出していればそこそこの緊張感と達成感は味わえる。一話完結にもしやすいから観ている我々もあまり脳みそを使わなくて済むのも取りつきやすい要因だろう。
新機軸としては手術室が事故現場に乗り込んでいくところ。病院内で繰り広げられる緊急オペシーンや、ドクターヘリでの救急搬送などの美味しいところ取りが肝だった。鈴木亮平のリーダーシップは現実味があり本当の医療現場を見ているようだったから成功したと言える。
難点をあげるとすれば、テロリストに纏わる設定が陳腐過ぎた。公安警察の中途半端な関与も邪魔でしかなかったので、違う仕掛けで縦糸の物語を作るべきだったろう。唯一人犠牲者(死者)となった妹の挿話も工夫の仕様があっただろうと思う。
社会がコロナ禍にあえぐこの時期、最前線で働く医療関係者へのエールになったのかは疑問だけど、レスキュー隊の活動も含め人の命のために日々身を粉にしている方々には頭が下がる。
「おかえりモネ」
終盤に近付き、モネは故郷へ帰る。
あまり温度を感じさせないお医者さんとの恋バナは燃焼不足だけど、やっぱりあらためて思う。
清原果耶、蒔田彩珠、恒松祐里、今田美桜
これからを担うだろう若手女優の活躍を観られるだけでも楽しい朝ドラだ。