セピア色の懐かしい記憶を思い起こす
昔付き合ってた女の子が好きだった香水の香りと共に
台湾の風景がそうさせるのか
只見までの雪景色に郷愁を覚えてしまうのだろうか
哀しい結末ではあるけれど、恋心を葬り去るには18年の月日と松本から長岡を経て山深い只見までの長い道中が必要だったのだ。日本からやってきた4歳年上のお姉さんは、長い黒髪が素敵な美しい人だった
行ったことはないけれど、侯孝賢監督の作品の登場する台湾の風景はわたくしの少年時代の田舎によく似ている。台湾の人は中国人でありながら歴史的背景と、島国である特異性もあり日本人的な気質を理解してくれるのだろうか
彼等が親日であると報道されるので、好きと言われて嫌な気分になる人はいないから、大方の日本人も台湾の人に対しては好意的な感情を抱いている。わたくしも一度くらいは行ってみたいと思うし
岩井俊二監督の「Love Letter」が台湾でも人気の映画だった頃だから1990年代後半のお話だろうか
場末のカラオケ店に住み込みで転がり込んできたアミに恋したジミーの恋心がピュアな映像と相まって美しい
赤いランタンに願い事を書いて夜空に放つ二人が可愛らしい
雪にまみれて遊ぶ姿が痛々しい
人の一生、最初の一歩を踏み出す瞬間もあれば、動くことができずに立ち止まり続ける時だってある
その動機は往々にして自分の愛する誰かの影響だったりする。だから人は一人じゃ生きていけないんだ
失ってしまった青春とかいう代物を回収することはできないけど、しっかりと自分の胸にしまい込むことなら可能だ
ジミーのアミに対する恋情は永遠に失われたが、その想いはずっと生き続ける
藤井監督作品は全部とは言えないまでもたくさん観ている。器用な監督でどんなジャンルも卒なく標準以上に作り上げる職人だ。今回の作品を観て思ったのは、藤井監督にはベタな恋愛映画が向いているんじゃないかってこと
小松菜奈ちゃん(おっといけない。もう、お母さんだ)主演の「余命10年」も良くできていたし、もう一本この手の恋愛物を観せて欲しいと思った
清原果耶ちゃんは前に一作コンビ組んでるからか、彼女の優等生っぽい清純さを残しながらお姉さん的余裕も漂わせている。なかなか良い作品に巡り会えないでいるけど、この作品は彼女のフィルモグラフィーでは上位に位置できるんじゃないかな
ベタな恋愛映画が向いてるとか書きながらなんだけど、できればああいった結末を望んではいない
還暦過ぎたオジサンとしては、明日が来ることを前向きに捉えられる恋愛を観たいんだけどね