映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

一夜に起きた家族の物語

2019-11-24 10:58:29 | 新作映画



夏に観た「凪待ち」は血の繋がらない家族の形を描いていた。世界的な最近のトレンドなんだろうと思ったが、今回の作品はガッツリ日本の家族と血縁がテーマだ。
共通しているのは、大都会の話ではなくて地方都市(田舎というほど辺鄙じゃない)が舞台になっていることか。それがいかにも日本的なしがらみを映し出すのに効果的だということだ。白石監督良いところに目をつけてるなと感心する。
子供たちに暴力を振るう夫を激しい雨の夜に車でひき殺す母親を田中裕子が飄々と演じている。15年たったら帰ってくると言い残して、その通り15年後に現れた母親を成長した子供たちがどのように受け入れて行くかが物語の肝となる。
吃音障害のある長男を鈴木、小説家になると都会に出て風俗雑誌の雑文担当の次男を佐藤健、美容師の夢をあきらめきれず毎夜スナックの接客で泥酔している長女が松岡。わざわざ役者の名前を挙げたのは、この四人だけではなく登場人物それぞれのキャラクターが上手く描かれているのとそれに応える演技が優れているから。
特に感心したのは、松岡のありそうな長女像だ。エキセントリックな役や現実離れした役じゃなく、ごくありふれた若い女を説得力ある雰囲気で伝えている。もともと上手いけど、今のところベストな演技じゃないかな。主役の佐藤健を邪魔する事無く主役の座に座っているみたいに感じた。






野外フェスの楽しみ方

2019-11-18 08:26:28 | お遊び
呑む気満々でスタンバイOK


. ロックもアイドルも楽しんで


今年も気持ちいい秋の二日間

去年は3月に亡くなった友と来たんだな
そんなことを思い呑む酒も時の流れを感じる




ステージが縮小して、出演者も減った
一番観客を動員していたのはアイドルグループの女の子たちだった
初日のシメにサンプラザ中野くんが懐かしい名曲を聞かせてくれて嬉しかった
二日目の大トリはガッカリだったけど、来年も元気に参加できるよう生きる





閉鎖病棟にも朝は来る

2019-11-03 08:59:00 | 新作映画
綾野剛観たばかりだな。似たような闇を抱えた役だからかえって印象薄い。
小松菜奈もこのところ本当に良く映画やってる。癖のある美人だから映画映えするんだな。今回の役も重要なポイントだから、主役よりも目立っていた。単独主演で深みのある演技を観てみたい女優だ。

原作者の帚木 蓬生は好きな作家で、確かお医者さんだったと思う。似たような精神疾患を題材にした小説に、わたくしが勤めている会社の人をモデルにした短編があり興味を持った。

原作は読んだけどあまり覚えていない。
多分映画ほど短絡的な色分けがなされているわけじゃないだろう。心と体に傷を負った少女のために、また人を殺めた男を殺人鬼とみる目線はまるで無かった。事情があれ四人の命を奪った現実を有耶無耶にしている。ラストシーンで立ち上がろうとするカットは、再生するヒーローのようだ。
今村昌平監督の傑作「うなぎ」の主人公も、浮気現場の妻を刺し殺し服役後再生する話だが、受ける印象は全く違う。今平作品と比較するのは酷かもしれないけど、説得力の欠如は否めない。






大満足のエンディング 冴えカノ

2019-11-03 08:57:17 | 新作映画


長男のしんくん27歳に薦められて観はじめたTVアニメII期でその面白さにハマリ、Ⅰ期をレンタルし原作も全部二度読みした。TVアニメの尻切れがあまり納得できていなかったし、原作はそこからへたれ主人公倫也と冴えないヒロイン加藤恵のロマンスが描かれているので、映画化されると聞いた時は嬉しかった。
結果、原作もアニメも裏切らない作品となったので、冴えカノ大好きオヤジとしては大満足だ。

単体の映画として評価するのはちょっと難しい。Ⅰ期II期のアニメあってこその完結編だから、原作も含めてトータルでの面白さとして味わうべきだろう。作り手もその辺の割り切りはあるみたいで、ありがちな序盤での前半総集編的説明を施していない。乱暴な言い方をすれば、ついてこれるコアなファンだけの為の映画化だ。体裁はラブコメだけど、ヲタク男子目線の妄想満載だから所謂ヒロイン加藤恵の様な普通の女の子には訴求できないだろうな。そこも全部割り切って作られているのも、コアなファンには嬉しいところだろう。

エンディングタイトルの後に長々続く後日談も然もありなん。
冴えない彼女の育て方らしい遊びゴコロを満喫させてもらった。

「それって、なんだかなぁだよ。でもさ、怒れてきちゃうくらい好きなんだよ?」
加藤恵が言いそう。