映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

日本アカデミー賞を占う のもどうかと思いますが

2020-01-16 18:35:25 | 映画ベストテン

またあの日本アカデミー賞です。
もう43回目なんですね。第5回の発表前に行われたテレビ番組「日本アカデミー賞を占う」っていう大学映研の学生を集めてトークさせる番組に出て、スピーチもカットされず放送されたのが懐かしいです。
調べてみると、最優秀作品賞受賞作を36本観てました。その内納得の選出は27本だからそれ程間違いではないんだと思うんですが、何故か昨今のノミネート作品をみると首をかしげたくなるんですね。

今年のノミネートもやっぱり腑に落ちません。
観てない「新聞記者」「翔んで埼玉」は批評の仕様がありません。前者は日刊スポーツで受賞しているし、評論家や観客の評判も良かったので納得してます。後者はどうなんでしょうか。面白いとは思うし、興行的にも成功したから・・・でも、ノミネートされる作品なんでしょうか。
「キングダム」面白かったしこちらも興行は成功でした。が、映画賞はいかがなものでしょう。
「閉鎖病棟 それぞれの朝」が選ばれたのもよくわかりません。悪くはないけど5本に入選する作品ではないですね。
「蜜蜂と遠雷」も個人的には疑問です。山路ふみ子賞や報知新聞も大賞を上げてるし、発表されているベストテンにも顔を出しているので順当なんでしょうかね。

受賞作品はズバリ「蜜蜂と遠雷」でしょうか。東宝ですし。でも監督賞にノミネートされていないことを考えると、「新聞記者」かな。どれが受賞しても今年は納得できない年になりそうです。

監督賞に「カツベン」の周防正行をノミネートしちゃだめですよね。あの駄作で名前出しちゃ監督に失礼でしょ。主演男優は個人的に「記憶にございません!」の中井貴一に上げたいです。主演女優も下馬評では「蜜蜂と遠雷」の松岡茉優だと思いますが、「新聞記者」のシム・ウンギョンなんかもありかもです。未だ小百合さんとか宮沢りえじゃないですね。もっと新鮮味のある人を何故選べないのでしょう。助演男優女優は「閉鎖病棟 それぞれの朝」の綾野剛と小松菜奈にとって欲しいな。特に菜奈ちゃんはこのところわたくしのお気に入り女優なので、ステップにしてもらいところです。

アニメーション作品は「天気の子」外国作品は「ジョーカー」だと思いますよ。

パラサイト 寄生して皆んな生きてる

2020-01-12 19:33:00 | 新作映画
「殺人の追憶」の方が傑作だと思うけど、ポン・ジュノ監督の記念碑的作品であることは間違いない。
半地下と天上と本当の地下をこんなにもわかりやすくコンパクトに描かれちゃ文句の言いようない。おバカなアメリカ人にも理解できるみたいで沢山の賞を獲得しているようだ。

「万引き家族」も同じ底辺の生活を描いていたけど、こちらの作品は分かりやすく金持ちに寄生しながら抜け出そうとする家族の物語にしているところが、文化を共有している隣国ではあるが根本的に違う。日本人のメンタリティとして、公の物や名前の無い物からの搾取(ちょろまかし)に関しては比較的罪の意識は低いが、韓国人は違うようだ。持てる者から吸い取ることに恥とか罪とかの感覚は無いみたい。排除した運転手に対しての同情は、弱き者への連帯感なのか。

血を欲しがる民族なのは歴史が証明しているし、優れた韓国映画にも血なまぐさいシーンは多く登場するけど、あそこまでの恨の意識があるなら自分で仕事して立身出世しろよとも思うが、そう出来ないあの国の背景があるのだろう。そこは隣国民であってもたやすく理解できない溝だ。

ポン・ジュノの面白さはシリアスな話でありながら、気安く笑える軽さを備えていることだと思う。人の人生はどんなに苦しくともずっと泣いたり怒ったりしているわけじゃ無いから、間の抜けた瞬間に起こる人間らしい滑稽さを見抜いているなといつも感心してしまう。
チョッピリ泥臭さが無くなった分、西欧人にもアピールできたんだと思うけど、もっともっと家族を描いて欲しい監督だ。

蛇足のようだが、「漢江の怪物」でもソン・ガンホの末娘が死んだけど、今回もヤッパリ同じく娘が殺されたな。
何か意味でもあるんだろうか。