映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

2019 それじゃなくともBEST 10

2020-01-04 07:24:42 | 映画ベストテン

2019年は30本近い新作映画を観に行きました。最近ではすごく頑張った。いつものように洋邦取り混ぜてベストテンを発表します。と、毎度のことでやってる本人も飽きてきたので、今回は家の奥様のベストテンもお知らせしますね。凄いですよ。年間80本以上観てますから、映画秘宝の評論家のような10本が並びました。



❶ROMA
あの「万引き家族」を蹴飛ばしてアカデミーを獲ったことでもわかりますが、家族という謎の集合体の描き方が凄かったです。モノクロの画面も微細な音も技術の高さに手抜かりはなく、映画でなくてはなし得ない表現でした。知らない他所の国や人々の生活に圧倒され、自らの無力感を覚えた映画としても鮮烈でした。

❷さよならくちびる
日本映画では珍しい音楽を絡めたロードムービーです。三人の登場人物だけの小さな世界が描かれているので、いかにも日本映画とバカにしたくなるところではありますが、丁寧に若きミュージシャンの心の揺れ動きを捉えていて秀逸でした。小松菜奈と門脇麦、成田凌のアンサンブルも感心したし、あいみょんの楽曲も良かった。

❸ジョーカー
アメリカ映画とは思えない暗く陰湿な作品ですが、良いものは海の向こうでもこちらでもちゃんと評価されるんですね。わたくし所謂アメコミヒーロー物とかが苦手なため、「ダークナイト」すらあまり好きではないのですが、ネグレクトの怖さをも滲ませたこの映画は忘れ難いものになりました。

❹凪待ち
このところ絶好調の白石監督作品です。香取慎吾主演と聞いていたので危ぶんでいたのですが、中年男のだらしなさがそのまま存在していてとても感心しました。昨今、家族を描いた映画は血の繋がりに拘らないものが多く、また傑作が多い感じもしますけど、この作品もその枠に入りそうです。

❺長いお別れ
前作「湯を沸かすほどの熱い愛」が号泣ものの力作でしたからとても期待してました。前作ほどの強さは感じられませんでしたが、荒削りな演出が円やかになり円熟した旨味が加わったと思います。この映画はドップリ血縁の家族が描かれていて、痴呆老人介護の問題も合わせ今日的な日本社会を切り取っています。

❻天気の子
やっぱり前作の大ヒットが強烈でしたから、監督スタッフとも苦労しただろうなと思います。仕上がったこの作品は内向きな少年少女を登場させますが、結局誰かのため何かのためって、自分と自分が大切な人のために生きることですよね。だからそれで良いんだと思うのです。世界は二人のためにあればそれで。

❼グリーンブック
アメリカ人が好きそうな綺麗事です。その意味では素直に拍手はできない自分がいます。白人運転手は黒人のミュージシャンを差別しないでしょう。気心知れた友達になったからです。でも、根本的に人種差別がなくなった訳じゃないですよね。そこを描かないアメリカ映画は狡い。アカデミー会員も狡い。

❽ひとよ
これまた白石監督作品。演技上手の役者が母とその子供たちを演じています。子供に暴力振るう父親を殺し服役していた母親が15年振りに三人の子供の前に現れる。少し不気味に田中裕子が母親をやって、地方都市の家族や親族が揺れ動く様は実際には無いのかもしれなけど、隣家に起きる出来事かもしれない。

❾Yesterday
発想だけでベストテン入りしたかも知れません。もし自分しかこの世にビートルズを知らなかったら、そう思うと自分ならどうするでしょう。メロディーは口ずさめても歌詞は全くダメだなぁ。そこが英語圏に生まれなかった悔しさですね。わたくしは無邪気なラブストーリーとして好きな映画です。音楽言うまでもありません。

❿アナと雪の女王2
別に「冴えない彼女の育てかた」がランクインしても良かったんです。同じくらい好きなので。何故こっちなのかと言えば、前作のテイストを踏襲した単なる続編にしなかった勇気と気概を感じるのです。ディズニー好きじゃありませんけど、ものづくりに対する真摯さは素晴らしい。ミュージカルとしても一級品です。

番外に「男はつらいよ お帰り寅さん」を選びました。偉そうなこと書いても映画は観客を喜ばせてナンボ。大声で笑ってしんみり泣いて一緒に歌って最後に拍手できる映画が世の中にどれ程あるでしょう。寅さんの凄さはそれを50作続けたことです。真似できるクリエイターいるのかしら。

個人賞も
監督 白石和彌(凪待ち)
今一番脂がのってる監督でしょう。それでいて出し惜しみせず年に二作もすぐれた作品を発表できるなんて凄いことです。心配なのはその手の監督に多いのが枯れるのも早いってことです。そうならないよう願うばかりです。家族の物語をしっかり語れる監督は必ず成功しますね。
脚本 塩田明彦(さよならくちびる)
王道の男女三人組のロードムービーなんですが、それぞれ三人が皆魅力的に書かれていました。起伏の少ないストーリーだから飽きられてしまいそうなものなのに、最後まで引きずられてしまいます。日本映画にありがちな尻切れエンドにならず、余韻を残しながらも明日を信じられる結末が良かったです。
主演女優 小松菜奈(さよならくちびる)
助演も含めてこのところ映画に出ずっぱりで、存在感が高まってきました。癖の強い顔立ちなのも映画向きなのかもしれません。可愛いだけのお姫様役なんかやる必要はないので、汚れ役も含めて本格的な女優になっていただきたいものです。その期待も含めての主演女優賞です。
主演男優賞 香取慎吾(凪待ち)
今まではどこかアイドル歌手の面影がチラついて気に入らなかったのですが、この作品に関してはだらしない中年男を等身大で演じることができていたと思います。この人のキャラクターとして、どんなに悪ぶってもどことなく甘えん坊の人懐こさがうまく生かされた作品でした。
助演女優賞 松岡茉優(ひとよ)
主演で頑張った「蜜蜂と遠雷」より数段優れた演技でした。あの田中裕子と対峙しても引けを取っていませんでした。上手い役者ばかりの中でも頭抜けた存在感を出せる女優になったんだなと嬉しく思うのですが、もともと器用な質とみえて才能が散在してしまわないかと心配してもいます。
助演男優賞 成田凌(さよならくちびる)
この俳優もグイグイ頭角を現しています。暮れに公開された「カツベン」では堂々主役を演じていました。無色無臭な風貌が演出者の創作欲を掻き立てるのか、映画にテレビにとよく使われています。女二人の間に入った難しい役どころを、乾いた中性的立ち位置で上手く演じました。
新人賞 恒松祐里(凪待ち) 鈴鹿央士(蜜蜂と遠雷)
恒松祐里は「くちびるに歌を」で元気で一生懸命な中学生を演じていたのが印象に残っていますが、美しい女性に成長しつつあり、演技もしっかりしています。かつての柴咲コウのような目力を感じさせてくれるのも良いですね。
鈴鹿央士が演じた天然系ピアニストは原作そのままでした。広瀬すずがインスピレーションでスカウトしたといわれてますが、そんな雰囲気が未知数な彼に期待を抱かせてくれます。

さて、奥様のベストテンにも触れておきましょう。
脱帽です。流石我が家の奥様です。1〜3は世界中の映画祭で絶賛され数多く受賞されてる傑作ばかりですね。だけど、映画通じゃなきゃ観に行きません。8、9も評価の高い作品だし比較的メジャーだから知っている人も観た人も多いかと思います。奥様の大好きなアメコミ作品がちゃんと二作品入っているところも見事です。4、6、10なんかきいたこともありません。もう、映画評論家のレベルですね。
番外も含めわたくし一作も観ちゃいませんのよ。


お正月太り

2020-01-04 06:59:12 | お料理

お雑煮 子供の頃田舎では途轍もない程の餅を食べさせられたからか、いまだに好んで食べようとは思わない。
それでも元日最初の食事として作ってみた。かしわ、ほうれん草、竹の子、蒲鉾の入った至って普通の関東風。



正月二日には娘夫婦が年始にやってきた。
先付け、ローストビーフ、春雨とわかめの酢の物、鶏モモ焼き、にぎり寿司、海老と牛カツフライ、けんちん汁



作るのが精一杯で、写真に残す暇がなかった。
皆んなで鱈腹食べて、幸せな正月気分になる。


翌三日は義父の見舞いと新年の挨拶に行き、お向かいの美味しい焼肉屋で苦しいほどの肉三昧。
夜こそは軽く昨日の残り物でお茶濁そうと思ったのに、娘がカレー食べたいとか言い出すからインドカレーのお店に出かける。馬鹿でかいナンを半分長男に分けて、どうにか完食。苦しい。もう食べられません。