SFと言いたいところだけど、ちょっと違う。
サイエンスフィクションではあるが、扱っている科学技術が一昔も二昔も前の古いものだ。
なんたって、高校時代にロケットを打ち上げることに夢中になっていたロケット班の面々が、大人になってから自分たちで大気圏を突破するロケットを打ち上げようとするのだから、最新技術など使えるわけが無く、古いあり合わせの技術を駆使してロケットを作り上げるのだ。
科学小説は、科学の負の側面にライトをあて勝ちになるが、この小説は前向きで明るいところが実に鮮やかである。
文系の人が、科学に理解を示し、まとめ上げると、すごく解りやすくなるのも良い。
特に科学史の挿入の仕方など、文系ならではのおもしろさがあった。