むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

『暗夜行路』志賀直哉(講談社文庫)

2022年07月14日 | 読書
文章がすばらしいと評判の志賀直哉を読んでみました。
『暗夜行路』は、志賀直哉唯一の長編小説と言われています。
以前に書いた私小説を加筆・改稿して難産の末に書き上げた妖しげな小説のようです。
それもあって、なかなか退屈な内容となっており、エンターテイメントになれていると無駄な記述も多い気もします。
淡々と日々の生活が描写されており、明治時代の時間感覚とか疑似体験が出来るのも貴重な読書体験だと思いました。
エンターテインメント小説がテーマパークのように楽しませてくれるノに比べ、純文学系は近所の公園で遊ぶように読者にもある程度の技量がないと楽しめない構図になっています。それが私小説だと、公園ではなく、日々の暮らしの台所とか道ばたで楽しまなければならない技量が必要となるわけです。
それに挑戦したいなら、読む価値があります。

暗夜行路は、若いときのどこへ向かうか解らない不安と、狭量による怒りと、人を許すことの難しさと大切さが書かれた小説だと思いました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする