ある種のファンタジーでありますが、一つだけ不思議なものがあり、あとはリアルの世界という徹底ぶりで面白く仕上がっています。たった一つのファンタジーは、美青年ドリアン・グレイを描いた肖像画でした。
純粋な輝く若さの美しい青年ドリアン・グレイに惚れ込んで描かれた肖像画です。
ドリアンは、自分が年を取って醜くなっていくのに肖像画は美しいままになるのは耐えられない、逆なら良いのにと祈ってしまいます。
ドリアンが快楽に溺れ、堕落していくのに合わせて肖像画の方が変貌していき、ドリアンは若く美しいままの姿を維持し続けていくという筋書きです。
ドリアンはその肖像画を誰にも見られないように隠しつづけますが、醜くゆがんでいく内面がやがて取り返しのつかない犯罪へと導いていきます。
しかし、強運が重なり、ドリアンには罪から逃れる道が開かれていくのです。
そして、最期にドリアンは自分がどうしようも無い醜い存在になってしまったことに気がつくのです。