女の子なら誰でも思い描いたような理想的なお人形遊び。
机の引き出しの中にドールハウスを作り、庭に住んでいるコビトを住まわせ、いっしょにお菓子を食べるのです。
このお話に出てくるコビトは、「花明かり」と言います。親指ほどの大きさで日本語で話し、字もよめるようです。
うれしいときに子供の花明かりは良い香りを放ち、大人の花明かりは発光します。花明かりは地を歩くものと仲良しで、盆栽で紅葉狩りをしたり花見をしたりすることが大好きなのです。
そんな花明かりと、出会ってしまった少女たちは、試練なんて忘れてしまうほど幸せな気分で生きていけるのです。
子供のころは、庭の片隅に転がっている植木鉢の辺りに、また違った世界で生きている何者かがいるような気がしていました。
そんな者たちに「花明かり」という素敵な名前を与えた作者のセンスに脱帽です。