年末年始になると、読みたくなる西村寿行の傑作。約40年ぶりに再読しました。
老齢により手先が震えて掏摸ができない60代の老人、サイコロ賭博が廃れて行き場がなくなった50代のツボ振り男、暴力団の女と寝て刑事を首になった40代の中年男の3人組が迷い込んだのは、ヒロイン出雲阿紫が犬、猿、猫と守っている一軒家でした。
阿紫の家は狐憑きとされ、村八分状態で、両親は亡くなり、残された兄も行方不明になっていました。
電気、水道、郵便物を遮断され、畑も収穫期になると火を放たれる徹底した嫌がらせに一人立ち向かっていた阿紫でした。三人は、阿紫を救うため、一緒に町と戦うことにします。
首謀者は、町長と、その友人の建設業者社長ということで昭和の香りが漂っています。
三人の男は、ほとんど無力ですが、それでも少しずつ町を追い詰めていくのでした。
西村寿行の作品にしては、エロシーンが淡泊で読みやすい方だと思います。
周りのキャラのルックスが酷いだけに、15歳の美少女阿紫の凛としたカッコ良さが際立つ作品になっています。
最後の悪党どもの末路も、一味違っていて納得が行く最期でした。