
全国の美術館めぐり、北は北海道から南は沖縄県まで、その数がまもなく700館に達する人がある。1991年にはじまり、退職後も途切れることなく訪問されている。500館達成のときは地方版で大きく扱われ話題となり、民放インタビューも受けられた。
その人のホームページはシャープできれいな写真と共に館についてはもとより、展示作品のそれぞれが語られている「美術館ガイド」に「展覧会レポート」、美術愛好家ならでは書ける「美術ミステリー」の項目がある。これの推理推察は美術に疎くても面白い。これらを読みながら美術館巡りをした気分になっている。
直近の掲載は広島県立美術館で開催されている「平木コレクション浮世絵の美」展について紹介されたのを読んだ。そこには名作の紹介に続いて「浮世絵鑑賞とともに、描かれた人々や風俗にも目を向けていただければと思います」という感想が書かれていた。
今日の中国新聞にその浮世絵展の紹介が載っている。浮世絵の初期から爛熟までの歴史的な流れが記事から解る。その記事は「時代の息吹 色鮮やかに」というタイトル。美術館めぐりの氏が言われる「描かれた時代を知る」に通じる見出しと感じた。
美術館めぐりの楽しさは「美術品を観賞する」それだけはない。「所在地の風景やその土地の人との出会い、美術館で出会った同好の士との会話など美術品を取り囲む周辺にもある」と話されたことがある。美術館を出て次のバスの便まで長時間待つ、そんな不便なとこにも美術館があるとも教えられた。
隣の市の美術館で開催中の安野光雅展を観にいった、という人も多い。県内でそれなりの自治体制でありながら、常設美術館のないのは当市くらいではなかろうか。心の涵養にもなるこうした文化施設を望むのは一人だけだろうか。