
雑草の成長が始まるとイタドリの姿も目立ち始める。茎が竹に似ているがポキンと音をたて簡単に折れる。子どものころイタドリは遊びに使っていた。ポキン折ると根の方から皮をむき粗めの茎を噛み切り、しばらく噛んでかすを吐き出す。酸っぱ味が遊び疲れの癒しに感じた。ハラを壊すから食べ過ぎるな、そんな決まりごとは上級生から教わる。
イタドリのひと節分を切り取る。両端に12等分ほどの切り込みを入れる。それをバケツの水にさらしておく。切り込んだ部分が外側に反り返る。蛸ウインナーのような形になれば完成。反り返えったところで中空の茎に細い棒を通す。それを小川の流れにかざして水車のように回して遊んだ。いまなら蛇口にかざすと勢いよく回るだろう。
イタドリは漢字で書くと「虎杖、痛取」と書く。カナ書きに似て何か痛そうで怖そうな文字になっている。文字はそうだが、イタドリの茎分かれする前を採取し皮をむき食材にする。0円の食材として喜ばれていると食通の話だが、食べたことはない。また、擦り傷で出血した個所に若葉を潰して当てると止血作用があり、痛みも和らぐところから「イタドリ」の名がついたという由来もある。
イタドリと同じように遊びの途中で口にしたのは「スイスイ葉」、これは「スイバ」が正式らしい。これは葉を噛んでいたが、イタドリと同じように酸っぱいものだった。これも山菜として好まれるという。食糧難の時代に育ったが身近な雑草の中に食材になる物があることを全く知らぬまま育った。イモを充分に食べれたおかげだろうか。