定年退職後に数年間、週3日勤務の契約社員として努めていたが定年から間もなく15年になる。数えきれないほど「毎日何をしている、元気、若く見える、趣味は、退職して何年・・・」など聞かれて応えた。時には「いいですね、悠悠自適でやっておられますね」とお愛想をいただく。
悠悠自適、「世俗の煩わしさを避けて、ゆったりと心静かに暮らすこと。のんびりと日々を過ごすこと」と熟語辞典にある。悠悠はゆったりしているさま、自適は思いのままに何事にもとらわれずに楽しむこと。年金生活とはいえ現実はそうはいかない。日々、煩わしいことは公私ともに起きており、定年後だからのんびりとはいかない。
悠悠自適の生活は長生きできない、と 加藤芳郎氏が書いているとか。女性は男性に比べて長生きしている。あれは、一日中、洗濯や布団干し食事の準備など動き回っていることが長生きの秘訣という。男性は仕事から解放され悠悠自適といって動かないから長生きできないことになる。人生は面白いのだから長生きしよう、そのためには「あくせく自適」と説いている。
「あくせく」には何かしら抵抗感がある。カタツムリが姿を見せ始めた。人の目には悠悠と見えるが彼らにはそうではない。その動きは人に例えると「まめまめしい」「こまめ」な動きになる。これからは「こまめに自適」や「まめまめしい自適」なんて応えてみよう。どんな顔をされるだろうか。