「蝉の声を聞かないのに虫の声を聞いた」そんな人さまのメモ書き見た。地球はいよいよおかしくなっているのか、苦笑しながら思った。そんな日、確かに蝉の声を聞かない、そう思いついた。燐家の庭木から聞こえるいろんな種類のセミの声を聞きながら夏を感じているが、今年はまだ聞こえない。
車を運転して出かける。日差しが無いので窓を少し開け外気を入れながら走行していた。信号待ちで停車したところ蝉の声が聞こえる。窓を大きく開き今年初めての合唱をききながら、何か落ち着く自分を感じた。蝉の声を聞いて感動する歳でもないが、思いながら知人の家に着いた。
今年、セミの登場が遅れている理由を読んだという知人に聞いた。それは例年より3週間近く早い梅雨明けが原因という。蝉は梅雨の状況を地中で観測し地表へ出るタイミングを探っている。あまりにも早い梅雨明けで少ない雨に戸惑っているのだという。このところの小雨ではあるがそれで登場したという、創作話としても面白い。
ところが、帰宅して門扉を開けたらアブラ蝉が1匹タイルの上でじっとしている。何かの縁とまずスマホで撮る。じっとしているので命絶えているのか、と思い指で触れると勢いよく飛び去った。生きていてよかった、そう思いながら旋回する姿を追った。今年初めて目にした蝉、姿を見せてくれてありがとう。
(今日の575) 蝉声の切れ目に2匹飛び立ちた