テレビの歌番組で歌っているのを初見して気に入り、早速記事を書いた。
その後、配信で購入し、ヘビーローテーションしている。いかにも古臭く、ベタな曲なのだが、心を鷲づかみにされるような抗えない魅力を感じる。昔聴いていた70年代、80年代のアイドルの曲のレトロな雰囲気で、DNAを刺激されるような快感だ。
元歌というか、下敷きになっている曲があるに違いないと思って、ずっと考えているのだが、正にこの曲という曲は見つかっていない。
歌詞の状況は「二人で海に行ったのに彼は何もしないのでじれったい」という古典的なテーマ。
芳本美代子の『白いバスケットシューズ』は、車で海に行っている点、彼が彼女にジャンパーを掛ける点が共通。軽快なAメロ、続く伸びやかなBメロ(「夕暮れが近付いて~」「目を閉じて10秒待ったのに」)、キャッチーなサビという各パーツの印象も近い。ただ『白いバスケットシューズ』の方が格段に今ふうで、洒落ている。『やさしくするよりキスをして』の方が野暮ったい。
ムクドリさんからは、桜田淳子の『はじめての出来事』とサビが似ているというコメントをいただいた。
メロディーが一致している訳ではないが、確かに雰囲気が似ている。この曲に限らず、桜田淳子の初期の曲の、鼻にかかったような歌い方、古臭いメロディーなどとは相通じるものがある。
大場久美子や石野真子にも、一部分似たような曲があるが、下敷きという程ではない。
思いあまって、古くからのアイドル好きの友人たちに意見を求めた。
すると意外な曲の名前が上がった。南沙織の『17才』だ。編曲の感じは森高千里のカバーバージョンの方が似ている。二人で海に行く状況、Bメロ部分の伸びやかさ(「走る海辺の眩しさ~」)は似ている。
しかしながら、そのものズバリという元歌は未だ発見できていない。
一番似ていると思ったのは、実はアイドルの楽曲ではなく、往年のテレビ番組『プロポーズ大作戦』のテーマ曲だ。イントロのメロディー、アレンジの下世話な感じの賑やかさは非常に似ている。
元歌探しのことばかり書いたが、古臭いアイドルポップを再現しながら、現代風の味付けを少しだけ加えていることも見逃せない。「私にそっとかけてくれたけれど」という部分のたたらを踏んだような音の乗せ方、「やさしくするーより」という部分で音符を等間隔にしていない点などがそうだ。70年代ならそこは等間隔で「やさしくするより」となるだろう。
「麦の穂が揺れるように」という部分は、時節柄、朝ドラ『マッサン』のオープニング映像の麦畑から発想したのではないかと想像する。(これは批判している訳ではない。流行に機敏に乗っていると言っているだけだ。)
渡辺の歌唱は、上手すぎず、下手すぎず、この曲にはぴったりはまっていると思う。甘ったるく媚びるような歌い方は、渡辺美優紀の真骨頂だ。昭和アイドルの雰囲気を再現できていると思う。
1点だけ玉に疵と思うのは、最後の歌詞「私を釣らないで」だ。ファンを釣る「釣り師」である渡辺の特徴を出そうと意図した歌詞なのだろうが、せっかくの普遍的な名曲を、企画モノにおとしめている。例えるなら世界遺産に自分の名前を落書きするような愚かな行為だ。そんなことをしなくても充分渡辺の持ち味が発揮されている曲なので、惜しいことをしたと思う。そもそも、歌詞の内容は、彼は彼女のことを釣ったりしておらず、むしろ彼女の方が誘惑しようとしている。意味が通じないフレーズを、脈絡なくくっつけているのだ。
カップリング曲『春風ピアニシモ』についても一言触れたい。
『やさしくするよりキスをして』と同じくらいの回数聴いたが、全く印象に残らない曲だ。私の好みに合わないだけなのかもしれないが、心にひっかかるものがない。
じゃんけん大会の2位から16位までのメンバーが参加している曲だが、前年までの2位~16位と比べたらひどい冷遇ぶりだ。じゃんけん選抜曲としてテレビで歌うこともないし、1位以外はほとんどメリットがないことになってしまった。だからといって楽曲も手を抜いた訳ではないだろうが、残念なことだ。
その後、配信で購入し、ヘビーローテーションしている。いかにも古臭く、ベタな曲なのだが、心を鷲づかみにされるような抗えない魅力を感じる。昔聴いていた70年代、80年代のアイドルの曲のレトロな雰囲気で、DNAを刺激されるような快感だ。
元歌というか、下敷きになっている曲があるに違いないと思って、ずっと考えているのだが、正にこの曲という曲は見つかっていない。
歌詞の状況は「二人で海に行ったのに彼は何もしないのでじれったい」という古典的なテーマ。
芳本美代子の『白いバスケットシューズ』は、車で海に行っている点、彼が彼女にジャンパーを掛ける点が共通。軽快なAメロ、続く伸びやかなBメロ(「夕暮れが近付いて~」「目を閉じて10秒待ったのに」)、キャッチーなサビという各パーツの印象も近い。ただ『白いバスケットシューズ』の方が格段に今ふうで、洒落ている。『やさしくするよりキスをして』の方が野暮ったい。
ムクドリさんからは、桜田淳子の『はじめての出来事』とサビが似ているというコメントをいただいた。
メロディーが一致している訳ではないが、確かに雰囲気が似ている。この曲に限らず、桜田淳子の初期の曲の、鼻にかかったような歌い方、古臭いメロディーなどとは相通じるものがある。
大場久美子や石野真子にも、一部分似たような曲があるが、下敷きという程ではない。
思いあまって、古くからのアイドル好きの友人たちに意見を求めた。
すると意外な曲の名前が上がった。南沙織の『17才』だ。編曲の感じは森高千里のカバーバージョンの方が似ている。二人で海に行く状況、Bメロ部分の伸びやかさ(「走る海辺の眩しさ~」)は似ている。
しかしながら、そのものズバリという元歌は未だ発見できていない。
一番似ていると思ったのは、実はアイドルの楽曲ではなく、往年のテレビ番組『プロポーズ大作戦』のテーマ曲だ。イントロのメロディー、アレンジの下世話な感じの賑やかさは非常に似ている。
元歌探しのことばかり書いたが、古臭いアイドルポップを再現しながら、現代風の味付けを少しだけ加えていることも見逃せない。「私にそっとかけてくれたけれど」という部分のたたらを踏んだような音の乗せ方、「やさしくするーより」という部分で音符を等間隔にしていない点などがそうだ。70年代ならそこは等間隔で「やさしくするより」となるだろう。
「麦の穂が揺れるように」という部分は、時節柄、朝ドラ『マッサン』のオープニング映像の麦畑から発想したのではないかと想像する。(これは批判している訳ではない。流行に機敏に乗っていると言っているだけだ。)
渡辺の歌唱は、上手すぎず、下手すぎず、この曲にはぴったりはまっていると思う。甘ったるく媚びるような歌い方は、渡辺美優紀の真骨頂だ。昭和アイドルの雰囲気を再現できていると思う。
1点だけ玉に疵と思うのは、最後の歌詞「私を釣らないで」だ。ファンを釣る「釣り師」である渡辺の特徴を出そうと意図した歌詞なのだろうが、せっかくの普遍的な名曲を、企画モノにおとしめている。例えるなら世界遺産に自分の名前を落書きするような愚かな行為だ。そんなことをしなくても充分渡辺の持ち味が発揮されている曲なので、惜しいことをしたと思う。そもそも、歌詞の内容は、彼は彼女のことを釣ったりしておらず、むしろ彼女の方が誘惑しようとしている。意味が通じないフレーズを、脈絡なくくっつけているのだ。
カップリング曲『春風ピアニシモ』についても一言触れたい。
『やさしくするよりキスをして』と同じくらいの回数聴いたが、全く印象に残らない曲だ。私の好みに合わないだけなのかもしれないが、心にひっかかるものがない。
じゃんけん大会の2位から16位までのメンバーが参加している曲だが、前年までの2位~16位と比べたらひどい冷遇ぶりだ。じゃんけん選抜曲としてテレビで歌うこともないし、1位以外はほとんどメリットがないことになってしまった。だからといって楽曲も手を抜いた訳ではないだろうが、残念なことだ。