AKB48 チームBのファンより

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乃木坂46『ごめんねFingers crossed』とカップリング曲を聴く。(ときめき研究家)

2021-08-12 15:38:58 | ときめき研究家
『ごめんねFingers crossed』。
Fingers crossedとは何なのか分からなかったが、ネットで調べて理解した。「神のご加護を」「グッドラック」的なフィンガーサインのようだ。日本だと「えんがちょ」の意味になるが・・・。
こういう小ネタから1曲作り上げる能力は秋元康の真骨頂だ。
歌詞に出て来る男女の状況は難解だ。難解だが、彼の心が彼女から離れてしまい、別れを告げている状況のようだ。心が離れた理由は明確には描かれていないが、「今だってもちろん好きだけど」「あの頃には戻れない」「客観的って自分らしくない」など抽象的なヒントが散りばめられている。「終電で君を見送った後、どうやって帰ればいい?」なんて即物的な心配をしているところを見ると、やはり冷めてしまったのだろう。
それを格好つけた別れに美化するのがフィンガークロスのサイン。乃木坂らしいしゃらくさい世界観にまとまっている。

『猫舌カモミールティー』。
タイトルから、うしろゆび指され組の『猫舌こころも恋のうち』を思い出した。おニャン子クラブ内ユニットの2人組。おもちゃ箱をひっくり返したような楽しい曲ばかりだった。「熱い恋は苦手で、フーフー冷ましながら恋している」女心を歌った秋元康の歌詞と、チャールストン調のサウンドも楽しかった。
それから35年。同じ秋元康が乃木坂46に与えた「猫舌」歌詞は、カモミールティーなんぞというしゃらくさい小道具を配して、いかにも乃木坂っぽい楽曲に仕立てている。男女の立場を逆転させ、熱いお茶が苦手で冷ましながら飲む彼と、せっかちな彼女のすれ違いを彼女の立場から歌っている。
うしろゆび指され組のように楽しくはないが、穏やかな気持ちになれる乃木坂らしい楽曲だ。

『さーゆーReady?』。
松村沙友理の卒業ソング。卒業ソングは似たような曲になりがちだが、この曲は極めて個性的だ。松村自身が特別に個性的だったこと、秋元康からも特別に目をかけられていたことの表れだろう。
「今まで経験したサヨナラって何か暗いよね」と、さり気なくディスっても彼女なら許される。彼女らしく「永遠の別れじゃないし」明るく別れましょう、それが私らしいよね、と歌っている。そして彼女の素っ頓狂な声が輪をかけて風変わりな卒業ソングになっている。「言わせてくださいありがとう」の調子っ外れた叫びも切実。印象深い曲だ。
松村本人も、彼女のファンも納得の卒業ソングになっていると思う。

『大人たちには指示されない』。
まるで欅坂46が4、5年前に歌っていたような楽曲だ。
成績表を細かくちぎって屋上から捨てるというレジスタンス。ペーパーテストで順位付けされることへの疑問、不満。きわめて古典的なレジスタンスを、今なぜ、かつ乃木坂がなぜ歌うのかという疑問を禁じ得ない。

『全部 夢のまま』。
ゴージャスなサウンドと華やかな曲調にワクワクさせられるが、歌詞をよく聴くと、結構悲惨な曲だ。
わがままで気が強い彼女に振り回されるように恋していた「夢のような日々」。その夢が醒めて、もう我慢できなくなったという歌だ。あんまりこういう状況の歌はなかった。そういう意味では個性的な曲だ。

『さぶん ざざぶん』。
テトラポットに波が打ち付ける音を「ざぶん ざざぶん」と描写していて、それが主眼の歌だ。
その波に恋愛模様を絡めて歌っているが、あまり内容はない。「ざぶん ざざぶん」という擬音が全て。その響きを味わうための楽曲だ。

『錆びたコンパス』。
『水夫は嵐に夢を見る』『NEW SHIPS』などで歌われた世界観。コンパス無用、人生の旅立ちを迎えた青年の歌だ。
「ヘイ!」という掛け声に合わせて、勇ましい決意が歌われる。「挫折しても夢を見ないよりましだ」「太陽が燃え尽きて世界の闇が訪れようとも」など、大袈裟で勇ましい若者らしさが羨ましい。
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