いきいきセカンドステージ 【寺町 知正さん】 温暖化 野菜にじわり 2008年01月23日
地球温暖化の影響は、農業の現場にも確実に表れている。分かりやすい例としては、野菜の生育時期が変わってきたことがある。
岐阜市のすぐ北の山県市で、20年から30年ほど前に身につけた大根や白菜のまき時の最適期は9月5日ごろ。その約1週間前と約1週間後には、特別に寒い年や暖冬のための予備的な種まき。この3回が原則なのだが、今、それでは早く成長し過ぎてしまう。
以前に紹介した稲のハツシモも、夏が暑くなって良い米になりにくいという。寒冷地とされる北海道産のお米の人気は高くなかったが、温暖化に伴って将来は北海道が日本の米どころになるともいわれる。
作物は温度に敏感だ。国内では、過去10年間で平均気温が1度以上も上昇した地域も各地で観測されているし、今後10年間で気温が全国平均で0・6度上がるとの予測もある。
標高で100メートル上がれば、気温は0・6度下がる。同じ標高でも気温が1度違えば緯度で1度、つまり南北に約110キロも違うという。岐阜市から緯度で1度、南方へ行けば三重県松阪市、兵庫県の淡路島や広島市、2度なら和歌山県南部や高知県の辺り。かなり南方の気候になっているといえる。さて、あなたの畑はどの辺りだろうか。
今後、畑でも酷暑の期間が長くなることや、病害虫も温暖地並みに影響が出ることも覚悟しなければならない。私も、これまで作付け時期の変更に踏み切れなかったが、今年は違う。例年は5月の連休中にしていた夏野菜の植え付けを4月後半に繰り上げ、秋野菜の作付けは10日ほど遅らせようと計画している。
地球温暖化ともうまくお付き合いしていくことが、農家には欠かせない。 |