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てらまち・ねっと



 一緒に勉強会を続けている議員らには、本人訴訟で住民訴訟を起こしている議員があちこちにいる。

 そのうちの三重県の桑名市の小川まみさんは、一審・津地裁では敗訴。
 しかし、先日の名古屋高裁で逆転勝訴。
 しかも、実質は全面勝訴。
 訴えた額の全部が違法支出であると認定した。 
             ご苦労様。

 事件の内容は、議会の会派や議員に「政務調査費」の使いみちのこと。
 判決は「被控訴人(市長)が,政務調査費174万3204円の返還請求を怠っていることは,違法であり,その旨の確認講求は理由がある(そして,それにより控訴人の目的は達せられていると解される)」とやんわりと説示。

 公金の支出としての調査費は、報酬の二重取り、虚偽、など全国各地で裁判が続いている。
 今回の事件は、「会派が開催した市民向けの『講演会』は使途基準に反した違法な支出で、市長がその経費分として支出した調査費の返還請求を怠っていること違法である」という趣旨の名古屋高裁の判決。

 政務調査費で「講演会」「コンサート」などする会派や議員が時々いるらしいので、示唆的な判決になる。

 判決文は全国オンブズ が入手してWebページに掲載している。
 そこから、興味深いところを抜粋して紹介。

 なお、調査費について、昨日、福岡市長は議員に返還を命じた。しかも、裁判以外で。 首長による政調費返還命令は極めて異例。
 本当に問題の多い、「政務調査費」。

 全国オンブズは、全国の 「政務調査費」住民訴訟や住民監査請求のデータを一括して整理しているので、このブログ末にリンクをつけておく。

 ところで、名古屋高裁の判決と同じ日、瀬戸市の談合事件に関しての住民訴訟について(代理人訴訟)、原告勝訴の判決。
 これも知人の当時の加藤徳太郎市議らが提起したもの。

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● 小川さんのブログの報告 ⇒ 政務調査費裁判~逆転勝訴 2009-02-27 21:34:59

● このブログでも事案を紹介=2006年2月15日のブログ
  ⇒ ◆桑名市議会の会派が政務調査費で永六輔さんを呼んだことの波紋や解釈

● 桑名・訴状 ワード版 39KB

桑名・判決の新聞報道 ワード版 2枚 684KB
桑名・判決の新聞報道 PDF版 2枚 233KB

● 講演会に支出は違法 桑名市政調費訴訟 返還請求は退ける 名高裁判決  2009.2.27 中日新聞
 三重県桑名市議会の会派「緑風無所属クラブ」が開いた講演会費を政務調査費から支出したのは違法として、小川満美・同市議が水谷元(げん)市長を相手取り、当時の同クラブ所属議員九人に約百七十四万円を返還させるように求めた訴訟の控訴審判決が二十六日、名古屋高裁であった。

 岡光民雄裁判長は、「支出は合法」とした一審の津地裁判決を変更、「政務調査費としての使途に該当しない違法支出だ」とする判断を示した。返還請求の訴えは退けた。

 岡光裁判長は判決理由で、「講演会はもっばら市民を聴衆としており、市政の調査研究が目的ではなかった」と認定。支出の全額を同会派の不当利得と判断した。その上で、議員個人の利得ではないとして、各議員の返還義務は認めなかった。

 判決によると、同クラブは二〇〇六年、タレントの、永六輔さんを講師に招き、講演会を開催。経費の約百七十四万円を政務調査費から支出した。
 水谷市長の話 判決文を見ていないのでコメントできない。判決文の到着後、詳細に検討して対処したい。

●政調費で永六輔さん講演会 桑名市会派の支出違法 名古屋高裁 逆転判決  2009年2月27日 読売新聞
 三重県桑名市議会の会派が、永六輔さんを招いた講演会開催費約174万円を政務調査費から支出したのは違法として、桑名市の小川満美市議(49)が、水谷元市長を相手取り、会派側に開催費を返還させるよう求めた訴訟の控訴審判決が26日、名古屋高裁であった。

岡光民雄裁判長は、市議の請求を棄却した1審・津地裁判決を変更し、「講演会は調査研究活動ではない。支出は違法」と述べ、同市長が返還請求を怠っていることも違法だと判断した。

 判決によると、当時最大会派だった「緑風無所属クラブ」は2006年2月1日、永六輔さんを講師として同市民会館で講演会を行い、約1000人の市民が聴講した。

 判決は講演会について、「著名タレントが講師で、調査研究に具体的な成果があったという証拠はない」と指摘、「議員自身の研究を目的としたというより、市民向けの講演会だった」と判断した。その上で、講師の講演料、会場使用料など約174万円の支出すべてについて、「使途基準に反し、違法」と結論づけた。
 1審・津地裁は「開催目的と市政との関連を否定できず、政務調査費の使途基準を逸脱しているとは言えない」と判断していた。

● 同判決の「判決全文 PDF」 全国オンブズ のデータ から 興味深いところを抜粋↓

     主 文 
1. 原判決を次のとおり変更する。
2. 被控訴人が,桑名市議会緑風無所属クフプに対し,平成17年度に交付た政務調査費のうち174万3204円の返還請求を怠っていることが,違法であることを確認する。
3. 控訴人のその余の請求を棄却する。
4. 訴訟費用は,第1, 2審を通じ,これを4分し,その1を控訴人の,その余を被控訴人の負担とする。

第3当裁判所の判断
2 本件支出が本件使途基準に適合するか否かの判断基準について
 (2) 基準についての規定と内容
 イ  ・・そうすると,政務調査費が地方議会の活性化を図るために,地方公共団体の公金から交付される以上,これを用いて会派が行う調査活動は,市政と無関係であってはならず,少なくとも,市政との関連が必要であり,この関連性を欠く調査活動は,本件使途基準に反する違法なものというべきである。
 もちろん,具体的な政務調査活動や政務調査費が本件使途基準を満たすかどうかの判定の難しい場合もあろうが、その点は活動,支出の目的等に照らして,事実認定の原則に従って決すべきは当然である。そのようにしても不明な費用がある場合については,いわゆる立証責任の分配の原則(訴松前ではそれに準じる。)に従って判断するのが相当であるが,本件条例8条からすると,会派は交付を受けた政務調査費の総額から,必要な経費として支出した残額がある場合、返還しなければならないと定められている上,政務調査費の給源が公金であることに照らすと,必要な経費かどうか不明なものは,返還の対象となると解するのが相当である。

 ウ 被控訴人は,議会の自律性,会派による政治活動の自由等から,桑名市議会の会派が行う調査研究活動として,合理性ないし必要性を失くことが明らかであると認められない限り政務詢査費の支出が本件使途基準に反するものとはいえない旨主張し,原判決が,政務調査費の支出が一見明らかに市政とは無関係であるとか,極めて不相当あるいは著しく高額であるなど,支出の必要性や合理性を欠くことが明らかと認められる場合に限り,本件使途基準連反の違法の問題が生じ,そうでない限りは,会派ないしその所属議員が当骸支出について政治的費任を負うことはともかく,違法の問題は生じない旨を判示しているが,上記イに反する趣旨を含むもので
あれば,その限度では採用することができないというべきである。

3 本件講演会の目的について
 (1) 本件講演会と市政に関する調査研究との関係
  ア 本件講演会は,一般市民向きに開催された講演会であって,本件議員ら,あるいは本件会派自身の調査研究活動との関連性が希薄であるといわぎるを得ない。本件会派及び本件議員らから見たときにも,本件講演会は,一般市民がどのようにして多数参加し,興味深く参加してもらえるかの観点にばかり関心が高く,本件会派自身の政務との関わりや関心との結びつきが具体的でないし、講演後にも政務にこれを生かしているという気配を窺わせる証拠はない。

  イ 被控訴人に有利に見える下記の証拠も,下記の理由により,いずれも採用することができない。
 
  (オ) 医療・福祉政策に何らかの示唆を与える面が全くないとまでは言い切れない。
 しかしながら,そのような抽象的な関連性が存在するのみでは,直ちに市政や議員活動と関連性があると言うことはできない。

 (3) まとめ
  ウ そうすると,本件講横会は,他の目的(選挙運動目的)があって開催されたのではないかとの控訴人の疑間が提起されるのも無理からぬ間がある。しかし、本件は,政務調査費の目的外支出の有無,その返還の有無を主な争点とする住民折訟であって,選挙に関する訴訟ではない上,後記のとおり,本件支出が本件使途基準を逸脱することは明らかなので,本件においては,本件講漬会の開催に係る本件会派又は本件議員らの行為が公職選挙法上の選挙に係る政治活動や寄附行為に該当するかどうかの点までの判断は要しない。

4 本件文出の適否について `
 (1) 前配2の判断基準に従い,前記3の本件講演会の目的に関する事業関係に当てはめると,本件講演会は,本件議員らの調査研究活動として実施されたとはいえず,本件支出のうち本件講演会に係る文出は,政務調査費に係る本件使途基準に反する違法なものというべきである。

5 まとめ
 被控訴人が,本件会派に対し,平成17年度に交付した政務調査費174万3204円の返還請求を怠っていることは,違法であり,その旨の確認講求は理由がある(そして,それにより控訴人の目的は達せられていると解される)。

第4 結論
 以上の次第で,控訴人の請求は,被控訴人が,本件会派に対し,平成17年度に交付した政務調査費のうち174万3204円の返還捕求を怠っていることが違法であることの確認を求める限度で理由があり,被控訴人に,本件議員らに対して同額を連帯して支払うように請求することを求めゆる請求は理由がないと
 よって,控訴人の講求をいずれも菜却した原判決を変更し,主文のとおり判決する。


●瀬戸市入札談合:起訴でない9件も損賠請求権の行使命令  毎日 2009.2.26
 愛知県瀬戸市の入札談合事件を巡り、名古屋地検が談合を指摘した12件の工事のうち、起訴されていない9件の工事についても市に損害賠償請求権があるとして、地元住民20人が増岡錦也市長を相手取り、業者に約5500万円返還請求するよう求めた訴訟の判決が26日、名古屋地裁であった。松並重雄裁判長は「談合は優に認められ、瀬戸市長が損害賠償請求権を行使していないことは違法」として、市に約4200万円を落札業者に請求するよう命じた。

 判決によると、05年9月~12月、市発注の道路・下水道工事で郵便公募型指名競争入札が行われ、12件の工事で11業者が落札率(予定価格に対する落札額の割合)98.6%~96.1%で落札していた。入札を巡っては、名古屋地検の捜査が入り、3件の工事を摘発したが、事件後は最低制限価格で落札が続くようになったことから、判決は12件の工事で談合があったとし、損害額を予定価格の15%と認定した。

 瀬戸市は談合業者に対し、契約金額の2割を賠償請求すると定めた契約に基づき、3件の工事を落札し、幹部らの有罪が確定した2社からは2715万円の返還を受けていた。【式守克史】

●瀬戸市長に賠償請求命令 談合9社に対し4200万円  2009年2月26日 12時13分
 愛知県瀬戸市の下水道・道路談合事件の裁判で有罪が確定した2社の工事以外に検察が談合があったと指摘した9社の工事について、瀬戸市の市民グループが「談合したことは明らか」として落札した建設会社9社に約5500万円の賠償金を請求するよう、増岡錦也市長に求めた訴訟で、名古屋地裁は26日、「市長が業者に損害賠償請求をしていないのは違法である」として、市長が9社に約4200万円の損害賠償請求することを命じた。

 判決理由で、松並重雄裁判長は「談合が行われていた」と認定。その上で「市に損害を与えており、市長が損害賠償請求権を行使していないことを正当化する特段の事情があるとも認められない」と指摘した。損害額については、談合が行われなかった2006、07年度の入札状況と比較し、「予定価格の約15%の損害が発生した」と認定した。(中日新聞)

●当時の市議の加藤徳太郎Webページ 瀬戸・訴状

●原告の一人で今の瀬戸市議の 臼井あつし ブログ 名古屋地裁判決

●市議に政調費返還命令 福岡市長 切手購入87万円分など  =2009/02/27付 西日本新聞夕刊=2009年2月27日 13:41
 福岡市の吉田宏市長は27日、同市議会の友納博美市議(自民)に対し、政務調査費の交付に関する市条例に基づき、政調費の返還命令を出した。同市議は2004、05両年度末に政調費で計約87万円分の切手を大量購入したが、当該年度に使っておらず、条例違反の不適正な支出と判断した。裁判以外で、首長による政調費返還命令は極めて異例。

 返還請求額は、延滞分の利息を含め約101万円。同市議は命令に対し、通知を受けた翌日から60日以内に異議申し立ての行政手続きをするか、処分取り消しを求める訴訟ができる。返還も抗議もしない場合、市は支払い督促などの法的措置に踏み切ることになる。

 友納市議は27日、取材に対し「当該年度には切手代を上回る資料購入費や人件費を私費で出しており、それが政調費で認められるべきだ。今後の対応は弁護士と相談する」と話した。
 市条例は政調費を「その年度で調査研究に必要な経費」と規定。同市議は、川口浩議長が昨年9月に出した返還命令に応じていない。

●政務調査費:福岡市長、友納議員に返還命令 切手87万円購入分  毎日 209.2.27
 福岡市の吉田宏市長は27日、自民党福岡市議団の友納博美市議(72)が政務調査費で04、05年度に購入した約87万円分の切手が年度内に使われなかったとして、利息を含む約101万3000円の返還命令を出した。
 市によると、友納市議は05年3月31日に43万6000円分、06年3月31日に43万2450円分の切手を購入したが、それぞれ年度内に使用していなかった。

 市の条例では、政務調査費は交付を受けた年度内に使用するよう定められており「切手を購入しただけでは政調費を支出したことにはならない」と判断、3月27日までに返還するよう命じた。
 友納市議は昨秋、川口浩議長から収支報告書の修正命令を受け、政調費を返還するよう求められたが、応じていない。友納市議は市側に対し「翌年度の5月ごろまでに使用すればよいと考えていた」「年度当初に議会報告を郵送するための切手を購入し、その分を年度末に精算した」などと、あいまいな説明をしていた。【早田利信】

●全国市民オンブズマン 政務調査費 特設ページ 政務調査費 特設ページ

政務調査費住民訴訟 返還を命じた勝訴判決事例(09/2/26現在)

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