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てらまち・ねっと



 戦後日本の安全保障政策が大きく転換された。
 かつての中曽根氏すらやらなかったのに、自民と公明が組んだ中での「解釈改憲」。
 条件がある、というけれど、こういう場合に、拡大解釈がなし崩しにされるのは経験則。

 端的なのが、すでに示されるアメリカからの外圧。
 ★ワシントン時事通信
 《米政府高官は政府・与党関係者に「集団的自衛権の行使が許される範囲は広ければ広いほどいい」と伝えていた。集団安全保障先送りへの失望感は大きく、「がっかりした」と本音を隠さなかった。・・将来、さらなる活動範囲の拡大を求める声が出る可能性もある。》

 ★ウォール・ストリート・ジャーナル日本版
 《自民党は、集団的自衛権の発動には新しい法律が議会で承認される必要があると指摘している。衆参両院で過半数を制し、16年までは国政選挙がないとみられることから、現政権は政策に広範な裁量を行使できる。》

 安倍氏は、いかに、なし崩しに軍国化していくかと、手ぐすね引いているのだろう。
 公明もそれを承知で、連立を大優先。

 ★ウォール・ストリート・ジャーナル日本版
 《しかし、世論調査ではこの問題での日本人の見方は割れている。日本の三つの新聞―日経、毎日、朝日―が過去1週間に行った調査では、回答者の少なくとも半数が集団的自衛権の行使という考え方に反対し、賛成しているのは3分の1かそれ以下だ。毎日新聞の調査では、解釈変更によって日本が他国の戦争に巻き込まれることを懸念する人は71%に上った。
 テンプル大学現代アジア研究所のジェフ・キングストン所長は「このような大きな政策変更において世論に向き合わなかったことで安倍氏は日本の憲法と民主主義を冷笑しているのだ」とし、「有権者が彼を選んだのはイデオロギー面での政策ではなく景気政策に期待したからだ。景気が勢いを失えば、人々の忍耐も限界に来るかもしれない」と語った。》


 そんな、到底容認できない「解釈改憲」。
 ★琉球新報は、怒りに満ちた社説を出している。さすが沖縄。
 《「限定」の偽装  世論調査で行使容認への反対は過半数に上る。それなのに政府は国民に諮ることなく決めた。・・政府・自民党は新3要件をうたうことで「限定容認」を強調する。だがそれは偽装にすぎない。政府が対象だと言えば、何でも対象となる。事実、石破茂自民党幹事長は、中東の一国からの石油の輸送も「根底から覆される」事態に含むと述べた。経済的利益も対象なのだ。「地理的限界」も無いから、文字通り地球の裏側も対象だ。このどこに「限定」があるのか。
 集団的自衛権の本質は、日本が攻撃されていないのに参戦するということだ。すなわち自衛隊が海外で他国の人を殺すことである。他国が日本を攻撃する危険性が高まるのは必然だ。その現実を正面から国民に説明しない政府の姿勢は姑息すぎる。》


 ともかく、各種の報道を記録しておく。

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●集団的自衛権:閣議決定 9条解釈を変更、戦後安保の大転換
      毎日新聞 2014年07月02日
 政府は1日、臨時閣議を開き、憲法9条の解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認すると決めた。集団的自衛権は自国が攻撃を受けていなくても、他国同士の戦争に参加し、一方の国を防衛する権利。政府は1981年の政府答弁書の「憲法上許されない」との見解を堅持してきたが、安全保障環境の変化を理由に容認に踏み切った。自国防衛以外の目的で武力行使が可能となり、戦後日本の安保政策は大きく転換する。

 閣議決定文の名称は「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」。安倍晋三首相は閣議後に首相官邸で記者会見し、「海外派兵は一般に許されないとの原則は全く変わらない。日本が戦争に巻き込まれる恐れは一層なくなる」と理解を求め、内閣官房に関連法案作成チームを設ける考えを示した。

 今回の閣議決定は、81年見解の基となった72年国会提出資料の「国民の権利を守るための必要最小限度の武力行使は許容される」との考え方について「基本的な論理」とし、「今後とも維持されなければならない」と位置付けている。そのうえで「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃」が発生し、「我が国の存立が脅かされ、国民の権利が覆される明白な危険」があれば武力行使できると明記。「国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合がある」との表現で、集団的自衛権の行使容認に加え、集団安全保障も否定しない。

 併せて「自衛権発動の3要件」に代わる武力行使の新3要件を策定。日本に攻撃がなくても「我が国の存立が脅かされ、国民の権利が覆される明白な危険」があれば武力行使できるとした。公明党の山口那津男代表は記者会見で「憲法の規範性を維持する役割を果たせた」と強調。ただ、自衛隊の活動範囲や、何が「明白な危険」に当たるかは示さず、政権に裁量の余地を残している。武力攻撃に至らない侵害▽国連決議に基づく多国籍軍支援▽国連平和維持活動(PKO)--などで自衛隊の活動を拡大するため、法整備を進める方針も示した。【青木純、高本耕太】

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 ■ことば
 ◇従来の政府見解
 政府は1972年、参院決算委員会に、集団的自衛権と憲法との関係に関する政府資料を提出。「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される急迫、不正の事態」では「必要最小限度の範囲」の自衛の措置が認められるが、日本が攻撃されていない集団的自衛権は「憲法上許されない」との判断を示した。81年には、集団的自衛権の行使は「必要最小限度の範囲を超えるもので、憲法上許されない」との政府答弁書を閣議決定し、以来、こうした解釈が定着している。

●「平和憲法の精神堅持を」=「歴史修正主義の放棄」要求-集団的自衛権で韓国
               時事(2014/07/01-20:27)
 【ソウル時事】日本の集団的自衛権行使容認について、韓国外務省報道官は1日、「平和憲法の基本精神を堅持し、日米同盟の枠内で、地域の平和を害さない方向で、透明性を持って進めなければならない」とする声明を出した。事実上、韓国政府は反対しない構えだが、世論は「右傾化の動き」との反発が強く、政府は日本の丁寧な説明と、歴史問題への取り組みを求めていく方針だ。
 韓国政府は集団的自衛権の行使容認に、表立って反対してこなかった。米国が支持している上、軍関係者らからは、朝鮮半島有事の際に米軍を後方支援する形で日本の協力を得られるとの期待感もあるためだ。

 一方、韓国メディアは「侵略を反省しない日本が戦争のできる国家になることを看過できない」(文化日報1日付社説)など反発の声が強い。こうした世論を韓国政府も気にしており、日本政府が従軍慰安婦問題に関する河野洋平官房長官談話の検証結果を公表した直後に、今回の閣議決定に踏み切ったことを苦々しく受け止めている。

 声明は「日本政府は周辺国から信頼を得られるよう、歴史修正主義を捨てて、正しい行動を取らねばならない」とけん制した。 
 日本の植民地支配を受けた歴史的経緯から、韓国では自衛隊が朝鮮半島内に入ることに拒否感が強い。声明は「朝鮮半島の安保、韓国の国益に影響を及ぼす事案は、われわれの要請や同意がない限り決して容認できない」と改めてくぎを刺した。

●指針の再改定協議加速へ=米政府、一層の活動拡大期待も-集団的自衛権・海外反響
         時事 (2014/07/01-21:55)
 【ワシントン時事】米政府は、集団的自衛権行使に道を開く日本政府の新たな憲法解釈を歓迎しており、年末に向けて日米防衛協力の指針(ガイドライン)再改定をめぐる協議を加速させる方針だ。ただ、武力行使の許される範囲が期待していたほど広がらなかったとの不満も漏れ、将来、さらなる活動範囲の拡大を求める声が出る可能性もある。

 米国防総省当局者は1日、閣議決定を受け、「集団的自衛をめぐる日本政府の新たな政策を歓迎する」と表明した。当局者はさらに、行使容認について「歴史的」と評価し、「米日同盟における日本の役割を高め、両国間の安全保障協力を強化するとともに、地域の平和と安定に貢献することになる」と強調した。在日米大使館も声明で、「日本の安保協力強化の努力を評価する」と述べた。

 元国務省幹部によると、米政府は長年、日本の憲法解釈変更を待ち望んでいたが、日本国民の反発を恐れ、表向きは口を挟まないようにしてきた。しかし、オバマ大統領は4月の訪日の際、集団的自衛権の行使容認に向けた日本政府の検討を「歓迎し支持する」と表明。大統領が解釈変更への期待を公に口にしたのはこの時が初めてだ。

 米政府はアジア太平洋に戦略の重心を移すリバランス(再均衡)を掲げる。しかし、財政事情が厳しさを増す中、同盟国との防衛協力強化は欠かせない柱の一つとなっている。こうした背景から、米政府は長年の流儀を変えてでも、安倍晋三首相を後押しするのが得策と判断したとみられる。

 ロビン・サコダ元国防総省日本部長は取材に対し、韓国から理解を得る必要性を指摘しつつも、「今回の決定により、日米同盟はより効率的になる。効率的に協力すればするほど、同盟関係は強化される」と、新たな憲法解釈の意義を強調した。
 ただ、米国内に不満がないわけではない。「二重三重の歯止め」(山口那津男公明党代表)がある中で日本がどこまで集団的自衛権行使の範囲を拡大できるかが不確かな上、集団安全保障をめぐる議論が先送りされたためだ。

 米政府高官は与党協議が大詰めを迎える中で、政府・与党関係者に「集団的自衛権の行使が許される範囲は広ければ広いほどいい」と伝えていた。集団安全保障先送りへの失望感は大きく、外交評議会のシーラ・スミス上級研究員は「がっかりした」と本音を隠さなかった。

●安倍首相、安保政策の歴史的変更へ
      ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 原文(英語)2014 年 7 月 1 日 09:09

 【東京】日本の安倍晋三首相は1日、60年にわたって続いてきた日本の平和主義政策の歴史的変更を正式に発表する。これにより、安倍氏が抱き続けてきた個人的な目標は実現するが、一方で有権者を遠ざける可能性もある。

 安倍内閣は1日、日本を取り巻く安全保障環境が「根本的に変容」していると指摘して、憲法解釈の変更を発表し、攻撃を受けている同盟国を自衛隊が支援できるようにする。日本政府はこれまで、米国が作った戦後憲法では、自衛のための限定的なケースを除いて軍事力を行使できないとしてきた。

 憲法解釈を拡大して、いわゆる集団的自衛権を可能にすることで、日本は米国との同盟関係においてこれまでより重い軍事的負担を受け入れることになるだろう。

 ウォール・ストリート・ジャーナルが入手した閣議決定案は、新しい憲法解釈によって自衛隊は「密接な関係にある他国」が攻撃された場合に軍事力を行使できるとしている。安倍氏とその側近は、これによって日本は自国が目標になっていなくても、例えば北朝鮮がグアムなどの米軍基地に向けて弾道ミサイルを発射した場合、これを撃ち落とすことができると述べている。

 閣議決定案は「日米安全保障体制の実効性を一層高め、日米同盟の抑止力を向上させることにより、武力紛争を未然に回避し、わが国に脅威が及ぶことを防止することが必要不可欠である」としている。

 オバマ大統領ら米国の当局者はこの解釈変更を是認している。日本戦略研究フォーラム(JFSS)の防衛研究者グラント・ニューシャム氏は「米国はその時期が来たとみている」とし、「日本の影響力拡大は、米国の国防予算が縮小し、アジアでのプレゼンスを高めるよう(米軍が)強く求められている時に大いに役立つ」と述べた。

 しかし、世論調査ではこの問題での日本人の見方は割れている。日本の三つの新聞―日経、毎日、朝日―が過去1週間に行った調査では、回答者の少なくとも半数が集団的自衛権の行使という考え方に反対し、賛成しているのは3分の1かそれ以下だ。毎日新聞の調査では、解釈変更によって日本が他国の戦争に巻き込まれることを懸念する人は71%に上った。

 この調査では、憲法改正をせず解釈の変更によって大転換を図る安倍氏の手法に国民が不安を抱いていることが示された。回答者の半分以上は、この政策変更は単なる閣議決定で行われるべきではないとし、目的達成のために受け入れ可能なやり方だとしているのは30%以下だった。

 安倍氏は2006―07年の第1次政権の時に軍事力の拡大を目指した。同氏は憲法を修正しようとしたが、リベラル派からの反対や国民の不信感に直面し、1年後には退陣に追い込まれた。12年12月に復帰した際、安倍氏は憲法改正を容易にすることを提案したが、弾みはつかななった。

 安倍氏は、1947年に施行された憲法の文言を修正するというほとんど不可能な作業の代わりに、集団的自衛は憲法の再解釈によって実現できると宣言する道を選んだ。これは連立相手の公明党の反発を招いた。同党は解釈変更は早計であり、不必要だとしていた。しかし、同党の執行部はここ数日の間に主張を後退させ、安倍氏の自民党とともに解釈変更を容認する用意のあることを示唆するようになった。

自民党は、集団的自衛権の発動には新しい法律が議会で承認される必要があると指摘している。衆参両院で過半数を制し、16年までは国政選挙がないとみられることから、現政権は政策に広範な裁量を行使できる。

 安倍政権の支持率は過去数週間にわずかに低下したが、依然として40―50%程度で、これまでの政権に比べれば高い水準だ。

 しかし、不満は膨らんでいるとの見方もある。29日には、東京である男性が焼身自殺をしようとした。メディアやツイッターによると、この男性はラウドスピーカーを使って集団的自衛権を批判する演説をし、その後にガソリンのようなものをかぶって、火を付けた。

 テンプル大学現代アジア研究所のジェフ・キングストン所長は「このような大きな政策変更において世論に向き合わなかったことで安倍氏は日本の憲法と民主主義を冷笑しているのだ」とし、「有権者が彼を選んだのはイデオロギー面での政策ではなく景気政策に期待したからだ。景気が勢いを失えば、人々の忍耐も限界に来るかもしれない」と語った。

●集団的自衛権行使容認受け「無責任な国」と批判や憤る声 憲法学者ら
       神奈川 2014.07.02 03:00:00
 集団的自衛権の行使容認が閣議決定された。憲法学者らからは憲法改正を経ない解釈変更に伴う問題点に早くも批判が相次ぐ。

 「今の自衛隊は紛争の現場では使えないし、使ってはいけない組織。理由は軍事法廷を持っていないからだ」。国連平和維持活動(PKO)やアフガニスタンで多国籍軍の統括に携わった伊勢崎賢治・東京外国語大教授はそう指摘する。

 「兵隊は必ず問題を起こす。派遣先では『あなたの国の法で裁けない代わり、軍法で厳しく罰する』という約束事が必要だ。それがなければ、多国籍軍の統合司令部は怖くて自衛隊を使えない」と伊勢崎教授。

 ところが憲法76条2項は特別裁判所の設置を禁じており、軍法を持つには憲法改正が必要になる。「このまま自衛隊を集団的自衛の現場に出すとしたら、こんな無責任な国はない」。憲法軽視の安倍政権の姿勢がここでも齟齬(そご)を生じているとの指摘だ。

 また、伊藤真弁護士は「政府は行使容認は『安全保障の状況の変化に対応するため』とする。そうした措置は確かに必要かもしれない。ただ、憲法9条がそれを許すかどうかは全く別問題だ」と話す。

 国民の生命や財産を守るのは国家として当然の責務。憲法はそのために何がどこまでできるかを規定しているというのが立憲主義の考え方だ。「9条に照らし、海外での武力行使は今の枠組みではどう転んでも許されない」と伊藤弁護士。「国会で何十年と議論し、駄目と結論づけてきた集団的自衛権の行使容認を明確な説明がないまま『必要性』のみで突破した。それも与党協議や閣議決定という密室で決められた。立憲主義が成り立つ近代国家で、こんなことがあってはならない」と批判を重ねた。 
【神奈川新聞】

●大江健三郎さんら集団的自衛権に反対訴え
       NHK 7月2日 0時03分
戦後日本の安全保障政策が大きく転換された1日、作家の大江健三郎さんらが都内で会見し、国民が納得できる説明をせず憲法も日本語も破壊する異常な事態だと訴えました。

1日夜に会見したのは、集団的自衛権の行使容認に反対する活動を続けてきた「戦争をさせない1000人委員会」のメンバーで、大江さんのほか、作家の落合恵子さん、ルポライターの鎌田慧さんらが出席しました。
この中で大江さんは、「過去の政府見解から全く違う結論を導くなど、国民が納得できる説明をせず、憲法も日本語も破壊する異常な事態だ」と訴えました。
また、憲法学が専門で日本体育大学教授の清水雅彦さんは、「今回の閣議決定はサッカーのワールドカップに例えると、安倍総理大臣だけ手を使うことができる、ルールを無視した決定だ」としたうえで、「秋の臨時国会で関連する法律が改正されないようグループとして反対の声を上げ続けていく」と述べました。

●全国で抗議「憲法破壊、許すな」 集団的自衛権行使容認に反対の声
         (共同通信)2014/07/01 11:10
 集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定が迫る中、反対する市民や学者らが30日、全国で抗議の声を上げた。

集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更に反対し、首相官邸前で抗議する人たちと警備する警察官=30日夕
  ▼「憲法破壊、許すな」 官邸前に市民1万人 
 東京・永田町では、市民らが首相官邸前に集まり「解釈改憲、絶対反対!」「集団的自衛権はいらない」とシュプレヒコールを繰り返した。
 抗議行動は首都圏の市民団体や労働団体でつくる「解釈で憲法9条を壊すな! 実行委員会」と、憲法学者や作家らによる「戦争をさせない1000人委員会」が呼び掛けた。官邸前の歩道は身動きができないほど。主催者発表で約1万人が集まった。
 市民らはプラカードやのぼりを手に、太鼓を打ち鳴らしながら抗議の意思を表明。マイクを通して口々に「安倍首相は現場に行く自衛隊員のことを考えたことがあるのか」「 閣議決定だけで変えるのは 憲法の破壊行為だ」と叫んだ。
 神奈川県横須賀市のフリーターの女性(23)は、短文投稿サイト「ツイッター」で抗議行動があると知って参加。「首相は国を守るためと言っているが、逆に日本が攻撃される可能性を高める。(行使容認で)自衛隊に入る人がいなくなったら徴兵制になるのでは」と心配し「これだけ反対をしている人がいる。与党だけで決めるのはめちゃくちゃ」と訴えた。
 東京都府中市の男性(53)は行使容認について「普通に憲法9条を読んだら、そんなことはできないはずだ。これでは解釈で何でもできてしまう。立憲主義ではない」と語気を強めた。

自民党大阪府連が入るビルの前でシュプレヒコールを上げる人たち=30日午後、大阪市
 ▼ 「戦争したがる総理退陣」 大阪でも抗議
 大阪市でも、自民党大阪府連の入るビル前に市民ら約200人が集まり「戦争したがる総理は退陣」「憲法守れ。ファシズム許すな」とシュプレヒコールを上げて抗議した。
 警察が警戒する中、代表者が閣議決定の中止を求める申し入れ書を手渡そうとしたが、府連の事務所は電気が消えており誰も対応しなかった。
 6歳と3歳の息子を連れた大阪市浪速区の主婦(28)は「子どもらにすてきな未来を残してあげたい一心で参加した。戦争自体をなくせる世の中にしていくべきだ」と訴えた。
 ヘイトスピーチ(憎悪表現)の反対運動をする大阪府高石市の病院職員(46)は「レイシズム(人種差別主義)の台頭とファシズム政権はつながっている」と強調。一方で同志社大1年の男子学生(18)は「戦地に行くのは嫌だが、賛成の人の意見を聞いて、もう少し議論する場も必要だ」と話した。

記者会見で声明を読み上げる国民安保法制懇の伊藤真弁護士(左端)=30日午後、参院議員会館
 ▼学者ら「閣議決定断念を」  国民安保法制懇が声明 
 憲法学者らでつくる国民安保法制懇は30日、「平和主義を捨て去る重大事。一政権の恣意的な解釈変更で認めることは、立憲主義の否定だ。閣議決定の断念を強く求める」との声明を出した。
 東京都内で記者会見したメンバーの伊藤真(いとう・まこと)弁護士は「この国の形を大きく変えることが密室の与党協議でなされてはいけない。真剣な議論なしに国民の命が危険にさらされることは許されない」と訴えた。
  阪田雅裕(さかた・まさひろ)元内閣法制局長官は閣議決定案を引用し「わが国が攻撃を受ける事態以外で『わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される』という事態があり得るのか」と指摘した。
 国際紛争解決に従事してきた 伊勢崎賢治(いせざき・けんじ)東京外国語大教授は「憲法9条は、海外での武力行使を前提にしていない。無責任な状態で自衛隊を海外に出すなら最高司令官を名乗る資格がない」と、安倍晋三首相を批判した。
 憲法改正派の小林節(こばやし・せつ)慶大名誉教授(憲法学)は、解釈変更による行使容認という安倍政権の手法に「憲法の破壊、無視だ。(本来)国民に憲法改正を問うしかない」と憤った。
 国民安保法制懇は5月、 集団的自衛権行使容認 をめぐる 問題点を検討するために結成。メンバーは他に柳沢協二(やなぎさわ・きょうじ)元官房副長官補、 愛敬浩二(あいきょう・こうじ)名古屋大教授(憲法学)ら。

 ▼行使容認「強く抗議」  沖縄県議会が意見書 
 沖縄県議会は30日、集団的自衛権行使を可能にする憲法解釈変更に突き進む安倍内閣に対し「強く抗議し、慎重な審議を行うよう要請する」とする意見書を賛成多数で可決した。社民や共産など県議会野党が提出し、公明党も賛成。自民党は反対した。
 意見書は、太平洋戦争末期に悲惨な沖縄戦を経験した県民の「戦争に対する不安と恐怖はぬぐい去れない」と強調。集団的自衛権が行使され戦争に巻き込まれれば「県民の生命、財産が脅かされ、経済や観光振興など沖縄県への影響は計り知れない」として、国民的な議論をするよう求めた。

●解釈改憲閣議決定 日本が「悪魔の島」に 国民を危険にさらす暴挙
      琉球新報 2014年7月2日
 戦後日本の立脚点を覆す転換が、いともやすやすと行われた。
 安倍内閣が集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更を閣議決定した。これほどの大転換が、主権者たる国民の審判を仰ぐことなく、国会の採決を経ることもなく、一内閣の解釈だけでなされた。立憲主義と法治国家の否定で、内閣による国民からの主権簒奪(さんだつ)、クーデターに等しい暴挙だ。
 国際社会から日本は原理原則の無い国だと見られても仕方がない。安倍内閣は憲政史上、最も法の支配を軽んじた内閣として、歴史に名を刻まれるだろう。

 「限定」の偽装
 世論調査で行使容認への反対は過半数に上る。それなのに政府は国民に諮ることなく決めた。そこに正当性などあるはずがない。
 ここに至る過程がまた姑息(こそく)な議論の連続だった。憲法改正をたやすくする憲法96条改定論が「裏口入学」と批判されると、1959年の砂川事件の最高裁判決を根拠に解釈改憲を図る。だが「判決は個別的自衛権を説明したものだ」と指摘されると、今度は72年の政府見解を持ち出した。「集団的自衛権の行使は認められない」と結論付けている見解を、行使容認の根拠に使うことの倒錯を批判されると、議論は一気に後退した。

 根拠が次々に変遷したこと自体、論理性の乏しさを裏付ける。
 政府・自民党は新3要件をうたうことで「限定容認」を強調する。だがそれは偽装にすぎない。
 「わが国の存立が脅かされ」「国民の生命、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」などとおどろおどろしい言葉を羅列するが、全て抽象語だ。具体性は一切ない。だから政府が対象だと言えば、何でも対象となる。事実、石破茂自民党幹事長は、中東の一国からの石油の輸送も「根底から覆される」事態に含むと述べた。経済的利益も対象なのだ。「地理的限界」も無いから、文字通り地球の裏側も対象だ。このどこに「限定」があるのか。

 集団的自衛権の本質は、日本が攻撃されていないのに参戦するということだ。すなわち自衛隊が海外で他国の人を殺すことである。他国が日本を攻撃する危険性が高まるのは必然だ。その現実を正面から国民に説明しない政府の姿勢は姑息すぎる。

 集団的自衛権行使の例を見ると、56年のハンガリー民主化弾圧、65年以後のベトナム戦争、68年の「プラハの春」など、全てが大国による小国への軍事介入だ。
 ベトナム戦争当時、米軍の爆撃機は沖縄から飛び立ち、沖縄はベトナムの民から「悪魔の島」と呼ばれた。米軍占領下にあり、日本国憲法の適用外だったからだ。

 テロの標的に
 米国の要請によりベトナム戦争に加わった韓国は、ベトナム国民から根深い怨嗟(えんさ)の的となった。当時、日本は憲法の歯止めがあったから参戦せずに済んだが、今後は日本中が「悪魔の島」になる。恨みを買えば東京が、原発が、ミサイルやテロの標的となろう。それで安全が高まると言えるのか。

 安倍晋三首相は「イラク戦争や湾岸戦争に参加するようなことはない」と強調するが、日本は戦後ただの一度も米国の武力行使に反対したことはない。徹頭徹尾、対米従属だった国が、今後は突然、圧力をはねのけるようになるとは、まるで説得力を欠いている。
 運転手がどこへ行こうとしているかも分からず、口出しもできず、助手席に乗るようなものだ。
 他国からすれば無数の米軍基地が集中する沖縄は標的の一番手だろう。米軍基地が集中する危険性は、これで飛躍的に高まった。
 戦後、日本はただの1発も外国に向けて発砲しなかった。非軍事的貢献に特化してきたことによる国際的信用は無上の価値がある。それを失う損失は計り知れない。

 政府は早急に国民の審判を仰ぎ、その民意を反映する閣議決定をやり直すべきだ。民主主義国、法治国家ならそれが筋であろう。

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