毎日、1000件以上のアクセス、4000件以上の閲覧がある情報発信ブログ。花や有機農業・野菜作り、市民運動、行政訴訟など
てらまち・ねっと



 「忘れられる権利」というあまり聞いたことがない言葉、でも、解説を受けなくてもそれなりに納得できそうな言葉。
 今朝のノルディックウォークは、気温22度と昨日までより数度低く、しかも、昨日前線が通過したこともあって大気が入れ替わったからか、さわやかさを感じて気分がすっきりした。
 だから、帰ってから、コヒーを飲んでから、「忘れられる権利」のことを調べてみた。

 ITmedia ニュース 2014年05月14日
 ★《スペインの個人がGoogleに対して検索結果から不適切な個人情報を掲載するWebページへのリンクを削除するよう求めていた裁判に関し、欧州連合の最高裁に当たる欧州司法裁判所がGoogleは該当するリンクを削除しなければならないという裁定を下した。・・Googleのような検索エンジンオペレーターは第三者のWebページに表示される個人情報へのリンクの処理に関して責任があると判断した。検索エンジン企業は一般人から要請があった場合、「不適切な、無関係あるいは既に無関係になっている、過度な」データを検索結果から削除しなければならないとしている。》

 ふむふむ。それに対するGoogleの対応は
 ★《Googleは各メディアに対し、「これは検索エンジンとオンラインパブリッシャー全体にとって残念な裁定だ。(中略)この裁定の影響を分析するための時間が必要だ」という声明を発表した。》(ITmedia)

 とはいうものの、Googleは
 ★《Google、「忘れられる権利」対応の削除リクエストフォームをEUユーザー向けに公開したという》(ITmedia)

 反響は早く、大きかったらしい。
 ★《Googleが削除依頼ツールを設けた初日1万2000件の申込みが有り、5月29日~6月30に約7万件の依頼が寄せられた。要求1件につき、平均3.8本の記事が対象になっているという》(日経)

 すると、日本ではどうしたらいいのかと気になるので調べると、
 ● Google /リクエストフォーマット / Legal ヘルプ しばらく前は、次のように書いてあった(だから記録)けど、今は書かれていない。
 【お問い合わせいただきありがとうございます。恐れ入りますが、現在のところ、お客様の言語ではサポートを提供しておりません。お問い合わせは以下の言語でお送りいただきますようお願いいたします。】

 ともかく、Googleは
 ★《裁決に従い、米Googleは複数の大手ニュースメディアの記事を検索結果から除外した。》(日経)

 でも、ネットの世界は複雑なもの。
 ★《削除対象の記事は、EU向けにGoogleが提供している検索エンジンの検索結果から除外されるが、ネット上から削除されるわけではない。そのため、各メディアのサイトやGoogle以外の検索エンジンからは、依然、検索およびアクセスできる。また、EU以外の例えば米国版Google検索(google.com)などでは、これまで通り検索結果に表示される。
 さらに、記事のリンクが除外されるのは特定の氏名を検索条件に使用した場合に限られるので、他の検索キーワードを使えば、同じ記事が検索結果で提示される。》

 ともかく、読売のリポートは分かりやすい。
 ★《「忘れられる権利」を実行すれば、「歴史を書き換えることになる」「言論の自由の侵害につながる」という説には一理あるが、その一方で、一人勝ちのグーグルの下で生きるのも窮屈だと筆者は感じている。》

 ちょっと違うスタンスのリポートは日経。
 ★《BBCやGuardianなどの多くのメディアは、「忘れられる権利」が表現の自由を侵害し、正当なジャーナリズムを制圧することに悪用されるのではないかと懸念を抱いている。また、不明なGoogleの削除プロセスにも疑問の声が上がっている。》

 懸念については、ロイターがふれている。
 ★《Googleが検索結果からのリンク削除をスタートしたが、記事リンクの削除でかえって過去が蒸し返されるなどの混乱が生じている。リンクの削除要請はかえってその存在を目立たせることになる可能性がある。今後、“忘れられる権利”を行使しようとする人は、この可能性を考えて削除申請をためらうかもしれない。》

 ★《「忘れられる権利」で削除した記事を一部復活 / MdN Design Interactive / この削除にGuardianが抗議した後Googleが複数の記事のリンクを復活させた。これについてGoogleからGuardianに通知されたが、理由などの説明は行われていないという。Googleによる記事の削除・復活の定義があいまいであり、透明性に欠けると指摘が集まっている。》
 
 さらに、驚きは次。「忘れられる権利」を行使した人やその該当ページを公開するサイトが出現したという。
      GIGAZINE 

 「忘れられる権利」・・わかるようで、ネットという世界でどうなっていくのか、紙版で考えれば、例えば、図書館にある過去のデータベースの新聞記事はどう考えるのか、書物の記載はどうするのか・・・答えは見えない問題。

 ●人気ブログランキング = 今、1位
 ★携帯でも クリック可にしました →→ 携帯でまずここをクリックし、次に出てくる「リンク先に移動」をクリックして頂くだけで「10点」 ←←

 ★パソコンは こちらをクリックしてください →→←←このワン・クリックだけで10点
●「Googleは要請があれば個人情報へのリンクを削除すべし」──欧州司法裁判所の裁定
        ITmedia ニュース 2014年05月14日 09時31分 更新
 スペインの個人がGoogleに対して検索結果から不適切な個人情報を掲載するWebページへのリンクを削除するよう求めていた裁判に関し、欧州連合の最高裁に当たる欧州司法裁判所がGoogleは該当するリンクを削除しなければならないという裁定を下した。

 欧州連合の最高裁に当たる欧州司法裁判所は5月13日(現地時間)、Googleはユーザーから要請があった場合、検索結果から個人情報を含むWebサイトへのリンクを削除する責任を負うという裁定を下した。

 これは、スペイン在住のマリオ・コスティージャ・ゴンザレス氏が2010年、Google検索の結果に過去の新聞記事へのリンクが表示されることについて、新聞社とGoogle Spainに情報の削除を命令するようスペイン情報保護局(AEPD)に申し立てたことで始まった裁判に関するものだ。

 AEPDはGoogleに検索結果の削除を命令したが、Googleはこれを不服としてスペインの最高裁に当たるAudiencia Nacionalに上訴し、Audiencia Nacionalが欧州司法裁判所に判断を求めていた。

 欧州司法裁判所の裁定は、Googleは新聞社の2つのページへのリンクを削除しなければならないというものだ。同裁判所は、Googleのような検索エンジンオペレーターは第三者のWebページに表示される個人情報へのリンクの処理に関して責任があると判断した。検索エンジン企業は一般人から要請があった場合、「不適切、無関係あるいは既に無関係になっている」データを検索結果から削除しなければならないという。

 欧州連合の欧州委員会(EC)は2012年に、一般人がWebサービスに対してデータの削除を要求できるようにするための「忘れられる権利(right to be forgotten)」に関する法案(リンク先はPDF)を提出している。

 ECで司法・基本的権利・市民権担当の副委員長を務めるビビアン・レディング氏は自身のFacebookで、この裁定は「欧州における個人情報保護についての明確な勝利だ」と語った。

 Googleは各メディアに対し、「これは検索エンジンとオンラインパブリッシャー全体にとって残念な裁定だ。(中略)この裁定の影響を分析するための時間が必要だ」という声明を発表した。

●Google、「忘れられる権利」対応の削除リクエストフォームをEUユーザー向けに公開
       itmedia 2014年05月31日 07時05分 更新
Googleは欧州司法裁判所による5月13日の裁定を受け、個人が「不適切な、無関係あるいは既に無関係になっている、過度な」情報のURLをGoogleの検索結果から削除するようリクエストするためのフォームを欧州のユーザー向けに公開した。[佐藤由紀子,ITmedia]
 米Googleは5月29日(現地時間)、13日の欧州司法裁判所の裁定を受け、欧州版Google検索での検索結果の削除をリクエストするフォームを公開した。

 欧州司法裁判所はこの裁定で、Googleのような検索エンジンオペレーターは第三者のWebページに表示される個人情報へのリンクの処理に関して責任があると判断した。検索エンジン企業は一般人から要請があった場合、「不適切な、無関係あるいは既に無関係になっている、過度な」データを検索結果から削除しなければならないとしている。欧州連合が2012年に提出した個人データ保護に関する法案で提示している「忘れられる権利」を認めたものだ。

 米Financial Timesの30日の記事でラリー・ペイジCEOは、この裁定後、Googleは既に数千件のデータ削除リクエストを受け取ったと語った。

 フォームによるリクエストは既に可能になっているが、Googleはこの取り組みはまだ初期段階であり、関連するデータ保護機関と協力して数カ月かけて改善していくとしている。

 フォームでは国名を選び、個人名、連絡先のメールアドレス、削除を希望するURL、削除を希望する理由を入力する。また、個人を証明できる文書(運転免許証など)の写真画像(ID番号部分はマスキング可)を添付する必要がある。配偶者や弁護士などであれば、本人以外でもリクエストできる。

 
 Googleは受け取った各リクエストについて、個人のプライバシーの権利と公共の知る権利とのバランスを考慮して査定し、必要と判断すれば削除する。査定の段階で、リクエストは関連するデータ保護機関に転送される。また、URLを削除した場合、そのURLのパブリッシャーにリクエストに基いて削除したと連絡する。

 Googleは従来、削除ポリシーに基いて児童ポルノなどの不適切な画像はリクエストがなくても削除しており、個人情報については銀行口座番号などの重要なものについてはリクエストを受けて削除している。

★じゃぁ、日本では…  ↓
 ★ Google /リクエストフォーマット / Legal ヘルプ

お問い合わせいただきありがとうございます。恐れ入りますが、現在のところ、お客様の言語ではサポートを提供しておりません。お問い合わせは以下の言語でお送りいただきますようお願いいたします。

 English ・・・・・

しばらく前は、上記のように書いてあった(だから記録)けど、今は書かれていない。
 次のページは別だと思う…↓
 ●Google からコンテンツを削除する
        
このページでは、適用される法律に基づき Google サービスからの削除を希望するコンテンツを報告できます。すべての項目に入力していただくと、お問い合わせ内容について Google で詳しく調査することができます。
Google の利用規約やサービス ポリシーに関連する法律外の問題については http://support.google.com をご覧ください。
問題のコンテンツが表示される Google サービスごとに、個別に通知を送信していただけますようお願いいたします。
 どの Google サービスに関連する申し立てですか?
・・・・(略)・・・

●欧州メディア・ウオッチ/「忘れられる権利」で右往左往するグーグル
          読売 2014年07月08日/小林恭子
 ネット上で検索をかければありとあらゆる情報の入手が可能だ。便利だが、個人について不正確な情報があった場合、その人がいつまでも負の影響に悩むこともありそうだ。ネットは「忘れてくれない」性質を持つからだ。

 こうした状況を打開する画期的な判断が、今年5月に出た。欧州連合(EU)の最高裁にあたる欧州司法裁判所が、検索大手グーグルに対し「忘れられる権利」をEU市民に与えるべしという判決を下したのだ。具体的には、検索結果に特定の情報が表示されないようにすることを指す。今月上旬、グーグルは複数のニュース記事の「削除」(不表示)を開始したが、報道機関から不満が出た後で、一部を解除。右往左往状態が続いている。(在英ジャーナリスト&メディアナリスト、小林恭子)

「なぜ僕の記事を忘却させるのか」
BBCのペストン記者はブログで記事が非表示になったことを指摘した(BBCウェブサイト)

 7月2日夕方、BBCのビジネス担当記者ロバート・ペストン氏は「なぜグーグルは僕を忘却のかなたに追いやろうとしているのか」と題するブログ記事をアップロードした。

 そのブログによると、同日朝、BBCはグーグルから通知メールを受け取った。メールには、グーグルの欧州版の検索を使うと、記者が書いた2007年のブログ・エントリーが「残念ながら」表示されないと書かれてあった。該当するエントリーは、米投資銀行メリル・リンチの元トップ、スタン・オニール氏の辞任についてのもの。銀行が巨額の負債を抱えたため、元トップは「追い出された」格好となった。

 不表示は、先の欧州司法裁判所による、いわゆる「忘れられる権利」を保障する司法判断に基づく。これによると、グーグルは個人から自分についての「不適切、関連性がない、あるいは関連性がなくなった」情報についての削除申請があった場合、これに応じる必要がある。

 「削除」といっても、表示結果に出さないようにするだけで、元の情報がネット上から消えるわけではないが、グーグルは欧州の検索エンジン市場で圧倒的な位置を占めるため、検索に表示されないと、まるで情報が存在しないかのような状態となる。

 ペストン記者の記事については、グーグルがなぜ該当のエントリーを不表示と決めたのかが説明されていなかったため、当初、記者は当事者のオニール氏が不表示を申請したと解釈したようだ。

 しかし、午後10時を過ぎても「スタン・オニール」と入力してグーグル検索をすると自分の該当の記事が表示されたため、ペストン記者は「誰かほかの人が不表示を申請したのではないか」と思うようになった。

 翌3日夕方、ペストン記者はアップデート情報を出した。どうやら、エントリーの後についたコメントのいずれかを書いた人が不表示を申請したことが「ほぼ確実になった」。この誰かの名前を検索すると、ペストン記者のメリル・リンチの記事が出ないようになった。

グーグルのちぐはぐな対応
 特定の記事の不表示の通知は、英国ではデイリー・メールやガーディアンにも送られた。ガーディアンには6本の記事の不表示のお知らせがあったという。そのうちの3本はスコットランドのサッカー・クラブのレフェリーについてのものだった。このレフェリーは選手に罰則を下すときに嘘うそをついたことを認めていた。

 2日、グーグルの英国版サイトで「レフェリーの名前、ガーディアン」と入力すると、前日までは表示されるはずだった3本の記事が出てこなくなった。一方、グーグルの米国版を使うと検索結果に表示された。この模様をガーディアンの記者が早速記事化した。

 3日になって、一旦いったんは不表示になっていた先の数本の記事がグーグル英国版でも通常通り、表示されるようになった。グーグル側は試行錯誤中のようである。

 4日、BBCのラジオ番組に出演したグーグルの広報担当者は処理作業をどう進めるかについて「学習中」であることを認めた。

 グーグルによると、5月中旬の欧州司法裁判所による判断確定後、不表示を求める申請が欧州各国から殺到した。今月3日時点で、申請総数は約7万件。最も多かったのはフランス(1万4086件)、これにドイツ(1万2678件)、英国(8497件)、スペイン(6176件)、イタリア(5934件)が続いた。先の例以外にも不表示のお知らせが届いている報道機関はありそうだ。

 不表示は「言論の自由の侵害につながる」として反対する見方は根強い。デイリー・メールの電子版「メールオンライン」の発行人マーティン・クラーク氏は米AP通信の取材に対し、リンクを削除するのは「図書館に行って、気に入らない本を焼いてしまうのと同じだ」と述べている。

 「『知る権利』と個人情報を保護する『忘れられる権利』との戦いが起きている、バランスをどこでどう取るかが重要だ」という論考を複数見かけた。

 しかし、この点も確かに重要だが、欧州で大きな危機感をもって受け止められているのが巨大なグーグルの存在であることは見逃せない。

グーグルが決定権を持つ世界
「メディアが『忘れられる権利』に怒るので、グーグルはうれしいだろう」と題するガーディアンの記事(ウェブサイト)
 「メディアが『忘れられる権利』に怒るので、グーグルはうれしいだろう」と題する記事がガーディアンに出た(3日付)。

 もともと、今回の司法判断に従うことに乗り気ではなかったグーグル。申請に十分に対応しないようだと、申請者は欧州各国の情報保護担当局に訴える。これに対処するには時間や手間がかかるし、かといって、毎日増える申請件数に対応するため検索体制をいちいち変えるのは大変だ。そこで、不表示見込みの記事について該当の報道機関に事前に連絡すれば、報道機関のほうで経緯を記事化し、騒いでくれる――。そこでおもむろに表示できるように戻すというパターンにすると、「グーグルにとってはうれしい展開になるだろう」と記事を書いたジェームズ・ボール記者は主張する。

 表示、不表示いずれにせよ、申請をどう処理するかを決めるのはグーグル。その意向によって物事が決まること自体が問題だと指摘する識者は多い。グーグルは欧州の検索市場で圧倒的な位置(国によっては90%を超える)にいるため、ネット空間の情報の流通を牛耳っているとさえ言える。どのメディアも無視できないほど、その存在感は大きい。

 「忘れられる権利」を実行すれば、「歴史を書き換えることになる」「言論の自由の侵害につながる」という説には一理あるが、その一方で、一人勝ちのグーグルの下で生きるのも窮屈だと筆者は感じている。

 一つの私企業が検索市場をほぼ独占している状態を打開する一策として注目を浴びているのがフランス発の検索エンジン「Qwant(クワント)」(本部パリ、従業員25人)だ。

 クワントは昨年から本格稼働。今年3月にはドイツ語版も開始した。ドイツの大手新聞社でグーグルをライバル視するアクセル・シュプリンガー社が6月、クワントの20%の株を取得し、財政的に大きな助っ人を得た。2011年に起業したばかりの会社で「プライバシー保護」を特徴としているが、さてどこまで伸びるだろう。

●Google、「忘れられる権利」に応じた措置で英メディアの記事を削除
           日経 2014/07/04鈴木 英子=ニューズフロント (筆者執筆記事一覧)
 欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(ECJ)が下した「忘れられる権利(right to be forgotten)」を支持する裁決に従い、米Googleは複数の大手ニュースメディアの記事を検索結果から除外した。英Guardianと英BBCが現地時間2014年7月2日、Googleから削除通知を受け取ったことを報告している。

 Guardianは、6つの記事のリンクがGoogleの検索結果から削除された。そのうち3つは、サッカーのDougie McDonald審判に関する2010年の記事で、同氏はPKの判定で虚偽の説明をしたことが問題となり、辞職した。

 BBCは1件の記事が削除されたとの通知を受け取った。2007年にRobert Peston記者が、米Merrill LynchのStan O'Neal最高経営責任者(CEO)の更迭に関して執筆したブログ記事だった。

 Googleは2014年5月13日に、スペインの男性が自身に関する過去の情報へのリンクを検索結果から削除するよう求めてGoogleを相手取って起こしていた裁判で、「一定の条件のもと、個人情報を含むWebページへのリンクを検索結果から削除する義務がある」とする判決を受けた。これに応え、Googleは、ユーザーが検索結果からの情報削除を依頼するためのツールを5月末までに設置。6月26日に削除作業を開始したと報じられた(関連記事:Google、「忘れられる権利」に対応した検索結果の情報削除を開始)。

 米New York Timesによると、Googleが削除依頼ツールを設けた初日1万2000件の申込みが有り、5月29日~6月30に約7万件の依頼が寄せられた。要求1件につき、平均3.8本の記事が対象になっているという。

 削除対象の記事は、EU向けにGoogleが提供している検索エンジンの検索結果から除外されるが、ネット上から削除されるわけではない。そのため、各メディアのサイトやGoogle以外の検索エンジンからは、依然、検索およびアクセスできる。また、EU以外の例えば米国版Google検索(google.com)などでは、これまで通り検索結果に表示される。

 さらに、記事のリンクが除外されるのは特定の氏名を検索条件に使用した場合に限られるので、他の検索キーワードを使えば、同じ記事が検索結果で提示される。


 Googleの通知には、削除の依頼者や削除の理由については記載されていない。BBCの対象記事は、通知を受け取ったあとも「Stan O'Neal」の名前で検索可能であるため、記事本文ではなく、コメント欄に名前が残っている誰かが削除を依頼した可能性もあるという。

 BBCやGuardianなどの多くのメディアは、「忘れられる権利」が表現の自由を侵害し、正当なジャーナリズムを制圧することに悪用されるのではないかと懸念を抱いている。また、不明なGoogleの削除プロセスにも疑問の声が上がっている。

●グーグル「忘れられる権利」要請7万件超、大手メディアにも影響
           〔AFP=時事〕(2014/07/04-13:17)
【ロンドンAFP=時事】インターネット上での「忘れられる権利」を認める判決を受け、米検索大手グーグルが欧州の利用者を対象に5月30日に受け付けを始めた個人情報の削除要請が、7万件を超えたことが3日、分かった。影響を受けたサイトの中には、世界の大手メディアも複数含まれている。(写真はグーグルの検索ページを映したコンピューター画面)

 欧州司法裁判所(ECJ)が「忘れられる権利」を認めた裁定に従い、グーグルはこれまでに英国放送協会(BBC)のブログ記事1件と英紙の記事数件に関し、閲覧を制限した。グーグルによると、これまで同社には7万件の削除要請が届いているという。
 ECJは、情報が古かったり不正確だったりするなど特定の条件下で、個人が自分に関する情報へのリンクの削除を求める権利を認めていた。
 しかし、BBC経済部編集者のロバート・ペストン氏は、07年に米証券大手メリルリンチの会長だったスタン・オニール氏について書いた投稿が、欧州での一部の検索結果から削除されたことを知り、グーグルによって「わたしのジャーナリズムの一例が殺された」と非難している。
 
また英紙ガーディアンも、同紙の記事へのリンク6件が検索結果から削除されたと通知を受けた。うち3件は2010年に起きたサッカー、スコティッシュ・プレミアリーグの審判、ドーギー・マクドナルド氏(現在は引退)をめぐる論争に関する記事だという。グーグルからはリンクを削除した理由に関する説明はなく、不服を申し立てる機会も与えられていないとガーディアン紙は述べている。

 世界最大のニュースサイト「メール・オンライン」も、マクドナルド氏に関する記事へのリンクを一部検索結果から削除したとの通知を受けたという。同サイトの発行人マーチン・クラーク氏は「こうした例は『忘れられる権利』がいかにばかげたものであるかを示している。図書館に行って、気に入らない本を燃やすのと同じ行為だ」と批判している。【翻訳編集AFPBBNews】


●Google、“忘れられる権利”対応を開始 忘れられたい人が逆に目立つ混乱も
        itmedia [4日 ロイター] 2014年07月04日 17時40分 更新
欧州裁判所が裁定した“忘れられる権利”を守るため、Googleが検索結果からのリンク削除をスタートしたが、記事リンクの削除でかえって過去が蒸し返されるなどの混乱が生じている。(ロイター)

 米Googleは7月3日(現地時間)、英Guardianの複数の記事へのリンクについて、検索結果から削除する決定を覆した。欧州当局による“忘れられる権利”に関する裁定を順守することの難しさを浮き彫りにした形だ。

 Guardianは、2010年にサッカーのある審判がペナルティキックの決定を覆したことについて嘘をついたという同紙の記事が検索結果から削除されているとして、Googleに抗議した。誰がGoogleに対して削除を要請したかは不明だ。

 また、Googleは英BBCの記事も検索結果から削除した。この記事は、米Merrill Lynchの前CEO、スタンレー・オニール氏が2007年に同行が数十億ドルの損失を出した後、辞任したことについてのものだ。

 欧州司法裁判所(ECJ)は5月、Googleは要請があれば個人情報へのリンクを削除する責任があると裁定した。だが今回の出来事は、市民の“忘れられる権利”をGoogleが守る方法が不確かなことを浮き彫りにしている。

 プライバシー擁護派は、こうしたメディア検閲をめぐる反動は、この裁定の危険性と実施の難しさを照らし出していると述べる。裁定の健全性について議論が盛んになることは、Googleにとっては有利になるだろう。検索サイト大手の同社は、当初からこの裁定に批判的だった。

 Googleは既に7万件以上の削除要請を受けており、数日前から削除作業を開始した。同社はBBCとGuardianに削除について連絡し、両社がこの動きについて報じた。

 この事件は、リンクの削除要請はかえってその存在を目立たせることになる可能性があることを示唆している。今後、“忘れられる権利”を行使しようとする人は、この可能性を考えて削除申請をためらうかもしれない。

 電子フロンティア財団(EFF)のパーカー・ヒギンズ氏は「現状を見る限り、確かにうまくいっていない部分がある。ここ数日で、忘れられることを希望した人がかえって以前より注目を集めるというケースを多数目にした」と語った。

 「自分の過去の話を本当に消したい人は、この方法は最善策ではないと考えるだろう」(ヒギンズ氏)

 Googleの目的は、検索サービスの信頼性と有効性を守ることだ。同社が現在どのように削除申請に対処しているのかも、今後どうしていくのかも不明だ。

 Guardianの広報担当者は「Googleの現在のアプローチは拡大解釈に過ぎるようだ。裏口からのメディア検閲を可能にすることが裁定の目的ではないのなら、Googleはリンク削除の決定方法と、メディア側の対策方法を公開すべきだ」と語った。

 Googleは、現在はまだ学習過程だと語った。同社は欧州におけるオンライン検索市場の90%以上を占めている。

 同社は声明文で次のように語った。「このプロセスはわれわれにとって初めてのものだ。今後もフィードバックに耳を傾け、裁定を順守するためにデータ保護専門家などと協力していく所存だ」

 プライバシー擁護派は、Googleがリンクを削除したことをメディアに通知することには、透明性強化の効果があると語る。また、欧州裁判所がメディア報道への影響を含め、裁定の内容について再検討することにつながるとも指摘する。

 米ハーバード法科大学院のBerkman Center for Internet and Societyの共同創設者、ジョナサン・ジットレイン氏は「これはすべての人にとって未開の領域だ。削除通知を受けたサイトが削除要請をした人がやぶ蛇になるような方法で(通知を受けたことを)公表することを選べば、裁判所はそうしたサイトの行為を調査することになるだろう」と語った。

●Google、「忘れられる権利」で削除した記事を一部復活
          MdN Design Interactive 2014/07/08
米Googleは、「忘れられる権利(right to be forgotten)」に従って検索結果から削除した記事のリンクを一部復活したと海外の複数メディアが報じている。英Reutersの報道によると、この権利に基づき削除されていた英Guardianの複数の記事のリンクが欧州向けの検索結果に表示されるようになったとしている。

「忘れられる権利」に従って削除されていた記事について、この削除にGuardianが抗議した後Googleが複数の記事のリンクを復活させた。これについてGoogleからGuardianに通知されたが、理由などの説明は行われていないという。Googleによる記事の削除・復活の定義があいまいであり、透明性に欠けると指摘が集まっている。

●Googleの「忘れられる権利」を行使した人・該当ページを公開するサイトが出現
       GIGAZINE 2014年07月07日 10時57分20秒
私人は個人情報に関する検索結果の削除をGoogleに要求できる」という判決を欧州司法裁判所が下し、インターネット上における「忘れられる権利」が認められ、Googleの検索結果に表示される情報の削除要請を所定のフォームから可能になりました。すでに2014年7月ごろから、忘れられる権利を行使して特定のページのリンクがGoogleの検索結果から削除され始めています。

一体どういったページが削除要請を受けているのか気になるところで、「Forgotten Results」が削除要請者・削除された該当ページ・削除されたことを示すソースのリストを公開しています。

Forgotten Results   http://hiddenfromgoogle.com/index.html

記事執筆現在、Forgotten Resultsに表示されている「忘れられる権利を行使した人」は14人。中には「Unknown」と記述されていて、名前が表示されていない人もいます。
リストの最上部にある削除要請者「Peter Dragomer」の右側には、削除されたページのリンクと削除されたことを示すソースのリンクが表示されています。

Peter Dragomerさんの削除要請に該当するページは、
  ・・・・(略)・・・

Forgotten Resultsでは上述のように「削除要請した人物」と「削除されたページ」、「削除事実を示すソース」を確かめられるようになっていますが、「削除事実を示すソース」を確認しても、Peter Dragomerさんが削除要請した可能性が高いことが分かるのみで、実際のところはどうか分からないので、全てをうのみにしてしまわないように注意が必要です。

●「忘れられる権利」の行使にグーグルがしっぺ返し
        ニューズウィーク日本版 2014年07月08日(火)13時16分
 ヨーロッパで下されたグーグルに対する「忘れられる権利」判決。これを巡って、予想した通りの混乱と同時に面白い事態が起こっているようだ。

 周知のように「忘れられる権利」は、グーグルの検索結果に表示される報道の内容を適切でない、すでに無効、あるいは大袈裟であるといった理由で、表示されないようリンク削除を求める権利のこと。

 もともとスペインの男性が起こした訴訟に対して、さる5月にEUの司法裁判所が判決で認めたのが最初だ。この男性は、1998年に地元新聞でローンの滞納によって自宅が差し押さえになった件が報じられたが、それが支払いを済ませた今も検索結果に表示されるのを不服とし、個人として自律的な生活を営むことが阻害されていると訴えていた。

 この判決が下ってから、グーグルには7万件の削除要請が寄せられているという。そして、グーグルはごく最近になって削除作業を開始したようだ。しかし、この判決が起こす混乱は想像に難くない。

 まず判決が、新聞社など昔の記事をそのままにしているメディア会社に対してではなく、グーグルに下されたものだということが腑に落ちない。新聞社が削除していればグーグルにも表示されることはないのだが、なぜかグーグルが対象だ。

 ということは、たとえグーグルが削除しても、新聞社のアーカイブには記録されているわけだ。だが、インターネットを利用する人々のどれほどがその違いを知っていて、グーグルの検索結果と各メディアサイトのアーカイブを比較するだろうか。

 そのためにはちゃんとしたネット・リテラシーと手間が求められるのだが、そこまでやろうという人は限られているだろう。その結果、インターネット上から入手できる情報は、ユーザーによってまだらで不揃いなものになると考えた方がいいだろう。

 そもそも、過去に報じられたことは、間違いでもない限り「過去における事実」としてアーカイブに保存され、そうしたアーカイブをいながらにして参照できることが、インターネット時代にわれわれが得たすばらしい特権と学習道具だったはずだ。より向学心があれば、「では現在はどうなっているのだろう」とさらに検索を進めただろう。今回の判決は、アーカイブを掘り起こすグーグル検索の機能を不完全なものにしてしまった。グーグルが今や多数の人々に利用されているという事実を考えると、問題は大きい。

 それに、削除を要請してきた人々の言い分に理があるかどうかを、どうやって見極めるのか。犯罪すれすれの社会的悪事を働いた人物が削除要請をしてきた場合、グーグルはそれに従わなければならないのか。あるいは、要請は無効だと突っぱねることができるのか。そうした判断を、グーグルという営利企業に任せていいのか。リンク削除に関しては、現時点では明確なガイドラインがないため、かなりの混乱が発生するだろう。

 だが、面白いことも起こっている。

 それは、記事が削除されたことについてグーグルがメディア会社に報告し、それによってその記事が新たに陽の目にさらされていることである。

 たとえば、これまでわかっているところで、BBC、イギリスの新聞社ガーディアン、デイリー・メールなどが「残念ながら、御社のこれこれの記事を検索結果から削除しました」という自動告知をグーグルから受けたらしい。

 そのうちガーディアンは、6つの記事を削除されたのだが、そのこと自体を記事にした。3つの記事は、スコットランドのサッカー・プレミアリーグの審判ダギー・マクドナルドが、ペナルティーの理由を偽って辞任に追い込まれた2010年の事件に関することだ。

 同紙は、イギリスとアメリカのグーグルの検索結果を並べ、「このように3記事が削除されています」と比較し、「記事をご覧になりたい方は、どうぞこちらのリンクへ」と過去の記事へ誘導している。こっそり消し去ろうと目論んでいた自分の過去は、これで再び人目を集めることになってしまったわけだ。

 BBCのケースでは、無謀な投資によってメリルリンチを破綻の淵に追いやった元CEOスタン・オニールに関するブログ記事へのリンクが検索結果から削除された。そのブログを書いた記者本人がこれを報じて、「パブリック・レコードから私の記事が削除されてしまったが、この記事の内容は不適切、無関係、あるいはすでに無効なのだろうか。フーム」と皮肉っている。この彼の新しい記事によって、読者は昔のできごとを復習することになった。

 いろいろなケースがあるだろうが、少なくとも上記2件について小気味よさを感じるのは私だけではないだろう。グーグルも削除したリンクについては、「ヨーロッパでのデータ保護法により、検索結果の一部が削除されているかもしれません」と表示している。また、上記のサッカー審判の記事については、ガーディアン紙からの要請もあってグーグルは検索結果を再び表示している。

 ガーディアン紙は、「メディア会社は、報道の自由を阻む間接的な圧力に屈してはならない」と訴えている。ただし、未成年が小さな罪を犯したことを削除すべきかどうかは議論の余地があると言い、それでもそれを議論するのはメディア会社であって、グーグルではないと強調している。もっともな見方だ。

 この「忘れられる権利」は、部分的には同感できるものの、現状のままならば大部分において多くの不透明な問題を抱えていると思う。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )