三重県知事の12月6日の定例会見がWebに掲載されています。
フェロシルト問題についての三重県の行政としての「道義的責任」「条例に罰則規定を盛り込むこと」についての知事の見解に驚きました。
平成17年12月6日 会見の報告 を抜粋要約しました。
● 2.質疑応答
(質)最初にフェロシルトの問題なんですが、廃棄物処理法違反で業者なりを告発されて、もう約1カ月。感想なり、今の胸の内なりをお話いただけますか。
(答)県としては認定に関わった道義的責任を感じながらも、一方で石原産業の行った不正行為に対しては、本当に強い憤りを今も感じているところでございます。
(質)道義的責任はフェロシルト問題検討委員会がおっしゃってるんですけど、ただ姉歯の問題なんかを見てますと、国も道義的責任とは言ってないですし、普通国民感情からいけば、道義的責任ではなくて実質的責任ではないかという感じになるんですけど、その辺フェロシルトについてはやっぱり道義的責任というお考えなんですか。
(答)一昨日の検討委員会の議論の中でも、この認定審査のことについては「六価クロムの生成および混入を予見することは難しく、したがって認定審査に過失があったと断定することはできない」、その上で「しかしチタン鉱石中に不純物としてクロムが含有されていることは、その予見性がゼロではなかったと考えられる。したがって県は製品認定をしたことの道義的責任を免れることはできない」と、道義的責任と言われているところでございます。
(質)知事はそこから踏み込んで道義的以上にもっと責任はあるだろうとはお考えにはならないんですね。
(答)道義的責任ということは、その責任の一端があるという表現でありまして、道義的という言葉と道義的でない場合と、どう違うのかというのは非常に微妙なものだと、こういうふうに思ってます。
(質)県は平成元年頃から石原産業のアイアンクレーを再利用化しようとする研究をどんどん進めてたわけで、チタン鉱石の中にクロム成分があることは認識していたわけで、そのことが逆に引き継がれてなかった?アイアンクレーもしくは後のフェロシルトになるチタン鉱石の中にクロム成分が含まれていて、そういう技術的なことが全然県として引き継がれていなかった、その辺の責任はどうですか。
(答)六価クロムが含まれているという認識があったわけではなくて、六価クロムが含まれていないという石原産業の言っていることが前提となって進んでいた部分があった。
(質)元年の研究で魚礁にも使おうということで、魚礁の実験もしたらしいんですけども、それは失敗したということなんですけども。
(答)ちょっとそこまで私は詳しく分かりません。担当に聞いてください。
(質)一言で道義的責任だけで済まされている感じがするんですけども、実質的に石原産業のアイアンクレー、フェロシルトを県は知っていたという前提があると思うんですが。
(答)そういうことも確認してません。記者さんのそういうご判断があるとすれば、担当の方にもう一度確認してください。
(質)四日市の保健所の時の職員の方の書類等の偽造とか、あの時もちょっと話が出てたんですが、要は行政というのはいつも性善説に立っていると。で、マニュアルというのは本来性悪説なんですけども、そういう観点ではものを見ない。
(答)一般的な社会というのは、そういう善良な立場でお互い、この世の中一緒に暮らしているんだという意識があると思いますね。組織においても。しかしリスクマネジメントはそういうケースが破られるということがあるんだという前提に立って、リスクマネジメントそのものは性善説だけに立って考えるというわけにはいかない。
(質)冒頭、フェロシルトの検討委員会から報告書を受けると。で、同時に県庁内で調査検討体制ができているとおっしゃったんですけど、それを改めて教えていただけますか。今、庁内に調査検討体制ができているからとおっしゃったんですけど、それは何ですか。
(答)それは冒頭のフェロシルトの関係については、副知事に指示をいたしまして、それでフェロシルト問題についての庁内での検討をやるように申しました。主に環境森林部と、それから防災危機管理局とが関わりながら、それに総務局やそういったところも関わりながら検討してもらっております。
(質)それは名前ありましたか。
(答)別に名前はありません。
(質)では危機管理部門はさっき言ったリスクマネジメントなんでしょうけども、総務局とか環境部分ではどのような検討内容ですか。
(答)それはまだきちっと報告できるような状況ではありません。
(質)取りあえず報告書を受け、年内に方向付けを出されると?
(答)フェロシルトの問題については、さっき申し上げたとおりです。
(質)方向付けをね。
(答)ええ、今年中にだいたい。すぐにできることはもちろんやってまいりますし、フェロシルトの認定問題等に関わる、直さなければならない点については、それを挙げた上で今後それに向けて作業を進めていくということになると思います。
(質)総務局が関与する部分というのは、どんな問題なんでしょうか。
(答)県議会の担当窓口になっておりますのが総務局でもありますし、条例だとか、そういった法務の関係も出てきますし。
(質)検討委員会の審議の結果の中で、リサイクル推進条例の中に罰則規定を盛り込むべきだという意見が出たようなんですが、仮に条例の中に罰則を盛り込むという、罰則という意味の中に、例えば罰金だとか刑事罰を伴うような刑事的な責任を問うような項目を盛り込むのか、それとも社名の公表だとか、例えば県の指名業者から指名を停止するというようなものから、いろいろ意味があると思うんですが、どういった形の罰則が今の段階で想定されますでしょうか。
(答)罰則規定について、まず設ける設けない、あるいは中身がどうなのかという前に上位法に照らして、条例として盛り込む場合にどこまでの範囲が可能なのか、そういったことがまず前提となると思いますね。それに基づいて罰則規定をやるということだと思います。罰則も、例えば何らかの改善命令等の措置をした上で、それが効かない場合にどうだとかいうような規定の盛り方はできるかもしれませんね。しかし、この罰則規定そのものも上位法と照らす中で県が思うようにできるのか、ちょっとそこら辺の法的な整理をしないといけないと、こう思います。
(質)条例では罰則規定を設けるのは、現在の法体系の中では割と難しいという専門家の話があったようですね。
(答)罰則規定については、条例の場合には必ず上位法との関係でどこまで盛り込めるか、かなり限界のあるものも多くありますので、そういったことを十分今後勉強していかなければいけないということです。
(質)知事ご自身としては罰則規定を設けることについては是とされる?
(答)やはりこの条例に限らず、ある意味でコンプライアンスをきちっと守らせる、あるいは社会的な公正ということ、あるいは公平というような観点から、それをやはりきちっと徹底させていく意味では有効な手段の一つだ。しかし、これは行き過ぎがあってはいけない。
(質)ただその場合、罰則規定を設けた場合は本来の推進条例ではなくなってしまうんではないかという気がしますが?
(答)委員の方のご意見の中にも、特に座長が確か最後の記者会見の席で、やはりこのリサイクルシステムを今後展開をしていくということは、循環型社会形成にはとても大事なことなので、少なくともリサイクル促進の気運を妨げないことがやはり大事ではないかというご指摘があった。このことは私大変、また一方で大事なことだと、こういうふうに思っております。そういう中で十分検討していくべきことだと、こう思ってます。
(質)ただそうは言っても、木材とか間伐材のリサイクルというような安全な範囲のリサイクルはそれでいいとして、このような危険性のあるようなものをリサイクル製品に含んでいくというような体制はいかがかと、だから国の特管(特別管理産業廃棄物保管基準)とか、そういう問題が出てくるんですけども、その辺の区分はいかがですか。
(答)これも今後十分検討させていきたいと、こう思います。しかし少なくとも私どもが日常生活を送っていく中で、いろんなものを使っている、その製品を作るのにいろんな有害物質が出されてくる、そういった有害なものについても、今後の新たな技術開発によって、それを無害化することができる、あるいはさらに有効な処理方法が見つかるというようなこともある。そういったことの取り組みについても、これに蓋をしてしまう、閉ざしてしまうということもいかがなものなのか、こういった考え方も今回の検討委員会の方の意見には含まれているように思います。
(質)堂々巡りですけども、今言われたことがフェロシルトの出発点でしたよね。産業廃棄物を有効なものにしようと、それで循環型社会を構築しようとしたんですけども、県はそれを見抜けなかったわけですよね。だから見抜く力のないものには県は関わらない方がいいんじゃないですか。
(答)したがって、認定問題については今回のこの報告をいただくことを踏まえながら検討をしてまいります。そして県の認定制度についても、県としてどこまでできるのか、現実問題として県として対応できる限界も考えながら整理をしていったらいいことだと。
※ 次回の三重県知事の定例会見は12月27日(火)の予定です。
ここで引用されている「検討委員会」のことについて解説した12月18日のブログがありました。
フェロシルトと御用学者 2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このブログのフェロシルト関連記事をみるには、ブログ横のカテゴリー欄の「フェロシルト」をクリックしてください。
| Trackback ( )
|