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てらまち・ねっと



 議員のボーナスの上乗せの問題を昨年の12月議会で一般質問した。
 市長は、議員の多数がいいといえばともかく、今のところその考えは無いとの答弁だった。
 ところが、・・・昨日17日の朝刊社会面には、「期末手当加算廃止」と大きく出ている・・・なんとまぁ

 昨年11月、事前にインターネットで調べたら、埼玉県内では「やめるよう」に直接請求したけど市長も議会も拒否したというデータ、大阪府内では住民監査請求したけど棄却された例・・・、ハードルは高そうにも見える。
 
 しかし、そこは、やり方次第・・・
 あっさりと廃止方向に傾いた。その経過は次のよう。

 1月15日に、議会の全員協議会が開かれた。
 議題は、多数会派から議長に「政務調査費廃止」「費用弁償廃止」の求めが出されたとの説明。1年前の「選挙公営条例廃止」の議員提案のとき、議場で、私の質問に対する提案者の答弁は、「政務調査費」「費用弁償」も見直すを答えていたから、結論までに1年かかった。
 ともかく、この2つのことだけでも大ニュースなのに、議長らは広報せず。

 3番目の議題は「その他」。副議長が「寺町君が研究しているボーナス加算のこと、考えておいてください」との意見の後、別の話。
 他の議員からも、何の意見もまっくた出なかった。
 ひとことでいえば、「そのうち考えるさ」の雰囲気。

 16日午前、総務部長と議長に「ボーナス加算の廃止の直接請求の開始の書類を17日に出すから」と伝え、下記の資料のとおり、報道機関にも案内した。

 16日夕方、議長から電話があって、「きょう、市長への会派の予算要望で2つの(与党)会派が集まったので、寺町君が直接請求するとの話をしたら、議員提案で『ボーナス加算の廃止』をするということにまとまったから。もちろん、直接請求はやってもらったらいいから」と。

 町や村の議員も国会議員ももらっている「ボーナス加算」を廃止するなんて、たぶん全国に例がないのに・・・・
 なんと、「状況即対応」というか、ポリシーがあるのか無いのか・・・
 17日の朝刊には、一部の新聞に大きく出ている。彼らはそこだけに流したらしい。

 昨年、自主解散請願を採択すべきとした議会運営委員会の決定すら覆したほどの山県市議会。多数会派が「まとまった」からといって、最終的に議場で提案するかは不明。
 だから、「ボーナス加算の廃止」請求運動はスタートし、続ける必要はある。

 とはいえ、それだけでは不十分だから、昨年夏ごろから意見の出ていたところの、「倫理条例」制定の直接請求も同時に開始することに、決断した。急遽。
 私たちは、「ボーナス加算の廃止」とともに、「倫理条例」制定の直接請求の開始もできるように準備をしていたからできたこと。

 この経過の論点を整理すれば

 ◆「議員みずからボーナス加算廃止を決断せざるを得ない状況づくり」
 ●「全員協議会の議論もなしに、飛躍した結論を出す会派・議員の数の横暴」
 ◎「直接請求は、民主主義における『伝家の宝刀』といわれる。まさにその通り。抜こうと手をかけただけで切れた」

 ともかく、2つの直接請求の手続き書類、関係書類となどは順にアップしますから、やってみたい人、しばらくはご注目を。
 いつもどおり、
 「転用・修正などご自由」「各地でご自由に」ですから。

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 (事前状況)
 一般質問の内容 通告文 ⇒ 12月12日ブログ
 全戸配布のニュースでお知らせ ⇒ 12月16日ブログ
 冬休みの話題にしてもらうために年末に「答弁」をニュースで ⇒ 1月5日のブログ

 15日の全員協議会での副議長のことば
     「市民から、『おまえら、ボーナスも 水増し しとるんか!』といわれる」

    
(どの写真もクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)
 印刷用 上記の文書 PDF版 4ページ 470KB

                           2008年1月16日
報道機関の皆様
                              山県市  寺町知正
                     Tel/fax 0581-22-4989                    (山県市の条例改正を実現するための直接請求
                      請求代表者  寺町知正・長屋正信)
  議員のボーナスの加算制度の廃止を求める直接請求について

いつもお世話になります。
山県市は、旧山県郡の三町村が合併して誕生しましたが、合併の後も財政状況が悪化し続け、大変厳しい事態です。山県市は、これら諸事情から、水道料を2007年4月から3年間で一律に5割引き上げ、保育料も同4月から大幅に引き上げ、2008年4月からは農業集落排水使用料も大幅アップ、市営のケーブルテレビ・CCY利用料も倍以上に値上げになります。その他、市民生活にしわ寄せしています。
他方で、市長や議員の選挙のあと、「候補者が使ったポスター代や選挙カーのガソリン代や運転手の日当などを税金で負担する」という制度、前回選挙で1000万円以上を税金で負担した制度は、2007年冬の私たち市民の直接請求をきっかけにして条例(制度)が廃止されました。とはいえ、その後に発覚したポスター代水増し詐欺事件は、全国に山県市議会の汚名を伝えることになりました。

財政がとても厳しい以上、非常勤職員である議員への人件費の支出なども見直すべきです。山県市では現在、常勤の市長らの期末手当は「給料月額の20%を増した額」を「基準額」としています。ところが、これが議員の期末手当にも適用されています。法律にこの制度の根拠はありません。20数年前から、加算率こそ違え、全国のほとんどの自治体の議員の期末手当にこの加算が適用されているようですが、知る人は一部です。
市民に各種の値上げを提案した山県市長、可決した議会、市民に負担増を求めるなら、議員もガマンすべき、という声が多数あります。このままでは、市民に対して無責任です。

そこで、地方自治法第74条で定める直接請求を行い、条例の「給料月額の20%を増した額」という規定の部分を改正(削除)する条例案を提案することになりました。
手続きのスタートである「代表者証明書交付の申請書」「条例改正請求書」「条例案」を市に提出し、直接請求手続きを開始します。

1月17日(木) 午後2時 山県市役所2階 総務部長へ提出
 提出後、4階議会フロア・ロビーにて、資料の配布やレクチャーをさせていただきます。
   内容の説明はその時に、ということでよろしくお願いします。
※ 議員のボーナス加算は、自治体によって加算率に違いはありますが、「加算なし」という自治体のデータは見当たりません。まして、直接請求によって制度の廃止(条例の該当部分の削除という条例改正)という例は聞き及びません。

●条例制定/改正/廃止の直接請求(地方自治法第74条)の手続き

※地方自治法 第74条 普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(以下本編において「選挙権を有する者」という。)は、政令の定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができる。

2 前項の請求があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、直ちに請求の要旨を公表しなければならない。

3 普通地方公共団体の長は、第1項の請求を受理した日から20日以内に議会を招集し、意見を附けてこれを議会に付議し、その結果を同項の代表者に通知するとともに、これを公表しなければならない。

4 議会は、前項の規定により付議された事件の審議を行うに当たっては、政令の定めるところにより、第1項の代表者に意見を述べる機会を与えなければならない。

5 第1項の選挙権を有する者とは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第22条の規定による選挙人名簿の登録が行なわれた日において選挙人名簿に登録されている者とし、その総数の50分の1の数は、当該普通地方公共団体の選挙管理委員会において、その登録が行なわれた日後直ちにこれを告示しなければならない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1月17日 条例改正の請求  市長に下記3種の書類を提出
「代表者証明書交付申請書」「条例改正請求書」「条例案」
 18日見込み 代表者証明書の交付・告示 
(1/50の法定数は、昨年12月1日基準で計算すると「502人」)
     ↓   告示の翌日から1ヶ月間の署名収集開始。
署名期間中も受任者を増やせる 
2月18日見込み 署名収集終了日

    署名収集期間満了の日の翌日から5日以内に
署名簿を選挙管理委員会に提出
         その時までに受任者一覧も選管へ提出
  ↓ 選管による署名簿の審査、効力の決定及び証明(20日以内)
  ↓ 署名簿の縦覧(7日間) 
  ↓ 選管から代表者に、確定署名数の証明書を交付し、署名簿を返還
  ↓ 請求代表者が市長に条例改正を請求(5日以内)(「本請求」という) 
  ↓ 市長はこの条例改正についての意見書を添えて議会に送付
議会招集(本請求から20日以内)
   ↓ 議会審議
   ↓ 可決の場合に公布される。
                                以上



                            2008年1月17日
報道機関の皆様
(岐阜市内にある報道各社本社・支局などに送信しています)

                              山県市  寺町知正
                  Tel/fax 0581-22-4989 
                  (山県市の条例改正を実現するための直接請求
                      請求代表者  寺町知正・長屋正信)
  
山県市での直接請求は2つの案件を提出します

いつもお世話になります。
 
今朝の一部報道に、山県市のことにつき、議員の提案で条例改正・制度廃止とあります。私たちが昨日の午前、役所にも議長にも伝え、皆さんにも直接請求するとご案内しておきました。その結果であると受け止めます。
15日の全員協議会ではそのような話にならなかったのですか・・・

とはいえ、昨年、自主解散請願を採択すべきとした議会運営委員会の決定すら覆した山県市議会、議会の議論の成否は不明もしくは不透明です。

よって、市民の権利行使としての直接請求は予定通り行います。

  また、「山県市議会議員及び市長等の倫理に関する条例」の制定も検討していたところであり、本日、提出いたします。 

 条例の要点は、次です。第1条は目的を、第3条では「倫理基準」を明確にし、第4条で基準への適合を調べるなど役割を持つ「倫理審査会を設置」し、第5条では疑いをもたれたときは、当人に「自主的な解明」をすることを求めています。第6条では「市民の調査請求権」を直接請求で定める人数の下限を規定し、これが出されたときは、審査会が第3条の基準にあっているかを調査審議し、必要な措置を勧告するというものです。また、第12条から第15条では、警察による逮捕以後や刑事裁判の状況に応じた対応を規定し、説明会の開催や、当人に出席し釈明することを定めています。     

1月17日(木) 午後2時 山県市役所2階 総務部長へ提出
 提出後、4階議会フロア・ロビーにて、資料の配布やレクチャーをさせていただきます。
  内容の説明はその時に、ということでよろしくお願いします。

 以上


●山県市議の政務調査費・期末手当加算、廃止へ  岐阜 2008年01月17日08:38 
 山県市議会は16日、経費節減を目的に、新年度以降の政務調査費と費用弁償、議員の期末手当のうちの月額報酬の20%の加算を廃止するため、3月定例会で政務調査費の交付に関する条例廃止と、議員の報酬、費用弁償および期末手当に関する条例改正について議員発議する方針を決めた。同市によると、期末手当の加算の廃止は、全国的にもあまり例がないという。
 現在、同市議会では、議員活動のための政務調査費が1人月額1万円、本会議や常任委員会に出席した際に支給される費用弁償は1日1000円。
 期末手当は、毎年6月と12月に、月額報酬(32万円)とそれに20%を乗じた額の合計額の2・125倍(6月)、もしくは2・325倍(12月)の金額が支払われている。
 市議会は15日に全員協議会を開き、政務調査費と費用弁償を廃止する方針について大多数の賛成で合意。16日には与党系議員15人が協議し、期末手当の20%加算も廃止する方針を固めた。市によると、政務調査費、費用弁償、期末手当加算が廃止されれば、年間約710万円が削減されるという。
 市議会の与党会派、市政クラブ代表の藤根圓六議員は「市は財政が厳しく、水道料やケーブルテレビの利用料値上げなどで市民の負担が増している。議員も率先して経費削減に取り組む姿勢を示すことが大切」と話した。
 村瀬伊織議長は「自腹を切ってでも、研修や視察に参加する意気込みを持って議員活動をするべきではないか」としている。
 同市では昨年、現職市議らによるポスター代の水増し請求詐欺事件が発覚し、市議5人が辞職した。任期満了に伴い、今年4月に行われる市議選では、定数が現行の22から6削減されて16となる。

【政治】
●議員ボーナスの加算やめます 岐阜・山県市、議案提出へ  中日 2008年1月17日 朝刊
 岐阜県山県市議会が、議員の期末手当(ボーナス)の「特別職加算」を廃止することになり、関連の条例改正案を3月定例議会に議員提案する。加算は人事院勧告に沿って行われており、廃止は全国的にも珍しいという。
 山県市議の現行の期末手当は、6月と12月の年2回に分け、議員報酬の「20%増し」(加算分)の額を計4・45カ月分支給。廃止すれば報酬月額32万円の一般議員の場合、年約28万5000円の手当減になる。
 議会事務局によると自治体によって加算率には差があるが、1990年の人事院勧告で民間の給与実態に合わせて役職加算が認められた経緯から、全国のほとんどの市町村で市長や議員などの特別職の役職に応じ加算が行われているという。
 加算の廃止には市議会で多数を占める保守系市議が賛同しており、ほかに月額1万円の政務調査費、議会や委員会などの出席に対して1日1000円支給される費用弁償も、ともに4月から廃止される見通し。手当加算の廃止と合わせると年約700万円の節約になる見込み。


 (参考資料) ◎ 地方自治法 ⇒ 第8章 給与その他の給付
 ◆ 第203条 1 普通地方公共団体は、その議会の議員、委員会の委員・・投票管理者、開票管理者、選挙長、投票立会人、開票立会人及び選挙立会人その他普通地方公共団体の非常勤の職員(短時間勤務職員を除く。)に対し、報酬を支給しなければならない。

 4 普通地方公共団体は、条例で、その議会の議員に対し、期末手当を支給することができる。

 5 報酬、費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない。

 ◆ 第204条 1 普通地方公共団体は、条例で、前項の職員に対し、扶養手当・・時間外勤務手当、宿日直手当、管理職員特別勤務手当、夜間勤務手当、休日勤務手当、管理職手当、期末手当、勤勉手当、期末特別手当、寒冷地手当・・又は退職手当を支給することができる。

 ◆ 第204条の2 普通地方公共団体は、いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基く条例に基かずには、これを第203条第1項の職員及び前条第一項の職員に支給することができない。



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 自衛隊原因不明の死が昨年の秋、話題になった。
 イラク、インド洋に海外派遣された自衛隊員のうち自殺者が16人。
 政府が閣議決定した答弁書で公にされたもの。社民党の照屋寛徳氏の質問主意書に対する回答。
 政府は国会議員の質問書には回答しなければならず、公表している。
 下記で引用して紹介。

 その他、いくつかの主張なども紹介

 そもそもの自衛隊内部の問題に海外派兵が絡んでいる今の状況。
   2007.12.23ブログ ⇒ 防衛省は闇の中/このご時勢、堂々と裏金を続けてきた組織と「公務員」

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●消える自衛隊員に何が?…外出制限、集団生活、いじめ原因か  2006年9月14日06時00分 スポーツ報知
 青森県むつ市で海上自衛隊艦艇の機関砲誤射があったのは今月5日。同じ日には海上自衛隊の士長(25)が、麻薬特例法違反の疑いで逮捕された。海自隊員らの薬物事件は昨年から相次いで発覚。06年4~8月までの自衛隊員の自殺者は36人と“過去最多ペース”だ。今、自衛隊員に何が起こっているのか。防衛庁では8月に入り、史上初の大規模な「メンタルヘルスに関するアンケート」を実施中。専門家は「以前よりストレスを発散する場がなくなっている」と指摘する。

 身長体重、服装、所持品、体形、髪形など本人の特徴が記された用紙。顔写真が張られ、中には所有する車の車種、ナンバーや、よく行く外出先を示したものもある。まるで“犯罪者”のような扱いだ。

 本紙が入手した「所在不明隊員の保護について(依頼)」と題された紙は、行方不明になっている自衛隊員の保護を呼びかけており、全国の各駐屯地に配布される。毎年、自衛隊では“失跡”する隊員が後を絶たない。

 ある防衛庁関係者は言う。「毎年、春は3~5月、夏は7~9月の人事異動にからみ人間関係の悩みなどで無断欠勤、所在不明になる隊員が多い。特に幹部や陸曹が多く、一部の隊員は鬱(うつ)病になっている可能性があり自殺も考えられるので、全国に“指名手配”となるんです」

 若い隊員のケースでは、集団生活になじめない、外出制限があるため彼女に会えない、先輩のいじめなどが原因で行方不明になるという。発見され保護されても処罰の対象となり、停職または懲戒免職処分となる。

 自殺者の増加も深刻だ。防衛庁によると、自衛隊員の年間自殺者は、01年59人、02年78人、03年75人、04年94人、05年93人と増加の傾向にあり、04年の94人が過去最多。06年も4~8月間の自殺者は36人で、このペースでいけば年間90人に迫る勢いだ。

 軍事ジャーナリストの神浦元彰氏は自衛隊の問題点をこう指摘する。「1つには階級社会の弊害がある。不平不満があっても“階級の壁”によって抑えつけられてしまう。2つめは閉鎖社会で外部とまったく接触がないこと。身内の恥や苦しみは表に出てこない。警察官や消防隊員は一般の人と生活上付き合いがあるが、それもない」

 昨年から相次いで発覚している海上自衛隊による薬物事件も、隊員の心の“闇”をあらわしている。なぜこうした事件が起こるのか。神浦氏は言う。「海自は1回、航海に出ると1か月間帰ってこない。航海中は娯楽もなく彼女とも会えない。かつて月に1回上陸した際には、みなでソープランドに行くなど、どんちゃん騒ぎをしてストレスを発散してきた。それが今は、行儀良くお利口になってきて、ストレス発散をしづらくなってきているんです」

 防衛庁では8月から今年末にかけて「メンタルヘルスに関するアンケート」と題した大規模なアンケートを全国の駐屯地で実施中だ。防衛庁広報課では「このような大規模なものは初めて。自衛隊員のメンタルヘルスに関する関心、知識の度合いを計るために実施した。近年、自殺が増加していることや薬物事件とは関連はない」としているが…。

■主張 イラク帰りの自衛隊員のトラウマと自衛隊の外征軍化が持つ人間性破壊の危険
イラク帰りの中隊長はなぜ自殺したか   「進歩と改革」No.653号 --2006年5月号--
 イラク派遣の自衛隊員が3人も自殺していたとの報道があった(3月10日付朝日新聞)。記事によると、自殺した一人は元中隊長という幹部隊員で、30代の三佐、昨夏、車に練炭を持ち込み一酸化炭素中毒死した。彼は現地でしばしば危険にさらされ、宿営地がロケット砲弾などの攻撃を数回受けたほか、市街地を移動中、部下の隊員が米兵から誤射されそうになり、帰国後も日米共同訓練の最中に、「彼ら(米兵)と一緒にいると殺されてしまう」と騒ぎだしたこともあったという。

 イラクから帰国した自衛隊員は04年1月の派遣開始以来約4500人、うち自殺者は3人、自衛官全体の自殺者は焼く24万人のうち04年度は過去最高の94人(0.04%)、今年度は1月末現在で70人(0.03%)、派遣隊員は0.07%と倍近い上、自殺未遂で入院したり、不眠症で職場に復帰できなかったりするケースも報告され、帰国隊員を抱える師団では「数十人が似た症状を訴え、2人が職場復帰できていない」という。

 自衛隊は非戦闘地域に派遣されることになっていて、戦闘行為は行っていないはずである。それで、こうなのだ(陸自のサマワ宿営地に対するロケット弾などによる攻撃は2年間で12回、路肩爆弾による車両への攻撃もあった)。アメリカのベトナム帰りや、ソ連(現ロシア)のアフガン帰りの兵隊の戦争後遺症は有名である。もちろん彼らの戦闘行為は自衛隊の比ではない。だが、この記事は、自衛隊にもそのような犠牲者が出始めたと考えざるをえない。もちろん初期的な事例ではあろうが、軽視してよいか、自殺、未遂、不眠症自体を重視しつつ、自衛隊が本格的に戦闘に加わったら、どういうことになるのか、今後に対する警告としても深刻に受け止めるべきではないか。

 イラク派遣隊員の自殺について、防衛庁は「原因がどこにあるのか特定できなかった」詳細は「プライバシーの関係上明らかにできない」と言っているそうだが、本音は自殺した個人のプライバシーよりも、自衛隊の内部を国民に見せたくないのではないか。新聞記事で見ても、少なくとも亡くなった中隊長は戦争経験の影響を受けての自殺と思われる。しかし、帰国後には単なる個人的自殺として扱われたとすると、戦争の影響に対する補償などは何もないのではないか。今後、「国際貢献」の名で、実際はアメリカへの貢献のために、自衛隊を外国に出し、やがて憲法を変えて、自衛隊を本格的な外征軍にしていくという改憲論者の筋書き通りに運んだ場合、今回のイラク程度の犠牲者では済まなくなることは想像に難くない。この問題を、もっと深刻にリアルな感覚で議論すべきではないだろうか。

泥沼化するアメリカの派兵にどこまで付き合うのか

 ところで、現実のイラクは「民主的イラク」への移行というアメリカの筋書き通りには進まず、宗派間の対立を呼び起こし、それが内戦状態になって、アメリカは引くに引けない泥沼状態になっている。一時、英軍の撤退に合わせて自衛隊撤退の時期を検討していた日本政府もそれを口に出せなくなってしまった。3月18日の米、日、豪三国外相による「戦略対話」でも、「イラク復興支援」の継続を確認し、「イラクに新政権ができていない段階では(陸自撤退は)理屈が立たない」(麻生外相)と言い出すに至っている。

 自衛隊のイラク駐留の意義を紙上で論じた富沢暉・元陸上幕僚長は「イラクに派遣された自衛隊はこれまで、一人の死者も出さなかった」と言い(3月10日付朝日新聞)、岡本行夫氏は小泉首相は勇気ある決断をしたと言う(同)が、彼らはすでに自衛隊のなかに被害者が出始めている(前述の自殺者、自殺未遂、職場復帰不能、不眠症など)ことを無視している。自殺をプライバシーで片付ける必要性は「一人の死者も出していない」と言うためであったのかもしれない。この人たちはアメリカのなかでさえイラク戦争は間違っていたとの声が強まり、反戦運動が盛り上がって、ブッシュ大統領の支持率が急速に低下している事実にも顔を背けている。

 3月20日は、イラク戦争開始3周年であった。米軍の戦死者は2314人、イラク側の死者は数えきれず10万人以上と言われ(ノーム・チョムスキーも批判しているが、侵入軍の死者は正確に数えるが、侵入された側の死者は正確に数えようともしない。そのこと自体重大で、それは日本軍の南京占領についても言える)、米英側の非政府組織の推計で市民の犠牲者が3万3679人から3万7795人とされている(3月20日付朝日新聞夕刊)。しかし泥沼化している以上、犠牲者はまだ拡大するだろう。このままアメリカの泥沼に付き合うとすれば、自衛隊の犠牲者もさらに拡大せざるをえない。

現代戦争の犠牲者と自衛隊の外征軍化の意図を直視しよう

 第2次世界大戦後、世界で一番戦争をしてきたのはアメリカである。アメリカは世界で最高水準の兵器を持ち、アメリカの軍隊は世界最強と言われている。アメリカ軍は19世紀の南北戦争を最後に自国の国内で戦ったことはない(太平洋戦争における日本のハワイ奇襲ぐらいのものだ)。常に外に出かけて戦っている。それでいて、ベトナム戦争、イラク戦争で幾多の戦死者を出しただけでなく、外傷や精神障害など戦争後遺症に悩む多数の復員者を抱えている。むしろ世界最強の軍隊を外国に派遣して戦わせるからこそ多数の山荘後遺症を抱え込むともいえる。他国に侵入した米軍は世界最強だから一方的殺戮になる。殺戮された側は近代戦ではかなわないからゲリラ化せざるをえない。侵入者は緊張して軍民関係なく殺戮し、恨みを買って、泥沼化する。神経を悩む者が多数発生せざるをえない。外国軍に侵入される側の被害はもちろん侵入者の比ではないが、現代戦における外征軍のうける被害も深刻である。非戦闘地域に派遣されているはずの自衛隊の犠牲者もその初期的な現れとみてよいのではないか。

 ここから次の問題が出てくる。まず泥沼化するイラクに自衛隊を派遣させ続けてよいのかという問題。次にアメリカの要求を受けて集団自衛権を行使できるように憲法9条を変えていってよいのかという問題である。集団自衛権を行使するということは、「同盟国」アメリカと共同して戦争することだから、自衛隊も米軍と共同して外国に出ていき、外国で戦争するということである。小泉首相は「国際貢献」と米国への貢献を重ね合わせて言っているから、憲法を改正して、自衛隊を軍とし、「国際貢献」のなで海外派兵を認め、集団自衛権の行使を認めれば、間違いなくそうなる。そのための憲法9条の会でいである。そのとき自衛隊はもはや「自衛軍」ではなく外征軍となる。米軍とまともに協力して、外国で市民を殺し、ゲリラと戦う日本軍の姿が想像される。そうなれば、多数の日本兵の死者と戦争後遺症者が発生する。イラク帰りの自衛隊員の自殺と後遺症の発生はそのことを予告したと見なければならないのではないか。それを予告とは受け取らず、自殺はプライバシー、イラク派遣自衛隊に一人の死者も出ていないと言うのは、実に冷酷な虚偽宣伝ではないか。

 いま私たちのまえには、在日米軍の再編に基づく日米「中間」合意に合わせた普天間基地の移設、岩国への空母艦載機の移動など多くの問題が地元の反対を無視して強行されようとしている。この再編はアメリカの世界戦略に日本をさらに強固に合体させ、憲法の改悪を必然化させることになろう。名護市、岩国市をはじめ各地の闘いは重要な意義を持っている。地元の合意を軽視する人は、安全保障は国の専権事項だと言う。しかし、専権をほしいままにする者が誤ったらどうなるのか。それが歴史的な大きな過ちだったらどうなるのか。最近、国の権力に反対し、批判する者、反対の行動を行う者を、孤立させ、排除する傾向が目立つ。イラク民衆に連帯しようとして現地入りして、拘束された日本人を「自己責任」として突き放した日本政府の態度はその典型的な例だ。これらは、人権尊重というもう一つの憲法の精神の蹂躙と言わねばならない。闘いの強化が必要である。


    国会資料
平成十九年十一月二日提出 質問第一八二号
イラク帰還自衛隊員の自殺に関する質問主意書
 提出者  照屋寛徳
イラク帰還自衛隊員の自殺に関する質問主意書
・・・・・ さて、イラク、インド洋、クウェートなどに派遣された自衛官の自殺等による死者が多数に上っているらしいとの事実が判明している。
 以下、質問する。

一 テロ対策特別措置法に基づき、インド洋における補給活動に派遣された海上自衛隊員の、派遣時から撤収時までの、重複を含むのべ人数を明らかにされたい。

二 イラク対策特別措置法に基づき、イラクに派遣された自衛隊員の、派遣時から現在までの、重複を含むのべ人数を明らかにされたい。

三 インド洋における補給活動に派遣された自衛隊員、及びイラクに派遣された自衛隊員のうち、在職中に死亡した隊員の数、そのうち死因が自殺であった者、死因が傷病の者、死因が「事故または不明」の者の数を、陸海空自衛隊員毎に明らかにした上で、これらの方々の尊い犠牲に対する政府の見解を示されたい。

四 自衛隊員のうち、インド洋、イラク、クウェートなどに派遣された経験者で、帰還し、退職した後に、精神疾患になった者や、自殺した隊員の数を、陸海空自衛隊員毎に、その数を明らかにした上で、元隊員、または、ご遺族に対し、政府としては、どのような形で責任をとるつもりなのか、見解を示されたい。


   答弁書本文
衆議院議員照屋寛徳君提出イラク帰還自衛隊員の自殺に関する質問に対する答弁書

一について
 我が国は、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成十三年法律第百十三号。以下「テロ対策特措法」という。)に基づき、延べ約一万九百人の海上自衛隊員をインド洋に派遣してきたところである。

二について
 我が国がイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号。以下「イラク特措法」という。)に基づき派遣した自衛隊の部隊の一部については、イラクに入国していない場合があることから、お尋ねの人数について確定的にお答えすることは困難であるが、平成十九年十一月七日現在までに、我が国は、イラク特措法に基づき、延べ約五千六百人の陸上自衛隊員、延べ約三百三十人の海上自衛隊員及び延べ約二千八百七十人の航空自衛隊員を派遣してきたところである。

三及び四について
 テロ対策特措法又はイラク特措法に基づく派遣と隊員の死亡との関係については、一概には申し上げられないが、平成十九年十月末現在で、テロ対策特措法又はイラク特措法に基づき派遣された隊員のうち在職中に死亡した隊員は、陸上自衛隊が十四人、海上自衛隊が二十人、航空自衛隊が一人であり、そのうち、死因が自殺の者は陸上自衛隊が七人、海上自衛隊が八人、航空自衛隊が一人、病死の者は陸上自衛隊が一人、海上自衛隊が六人、航空自衛隊が零人、死因が事故又は不明の者は陸上自衛隊が六人、海上自衛隊が六人、航空自衛隊が零人である。
 また、防衛省として、お尋ねの「退職した後に、精神疾患になった者や、自殺した隊員の数」については、把握していない。
 海外に派遣された隊員を含め、退職後であっても在職中の公務が原因で死亡した場合には、国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)の規定が準用され、一般職の国家公務員と同様の補償が行われるほか、その尊い犠牲に思いをいたし、哀悼の意を表するとともに、その功績を永く顕彰するため、毎年、自衛隊記念日行事の一環として、防衛大臣の主催により、内閣総理大臣の出席の下、自衛隊殉職隊員追悼式を執り行っている。
 政府としては、海外に派遣された隊員が得た経験については、今後の自衛隊の活動に最大限いかしてまいりたい。


 防衛白書 ⇒ ●第III部 わが国の防衛のための諸施策 
2 自衛隊員の自殺防止への取組

   2 自衛隊員の自殺防止への取組

 98(平成10)年以来、わが国では、年間自殺者数が3万人を超え、深刻な社会問題になっている中、自衛隊においても、自衛官の自殺者数は、近年増加傾向にあり、04(同16)年度に94名と過去最多となり、05(同17)年度、昨年度はともに93名であった。
 自衛隊員の自殺は、隊員個人および残された家族にとっても不幸なことであると同時に、有為な隊員を失うことは、極めて残念なことであることから、防衛省としては、03(同15)年7月、防衛庁長官政務官(当時)を本部長とする防衛庁自殺事故防止対策本部(当時)を設置し、自殺防止のため以下のような施策を実施しているが、引き続き、各種施策の強化に努め、自殺防止に取り組んでいくこととしている。

(1)カウンセリング態勢の拡充(部内相談員、部外カウンセラー、24時間受付の電話相談窓口)

(2)指揮官が部下隊員の不調に気づくことができるようになるための教育や一般隊員へのメンタルヘルスに関する教育などの啓発教育の強化

(3)春、夏の異動時期に合わせてメンタルヘルス強化期間を設置し、異動など環境の変化を伴う部下隊員に対する心情把握の徹底や、各種参考資料の配布、講演会の実施など。

   (出典は防衛白書) この目次が分かりにくくしなっている。ひとつずつくりっすると展開する

   目次
平成19年版 防衛白書
第III部 わが国の防衛のための諸施策
  第4章 国民と防衛省・自衛隊
   第1節 防衛力を支える基盤
     3 隊員の処遇と人事施策など
        1 防衛力の人的側面についての抜本的改革に関する検討会
        2 自衛隊員の自殺防止への取組
        3 殉職隊員への追悼など。


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 1月9日にポスター代詐欺事件に関する不起訴処分に対する検察審査会への申し立てのことは、下記にリンクしておきます。
 ここでは、翌1月10日の新聞各紙の報道を紹介します。

 審査会への申し立ての全文や、審査会の機能、手続き、「起訴相当」や「不起訴不当」などの議決の各地の例などを紹介しリンクをつけたページは数日前。 
   ⇒ ◆岐阜検察審査会への審査申立書の全文紹介/起訴相当・不起訴不当の議決を求めて/選挙公費ポスター代詐欺

 岡山の交通事故に関する審査会の議決と検察の拮抗も紹介。「4回目の議決」とか。
 それと、「検察審査会」の委員に当たったとの通知を紹介するブログもいくつかあったのでもそのひとつにもリンク。

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  ●「現職2人の起訴猶予不服」と審査申し立て
     岐阜新聞 2008年01月10日 
 2004(平成16)年の山県市議選をめぐるポスター代水増し請求事件で、同市民らが9日、元市議の横山善道県議(54)と宮田軍作市議(66)を起訴猶予とした岐阜地検の処分を不服とし、岐阜検察審査会に審査を申し立てた。
 申し立てたのは、昨年10月に市議らを詐欺容疑で同地検に告発した寺町知正市議ら3人。
 申立書などによると、同市議選の候補者だった横山県議と宮田市議は印刷業者と共謀し、04年4月ごろ、市に対して実際の4倍程度のポスター代を岐阜市の印刷業者に請求させ、現金をだまし取った。
 県警は昨年7月、詐欺容疑で当時の当選市議7人を書類送検。同地検は同12月、「被害金を返済し反省している」などを理由に、選対幹部や印刷業者を含む計12人を起訴猶予処分とした。当選市議7人のうち、横山県議と宮田市議を除く5人は昨年までに辞職した。
 寺町市議は岐阜市内で会見し、「辞職した5人と辞職していない2人との不均衡は著しい」と指摘。同様の水増し請求が全国で問題となっている点にも触れ「今回の捜査で一定の抑止効果はあったが、今後は政治家の良心に委ねるのみ。公職に就くための不法行為なので、議員を辞めなければ起訴されるべきだ」と訴えた。
 不服申し立てを受け、横山県議は「任期満了まで誠心誠意頑張りたいという思いに変わりはない」、宮田市議は「現職を続けて皆さんの声を市政に届けることで信頼回復していきたい」とそれぞれ話した。(岐阜新聞 2008.1.11)

   ●「審査会の判断期待」
山県市議選のポスター費水増し 申し立て市議会見 
 
 2004年の4月の山県市議選で選挙ポスター制作費を水増し請求し、詐欺容疑で書類送検されたものの、議員にとどまる二人について、起訴猶予とした岐阜地検の処分を不服として岐阜検察審査会に審査を申し立てした寺町知正同市議(54)ら。四日に記者会見し、市民11人で作る審査会に触れて「市民の率直な感覚で判断することを期待したい」と語った。
 県警は昨年7月に市議ら7人を書類送検。昨年12月20日、岐阜地検は市議から鞍替えした横山善道県議と宮田軍作市議の二人を含め、送検された7人について 「被害弁償が済み、罪を認めて反省している」として起訴猶予とした。
 岐阜市の県弁護士会館で会見に臨んだ寺町さんは「捜査が入って具体的に容疑を認め、日本中の政治家が『しゃん』とせざるを得なくなった」と振り返った。選挙公営制度に基づくポスター制作費をめぐっては各地で疑惑が浮上しているが、捜査のメスが入ったのは山県市が初めて。
 申し立ての理由については「選挙の度に税金が無駄遣いされてきた。これで無駄がほとんどなくなるだろうという流れだった。それなのに政治家の良心に期待するしかなくなってしまう」とした。その上で「裁判所の判断で結論を出してほしい。それが有権者の気持ちを納得させる。だからこそ審査会に期待したい」と訴えた。
 一方、横山善道県議は「コメントする立場にない」とし、宮田軍作市議は「国家権力で判断することなので、とやかく言うことではない」と話した。(稲熊美樹)
----------------------------------------------------------------------●山県市議ら2人の処分不服申し立て ポスター費水増し

 2004年の4月の岐阜県山県市議選で選挙ポスター制作費を水増し請求し、詐欺容疑で書類送検され、起訴猶予となった7人のうち、議員辞職していない二人について、寺町知正市議(54)ら3人が9日、岐阜地検の処分を不服として岐阜検察審査会に申し立てした。
 申立書によると、市議ら7人がポスター制作費を11万円-28万円水増しして請求したとして詐欺容疑で送検され、起訴猶予処分となった。寺町氏らは、このうち議員を辞職せず、県議にくら替えした横山善道氏(54)と、宮田軍作・山県市議(66)について、「起訴相当」または「不起訴不当」の議決を求めている。残る5人は昨年、市議を辞職している。(社会面)
(2008.1.10 中日新聞)


  ●【社会】山県市議ら12人起訴猶予 ポスター費水増しで岐阜地検
中日新聞2007年12月21日 朝刊

 岐阜県山県市議選の選挙公営ポスター製作費水増し請求事件で、岐阜地検は20日、詐欺の疑いで書類送検されていた元市議ら7人と、印刷業者や市議の後援会会計責任者ら5人の計12人を「被害弁償が済み、罪を認めて反省している」として起訴猶予処分とした。
 別の市議1人を「請求手続きに関与していない」として嫌疑なしで、印刷業者1人を「元市議が1人でやったと認めている」として嫌疑不十分で、それぞれ不起訴処分にした。
 起訴猶予処分になったのは、横山善道県議(54)と宮田軍作市議(66)のほか、元市議の村橋安治(58)▽渡辺政勝(58)▽武藤孝成(58)▽村瀬隆彦(54)▽吉田茂広(43)の各氏。横山県議は2004年4月の山県市議選で当選後、今年4月行われた統一地方選で県議になった。
 元市議らを告発していた同市の寺町知正市議は、辞職していない宮田市議と横山県議について、岐阜検察審査会に不服申し立てをする方針。辞職した5人については「社会的な批判を受け止め辞めており、あえて厳罰を求めない」としている。
 県警の調べでは、元市議ら7人はそれぞれ印刷業者らと共謀。04年の山県市議選で実際にポスター製作にかかった費用よりも11万-28万円多く市に請求し、市費をだまし取った、とされる。水増し分は公費負担が認められていない選挙用はがきや名刺の印刷などに充て、業者から一部を現金で受け取っていた市議らもいた。

 ●信頼揺らいだ選挙違反 ――回顧2007岐阜(4)再生第一歩に期待  (2007年12月23日 読売新聞)
 「せっかくの選挙だからもうけを出したい」。ポスター印刷業者が、耳を疑いたくなるような胸の内を記者に話した。警察が2004年の山県市議選で、候補者のポスター製作費などを公費負担する制度「選挙公営」の悪用で内偵していることを聞き込み、取材を始めた時に聞いた言葉だ。
 その後、候補者の多くがポスターに限られた公費を、はがきなどの印刷に流用していたことが明らかになった。同市が6月に設置した第三者による「不正請求問題調査委員会」によると、水増し請求の金額は149万1000円に上った。
 警察の捜査が進み、市議や印刷業者ら計14人が詐欺の疑いで岐阜地検に書類送検された。当時の市議7人のうち5人は辞職した。地検は今月20日、「被害弁償も済んでおり、反省もしている」として、不起訴処分にした。
 地検に詐欺容疑で告発していた寺町知正・同市議は「辞めた市議と辞めない市議が同じ処分では納得できない」と、検察審査会に不服を申し立てる。
 山県市の調査をきっかけにして、県議選やほかの市議選のポスター水増し請求の実態も明るみになってきた。実勢価格を大きく上回る値段でポスターを印刷できるなど、有権者の感覚とはかけ離れた選挙公営。山県市の一件は、この制度のあり方にも一石を投じたといえる。

 統一地方選や参院選では、現金買収や投票偽造など選挙違反も目立った。
 「長年、町政に携わってきた私をぜひ、当選させてください」。輪之内町長選の取材で訪れた町文化会館で、候補者と支持者ら十数人が、壇上で一斉に土下座をする異様な光景を見たのは、4月20日だった。
 時代がかった選挙運動で、町長のいすを射止めた元助役は、わずか6日後、運動員49人に1人当たり5000円を配ったなどとして公職選挙法違反(現金買収、事前運動)で逮捕された。
 同町では12年前にも、元町長の運動員が選挙違反で逮捕され、町政が混乱したことがあった。町内に住む農業の男性(65)は「5000円を受け取ったのは、近所づきあいの延長線だった」と自己弁護し、罪の意識は薄かった。選挙で金が動くことに、それほどの違和感をもたない古い体質が事件の温床だった。
 6月の出直し町長選で当選した木野隆之町長は、「町を再生させるため、地域の力を結集させたい」と訴えた。町は商店主らに協力を求め、県内自治体のトップを切って来年1月から、レジ袋の有料化にこぎつけるなど、イメージアップに努める。木野町長は「小さな町だが、CO2削減の一翼を担うことができる」と話す。輪之内町再生の第一歩になることを期待したい。(鈴木徹、沢村宜樹)

 投票偽造
 7月の参院選で、大垣市の特別養護老人ホームの施設長が認知症などの入所者11人の不在者投票を悪用し、投票用紙22枚に候補者名を書き込むよう職員らに指示した投票偽造の罪で、懲役2年、執行猶予5年の有罪判決を受けた。県選挙管理委員会は、病院や老人福祉施設など不在者投票が実施できる指定施設に対し、適正な投票事務を行うよう改めて文書で通知した。(2007年12月23日 読売新聞)


●検察審査会の議決要旨(岡山版)   作成日時 : 2007/12/23 00:51  から引用
「・・・筆者は今回、初めて岡山地裁を訪れたのであるが、全く偶然、検察審査会の「不起訴不当」案件にお目に掛かる事が出来た。
 
 筆者は横浜検察審査会の議決要旨をかれこれ1年以上眺めて来たものの、本欄で紹介した通り、不起訴不当案件はたった1件のみである(注:これまた全く偶然であるが、今月の21日に横浜で久し振りに不起訴不当案件が出て来たので、機会があれば後日紹介したいと考えている)。
 その点については裁判所の職員にも尋ねてみた所、岡山では今年に入って2件目の不起訴不当案件だった、との事。
 いずれにせよ珍しい事には変わりが無い。

 ちなみに、本事件は業務上過失致死事件であり、検察官としては死亡した被害者にも過失があるとして起訴を見送ったようだ。しかし、加害者側は「酒気帯び運転」をしていた事が現場検証の段階で明らかになっていたようでもあり、その点の判断を見誤った様子も窺える。

 今回の結果を受け、検察側が如何なる判断をするのかが注目される所である。」
↓        ↓

     平成19年 岡山検察審査会審査事件 (申立)第16号

申立書記載罪名: 業務上過失致死
検察官裁定罪名: 業務上過失致死
議決年月日: 平成19年12月12日

 上記被疑者に対する業務上過失致死事件(岡山地検 平成19年検第2‐414号)につき、平成19年10月27日上記検察官がした不起訴処分(嫌疑不十分)の当否に関し、当検察審査会は、上記申立人の申立により審査を行い、次のとおり議決する。

* 議決の趣旨: 本件不起訴処分は不当である。
* 議決の理由
1.被疑事実の要旨・・・被疑者は、平成14年12月21日午後10時47分ころ、業務として普通乗用自動車を運転し、岡山市横井上106番地の1先道路を南方から北方に向けて進行するに当たり、進路前方約57.5メートル地点に自転車に乗って道路左側路側帯内を北進中のN(当時19年)運転の自転車を認めていたのであるから制限速度を遵守するのはもとより、同自転車の動静を注視し、進路の安全を確認しつつ進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、前方注視不十分のまま漫然時速60ないし70キロメートルの速度で進行した過失により、自車の進路上を左方から右方に斜め横断してきた同自転車に気付かず、自車左前部を同自転車後部に衝突させて同人を路上に転倒させ、よって同人を同月22日午後5時19分ころ、同市伊福町1丁目17番18号岡山済生会総合病院において、脳挫傷等により死亡するに至らしめたものである。

2.検察審査会の判断
(1)通常、一般的に、酒気を帯びた状態での運転は、運転に必要な認知や動作に遅れが出るといわれており、そうなれば当然のごとく、注意力が散漫になり、状況判断力や運動能力も減退するものと思われる。また、通常、深夜左前方に自転車を発見していったん減速したのであれば、これを追い越すまで減速後の速度で走行し、追い越した後に加速する注意を払うものと思われること。
(2)被疑者は、路側帯内の被害自転車を発見していったん減速したにもかかわらず、その後、被害自転車の側方を通過できるものと思い、これを追い越すために時速60ないし70キロメートルに加速したこと、加速後から衝突するまで全く被害自転車を見ていなかったこと及び衝突して初めて気付いたということであり、衝突前にブレーキ操作やハンドル操作による回避行動は全くとっていないこと。
(3)通常、衝突によりフロントガラスが割れた場合には、反射的に急ブレーキをかけて停止するものと思われるが、被疑者は、衝突から停止するまでに約81メートルも走行しており、反射的なブレーキ操作はできていなかったと思われること。
(4)上記(1)ないし(3)から、被疑者は、飲酒の影響により注意力が散漫となり、状況判断能力や運動能力等が減退していたため、路側帯の白線を越えて車道に進入してきた被害自転車に全く気付かず、これに衝突してしまったものであると思われること。
(5)したがって、被疑者が酒気帯び運転をしていなければ車道に進入してきそうな被害自転車に気付き、衝突を回避する行動をとることができたのではないかと考えられることから、被疑者の酒気帯び運転が本件事故の予見可能性及び回避可能性に大きく影響を与えていたと考えられ、被疑者に業務上過失致死罪の過失が認められるのではないかと思われること。
(6)本件では、酒気帯び運転、速度違反及び前方不注視義務違反の3個の違反がつながった結果、人の死という重大な結果が発生しているにもかかわらず不起訴となることは納得できない。
(7)よって、再度検察官の再考を促すため、本件を不起訴不当と判断した。


●検察審査会検察審査員候補予定者 にリンク 
   なんだか判らんがタイトルの案内が来てる。

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 大阪府の知事選、最初の日曜日の報道。
 三者三様とはいえ、共産党は今までどおり、自民の橋下弁護士は最近に多い傾向の政党隠しの戦術、民主の熊谷氏は珍しく堂々と民主を正面から出して・・・そういう意味では珍しいことかな。
 ともかく、政党がきっちり分かれていることに変わりはない。
 
 文末に、経済界について「大阪府知事選は中立」という記事。
 前知事の失脚の一番のきっかけの一つが経済界との結びつきの問題の露呈があったことを思えば当然だろうが・・・ 
 そのあと、大阪特有の「お笑い100万票どこへ『身近な人を』『アンチ権力』」というデータを使った記事を引用。
 
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 ●知事選2008 選挙サンデー  (2008年1月14日 読売新聞)
人波求め訴え熱く
 知事選告示後、初の日曜日を迎えた13日。弁護士・梅田章二(うめだしょうじ)氏(57)(共産推薦)、自民党府連推薦、公明党府本部支持の弁護士でタレント・橋下徹(はしもととおる)氏(38)、元大阪大教授・熊谷貞俊(くまがいさだとし)氏(63)(民主、社民、国民推薦)の有力3候補は、人波を求め繁華街などを駆け巡った。

◇梅田氏
 駅前や商店街、市営団地など大阪市内11か所の街頭に飛び出し、演説会も5か所をハシゴして「公約を実現して、大阪に元気を取り戻す第一歩に」と呼びかけた。陣営幹部は「メディアを通した訴えも効果的で、知名度の高まりを感じる」といい、「電話作戦も快調。街頭や演説会など積極的に足を運び、公約の浸透を図っていく」と意気込む。

◇橋下氏
 府南部で国会議員の新年互礼会や街頭演説をこなした後、大阪市内の自民党府連女性局の集会へ。約500人の党議員の妻や女性議員を前に「エネルギーと爆発力で、大阪の底力を取り戻したい。男の力の源は女性。ぜひ、ご協力を」と訴えた。陣営幹部は「序盤戦としては順調」と、各地で街頭演説を中心に党支援者向けの集会も開く方針だ。

◇熊谷氏
 正午から、駅前や商店街など3か所で街頭演説。中小企業の工場などが多い大東市内では「働きたい人が働ける就労支援を徹底し、『雇用のミスマッチ』を解消する。府民が元気を取り戻せる大阪を実現する」と訴え、集まった約160人から大きな拍手を浴びた。陣営幹部は「練り上げた政策を誠実に訴え、支持を広げていきたい」と話した。


  ● 大阪知事選、無党派層獲得にしのぎ──橋下氏・自公は黒子役、熊谷氏・民主大物並べ  ニッケイ2008/01/14配信
 大阪府知事選の告示後初めての日曜日を迎えた13日、各候補者は繁華街で支持を訴えた。自公の担ぐ橋下徹氏(38)はタレント事務所の意向で「市民派」を標榜(ひょうぼう)し、政党色を薄めた戦術。知名度で劣る熊谷貞俊氏(63)の陣営は民主カラーを前面に押し出す。共産推薦の梅田章二氏(57)を含め、無党派層の取り込みでしのぎを削る。

 橋下氏はこの日午後、堺市のスーパー駐車場で「みなさんの1票で大阪が変わる」と訴えた。

 「個人の選挙戦を印象付けたい」というタレント事務所の戦術で選挙ポスターに自民や公明の文字を印刷しておらず、この日、自民府議らが同行したものの、応援演説には立たなかった。

 ある府議は「著名人なので、応援演説で自分の顔を売り込みたいと考えている議員仲間が多い」と打ち明ける。しかし、昨年の参院選以降の逆風は衰えず、2カ月前の大阪市長選では自公で担いだ候補が初めて敗北。「表に出れば、無党派層にそっぽを向かれかねない」と、周辺の交通整理などの黒子役に徹する。

 公明側は、政治姿勢の違いから推薦でなく支持にとどめた経緯もあり自重。橋下氏の陣営幹部は「市民派イメージが浸透し、手応えを感じている」と話す。

 一方、この日、熊谷氏の応援に駆けつけた民主党の鳩山由紀夫幹事長は「パフォーマンスでないほんまもんの知事を選ぼう」と、大阪市旭区の商店街で声を張り上げた。熊谷氏も「走り回る知事になりたい。私を府庁に送り込んで」。

 陣営にとって“アキレスけん”になりかねないのが、知名度不足。「大学教授」の堅いイメージを和らげようと、名前にちなんだ黄色のクマのマスコットキャラクターを作るなど趣向をこらすが、「最後にモノをいうのは、民主党の金看板」と話す。

 告示日以降、小沢一郎代表や菅直人代表代行、岡田克也副代表らの大物クラスの応援演説を仰ぎ、選挙事務所の壁には小沢代表らの激励文や民主府議団の顔写真入りのポスターがびっしり。大阪市長選に続くフル回転の府議は「大阪市内で府議や市議を出していない地域を回り、企業や団体の支援を取り付けるよう指示された」。

 梅田氏は大阪市天王寺区の百貨店近くで街頭演説。「太田房江知事の2期8年は福祉を削り、税金の無駄遣いをして府民の暮らしが悪くなった」と声を張り上げた。

 「本人のキャラクターに合わない」(陣営幹部)とパフォーマンスは考えておらず、「表情が柔らかくみえる」との理由で銀縁の眼鏡から縁なしに変えた程度だが、「大阪生まれの大阪育ち。大企業と戦ってきた庶民派です」と、同じ弁護士の橋下氏を意識した演説も飛び出した。

 知事選には、保護司の杉浦清一氏(59)と元中学教諭の高橋正明氏(65)も出馬している。

  ● 練り歩きと一人演説 大阪府知事選ルポ (1/2ページ)  サンケイ 2008.1.11 22:15
 「日本を変える政治家が、大阪を変える男の応援に参りました」。黒山の人だかりと歓声の中心に、見覚えのある2つの顔があった。民主党代表の小沢一郎(65)と新党日本代表の田中康夫(51)。2人は、熊谷貞俊(63)の応援のため11日、大阪入りしミナミの心斎橋筋商店街を練り歩いた。
 「熊谷にインパクトがないからな。党の顔を一気に投入する空中戦で名前を覚えてもらわんと」。熊谷陣営幹部はその光景を満足そうに見つめたが、途中で候補者本人が合流しても、人だかりの主役は変わらなかった。

 知名度不足が指摘される熊谷。身内が主催した個人演説会でも、「サダカズさん」と呼び間違えられたことさえある。陣営では、告示日に民主党代表代行の菅直人(61)が駆けつけたのをはじめ、今後も各党の大物を相次いで大阪に呼び、「空中戦」を展開する考えだ。
 ただ、この日も、報道陣は小沢のもとに殺到。熊谷が一人取り残される場面もあった。

 一方、知名度では圧倒的に有利な橋下徹(38)。熊谷陣営とは対照的に、この日は南海堺東駅前で一人、街宣カーの上に乗って熱弁をふるったが、その周りでは自民、公明両党の府議や堺市議ら選挙の“プロ”たちがビラなどを配布し、裏方の仕事に徹していた。

 いずれも「政党色をなくす」という方針からだが、自民府連は年明けに、「演説で議員がマイクを握らない」「議員の紹介をなるべくしない」などの取り決めを確認し、公明もその方針を受け入れたという。
 当初注目された「大物タレント」らの応援についても、陣営ではタレントを呼ばなかった東国原英夫・宮崎県知事のスタイルを目指しているとみられ、今後もそうした予定はないという。ただ、「裏方」がいなければ長い選挙戦は戦えない。この日も橋下は、街宣終了後、自公両党の市議にあらためて支援を依頼するため、そのまま堺市役所に足を運んだ。


  ● 衆院選にらみ衆院議員ら次々壇上へ 大阪府知事選  朝日 2008年01月13日
 次の衆院選で政権交代をかけて対決する自民、民主両党の大阪府知事選への取り組みが活発だ。衆院解散がいつになるか分からないだけに、それぞれが推す知事選候補の売り込みとともに、衆院選の立候補予定者のアピールにも力が入っている。
 「私の会にわざわざ訪ねてもらった」。自民党の中山太郎衆院議員(大阪18区)は13日、泉大津市での後援会新年会で党府連が推薦する橋下徹氏(38)を紹介した。
 橋下氏も「中山先生と僕はおじいちゃんと孫のような関係で、僕のことが心配でならないようです。ありがとうございます」とあいさつ。夜には、大阪市西成区の柳本卓治衆院議員(比例近畿ブロック)の事務所で、期間中初めてとなる個人演説会に臨んだ。

 自民党は街頭では政党色を前面に出さない戦略をとるが、橋下氏の高い知名度は大きな魅力だ。選挙期間中、府内の全19小選挙区で約20回の個人演説会を開き、衆院議員が壇上に立つ予定。「各種調査では自民党への逆風はかなり厳しい。橋下君の足を引っ張ってはいけないが、背に腹は代えられない」(衆院議員の一人)というわけだ。
 「いつ解散かわかりません。みなさん、稲見さんをよろしくお願いします」。12日夜、大阪市淀川区で開かれた熊谷貞俊氏(63)の個人演説会。民主党の岡田克也元代表が最初に紹介したのは、地元の稲見哲男前衆院議員(大阪5区)だった。

 民主党は05年の衆院選では19小選挙区で2勝と惨敗した。昨年の参院選で盛り返し、昨年11月の大阪市長選でも勝利しただけに、今回の知事選も民主党色を前面に「総力戦」で臨む構えだ。
 熊谷氏も、年明けから落選中の元衆院議員の街頭演説や新年会に呼ばれることが多く、引っ張りだこ。ある前衆院議員は「知事選で負けたら、次の衆院選で自分の票を自民党に持って行かれる」と危機感を募らせる。

 一方、2大政党に埋没しないようにと必死なのが梅田章二氏(57)を推す共産党。12日夜の忠岡町での個人演説会では、18区から立候補する予定の大塚康樹氏が演説。「他の有力候補は太田府政時代のオール与党、今はやりの言葉で大連立の候補だ」と批判した。


  ●「大阪府知事選は中立」 関経連・下妻会長インタビュー サンケイ 2008.1.9 22:48
このニュースのトピックス:大阪府政
 関西経済連合会の下妻博会長は9日、大阪府知事選に関して「あくまでも中立の立場を貫く」と語り、関経連としては特定の候補者を支持しないことを改めて強調した。その上で新知事には、「中小企業対策にしっかりと取り組んでほしい」と注文をつけた。

 下妻会長は「中立」という姿勢を貫く理由について「今回の知事選に出馬を表明した3人の施策や言動をみて『これだ』という決め手を持った立候補予定者はいなかった」と説明。財界が支持を打ち出しながら落選した関淳一・前大阪市長の件がトラウマになっているのではという一部の声について「そんなトラウマは全然ない」と言い切った。

 また、下妻会長は「小学校の芝生化は府政の仕事か」という自らの発言に対して、橋下徹氏が「(下妻会長は)府と市の関係を理解していない」と名指しで批判したことについて触れ、「私はそれほど無知ではない」と反論。「芝生化と簡単に言うが、その維持管理には相当の出費を伴う。そのあたりのことを、(橋下氏は)理解しているのかということを問題提起した」と説明。「こういうプランは綿密な計画が必要。『子供が元気だったらそれでいい』というような簡単な話ではない」と一蹴した。


  ● お笑い100万票どこへ 「身近な人を」「アンチ権力」    読売 1月13日
「力失った」見方も
 有力3候補が競う大阪府知事選(27日投開票)。33年ぶりに主要政党が3極に分かれる構図となったが、各陣営が「当落を左右しかねない」と見るのは、かつて数々の庶民派リーダーを誕生させた〈お笑い票〉だ。府内に100万あると言われるが、漫才師出身の横山ノック氏が1999年に強制わいせつ事件で知事を辞職したことで“威力”を失ったという見方もある。はたして、その行方は――。

 知事選に立候補したのは、弁護士の梅田章二(うめだしょうじ)氏(57)(共産推薦)、自民党府連推薦、公明党府本部支持の弁護士でタレントの橋下徹(はしもととおる)氏(38)、元大阪大教授の熊谷貞俊(くまがいさだとし)氏(63)(民主、社民、国民推薦)ら。

 元吉本興業常務でフリープロデューサーの木村政雄さんは「自分たちの代表にはエリートよりも身近な人を、というのが大阪流。お笑いタレントは概して目線が低く、受け入れられる素地がある」と分析する。

 大阪のタレント政治家の草分けは、漫画トリオで人気を集めた横山氏だ。参院大阪選挙区で80万~86万票を集め、99年の知事選で過去最高の235万票を獲得した。80年の参院選はアナウンサーの中村鋭一氏が94万票で当選。漫才師出身の西川きよし氏も97万~105万票を得て3期連続でトップ当選を果たした。

知事選立候補者に携帯電話のカメラを向ける若者たち。
〈お笑い票〉の行方が注目される(12日午後7時28分、大阪市内で)=工藤菜穂撮影
 「大阪人の根底にあるアンチ東京、アンチ権力の気質が表れた」と読み解くのは、演芸評論家の相羽秋夫・大阪芸術大教授。「お笑いは大阪が全国に誇れる文化で、庶民からも支持されやすい」
 一方、前回知事選で元プロ野球選手の江本孟紀氏が、官僚出身の太田房江知事に大差で敗れるなど、〈お笑い票〉は力を失ったとの見方も。「大阪学」を著した大谷晃一・帝塚山学院大名誉教授は、横山氏が強制わいせつ事件で辞職した影響を挙げ、「タレント候補への目が厳しくなった一方、二大政党化の流れの中、政党の存在感が高まっている」と指摘する。
 
票の取り込み3陣営手応え
 〈お笑い票〉をどう引き寄せるか。
 「変革を望む庶民の票」とみるのは、梅田氏陣営の幹部。「横山氏には強制わいせつ事件で裏切られ、行政手腕に期待した太田知事は『政治とカネ』に無頓着だった。今回、支持を得られるのは庶民派の梅田氏だけ」とアピールする。
 橋下氏は、街頭演説するたびに、人だかりができる人気。陣営は「政治の素人への親しみが〈お笑い票〉。受け皿になる可能性を感じる」と手応えを語りながらも、「人の集まりと、投票してもらえるかどうかは別」と上滑りを警戒する。
 熊谷氏のスローガンは「人気より本気」。陣営幹部は「面白い方に流れやすいが、本質もきっちり見極めているのが大阪人」との見方を示し、「信念を持って主張すれば、真剣に大阪の将来を考えている無党派層に伝わる」とする。


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 選挙での公費の不正請求の発覚、遠くないうちに国会議員にも及ぶと思っていたけど、それがなんと公明党の太田代表からだとは驚いた。

 さらに驚いたのは、すでに昨年11月に選管にお金を返還していたという。
  昨日の朝日新聞朝刊。
 2チャンネルでスレッドも立っている。

 公明党候補者のポスター作成費の請求額や印刷所のデータを見た人はすぐに分かるけど、おかしな状況。

 愛知県豊橋市では、公明党市議6人の選挙のポスター代に関して、形式上は同一の印刷所を相手として、住民訴訟で名古屋地裁で争われている。
 それなりの不審な事実や状況があるからこそだ。

 一昨年、公明党の目黒区議が政務調査費問題で一斉辞職ということもあった。広島でも、問題があって返還・・・

 ここ山県市でも、公明党候補は高額請求、岐阜県警や検察庁の判断は、候補者は嫌疑不十分もしくは嫌疑なし、印刷所は「起訴猶予」。
 起訴猶予・・・他の7人の水増しを認めた議員について、辞職した5人も辞職していない2人も「起訴猶予」。悩ましい。
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 (写真をクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大) 
●公明・太田代表ら、選挙カー燃料代を不適正請求 
    朝日 2008年01月13日07時27分
 選挙カーのガソリン代を公費で負担する選挙公営制度をめぐり、05年総選挙で太田昭宏・公明党代表や保坂武・文部科学政務官が燃料代を不適正に請求していたとして公費を返還していたことが分かった。伊藤達也・元金融担当相や平将明衆院議員も返還の意向を示している。地方選挙では各地で不正請求が相次いでいたが、国政選挙でもずさんな公費支出の実態が明らかになった。
 総選挙での選挙カーの燃料費は1台分に限って8万8200円まで公費で負担される。候補者はあらかじめ契約した給油所で給油し、選挙後に選管が給油所に代金を支払う。
 朝日新聞社が東京都と山梨県の両選管に情報公開請求したところ、太田代表(東京12区)は05年8月30日から9月10日まで、毎日同量の61.25リットルを足立区内の給油所で給油したと申請し、8万8200円を受け取っていた。太田事務所は相次ぐ不正請求に関する報道を受けて昨年10月、05年の状況を調査。「伴走車両の分も合わせて請求していた」という。11月に都選管に全額を返した。
 選挙期間中、毎日70リットルを給油したと申請した保坂議員(自民、山梨3区)は上限額を受け取っていた。保坂事務所は「誤って随行車分を含めていたことが分かった」として随行車分の3万6750円を今月8日、山梨県選管に返還した。
 伊藤議員(自民、東京22区)は毎日58.8リットルを給油したと申請し、上限額を受けていた。朝日新聞の指摘で事務所が調べたところ、実際の毎日の使用量は60~65リットルだったが、担当者が公費上限額を選挙日数やガソリン単価で割って1日あたりの給油量を逆算し、実態と異なった書類を作ってしまったようだという。また、契約した給油所以外でも給油していたといい、「誤った認識のもと処理がされていた」として全額を返還する。
 平議員(自民、東京4区)は毎日51リットルを給油したとして8万6904円を支給された。事務所が調べたところ給油所の請求書と都選管への申請書が不一致。「車の燃料代全体から法定額の範囲内で担当者が申請書を作っていた」という。平議員は「不適切な事務処理で反省している」とコメントを出し、全額を返還する。

 ●公明・太田代表、選挙カー燃料代を過大請求…05年衆院選
  2008年1月13日19時48分 読売新聞
 2005年の衆院選で、公明党の太田昭宏代表(東京12区)が、公費で賄われる選挙カーの燃料代を過大請求していたとして、東京都選挙管理委員会に全額を返還していたことが13日、わかった。
 公費支給の対象となる燃料代は、候補者1人につき選挙カー1台分で、衆院選の場合は日額7350円が上限となっている。05年の衆院選では、選挙運動期間(8月30日~9月10日)の12日間の燃料代として、最大8万8200円が選管から支給される。太田代表は選挙運動期間中の燃料代として、都選管から上限の8万8200円を受け取っていた。
 太田代表の当時の選対幹部によると、昨年秋に東京都墨田区議選などで過大請求が相次いで発覚したことを受け、事務所側で調査したところ、伴走車の燃料代も合わせて請求していたことがわかり、昨年11月に全額を返還したという。

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 (インターネットにでていた関連情報)

 ●国会論戦等で明らかになった公明党・創価学会に関連した新聞記事を載せます。!  公明党・創価学会

 ●<公明区議の不正請求事件・公明区議は税金ドロボー>公明区議が総辞職=政調費を不適正請求

 ●相次ぐ公明党議員の不祥事! 報告書の盗用に政調費の不正支出 その根本原因は正法違背にあり!
 「・・・さらには、靴代・洋服代クリーニング代などの「生活費」、町内会費・懇親会費・政治資金パーティー代などの「交際費」、果てはデパートやスーパーマーケットでの、合計で七十四万円にも上る使途不明の支出など、公明党広島市議八名の「事務所費」は、乱脈かつ多岐にわたっていた。公明党目黒区議の前例に倣うなら、八名の公明市議も辞職して当然、といえる。・・・」

 ●今日の『聖教新聞』と『公明新聞』 「・・税金を無駄づかいしたり、有権者や支持者を軽く見るような議員は、即「クビ」の方向で是非。・・」

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 (豊橋市議の寺本さんのWebページには各種情報あり)
   ◆  各種情報 ⇒ 追求!選挙ポスター公営費問題 
   ◆  告発状
   ●  豊橋の選挙ポスター費問題 返還求め行政訴訟 市民オンブズ  (2007年9月5日 読売新聞)
 豊橋市民オンブズマン(寺本泰之代表)は4日、4月の豊橋市議選で、一部議員の選挙ポスター費用に違法な支出があったとして総額152万円の返還を求めた監査請求が同日、棄却されたのを受けて、近く名古屋地裁に行政訴訟を起こすことを明らかにした。
 また、今回の調査で、ある会派の議員6人が4年前の同市議選で、1人あたり19万円もの用紙代(今回は1人あたり1万4000円)を使用していたことが判明、詐欺にあたるとして近く県警に刑事告発する。
 監査請求書によると、計53人の立候補者(定数40)のうち、5人がポスターの用紙代に写真フィルム代、インク代などを含めて10万円前後請求していたほか、別の7人がポスターをはる粘着テープの代金として約2万円から5万6800円を請求。14人がポスターの発送代などを請求しているが、本来のポスター製作費用と異なり、違法支出にあたるとしている。
 これに対し、同市監査委員は「豊橋市では打ち合わせの段階から候補者に届くまでの経費をポスター作成費用として認めている」などとして、請求を退けた。





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 大阪知事選、昨日紹介した告示日の様子に続いて、主要3候補の政策比較。
 今はインターネットで流通させる時代。

 届出日以降に内容を修正しなければ「良し」と認識されている。
 昨年7月の参議院選などを見ていると、自民党など政党は党首演説など選挙期間中にどんどん更新していたようだし、国もわざわざ注意しない旨だと報道された。

 昨年4月の地方選でも、候補者自身のページを知って平気で更新していた人もいた。
 それ自体は違法で中止や警告しなければならないという根拠がないと認識されているようだ。

 ともかく、下記に紹介した。
 昨年の東京都知事選のときの経験では、マニフェストをインターネットに載せる人もまもなく出てくる。
 公営の「選挙公報」は、まもなく印刷があがって各世帯に配布されるので、これまた工夫を凝らしてインターネットに紹介する人たちがでてくる。
 そのうちの分かりやすい、見やすいものを集めて、あらためて紹介しようと思う。
 
 比較してみて私は、政策の中身の違いはともかく、インターネット上での見易さ、リンクのつけ方、軽さなどの観点においては、最後に持ってきた熊谷候補が工夫されていると受け止めた。 

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●大阪府知事選告示 政策は三者三様  1月10日11時5分配信 産経新聞
 大阪府知事選に立候補した主要3候補の政策を大きく分けると、パイの分配を重視する橋下、梅田両氏と、そのパイ自体を大きくしようとする熊谷氏に分かれるだろう。
 橋下氏は公約の重点項目の半分近くが子育て世代に対する政策だ。「行政は所得を上げることはできない」と言い切り、限られた税金を就業層の補助に傾けることで「使えるお金」を増やそうとする。梅田氏も助成や補助が柱だが、「格差と貧困」をキーワードに、低所得者全般に対する福祉政策を最重点にあげる。
 一方、熊谷氏は2人とは対照的だ。行政が大胆に産業政策を行い、全体のパイを拡大したうえで、府民の所得をアップさせるのが目玉だ。万博が開かれた高度成長期の大阪を引き合いに出し、「大おおさか再興」も掲げた。

 三者三様。政党も長年続いてきた相乗りが崩れ、今回は明確な対立構図が見えている。ただ、3氏のマニフェストには「笑顔」「輝き」「元気」と、いずれも明るく前向きの文字が躍る。

 地盤沈下、企業本社の流出、犯罪多発、財政悪化…。最近、大阪にかぶせられる形容詞は、ほとんどの場合マイナスイメージだ。そこから脱出することに異論がある人はいないだろう。3候補の主張も同じだ。
 「就業層への集中投資」か、「低所得者層への福祉」か、「行政による所得アップ」か。「大阪を元気にする」という共通の目的のために、どの手法を選ぶのか。それが問われている。(張英壽)

●  梅田章二さん
     梅田章二のマニフェスト 0.53MB  さらに詳細データにリンクあり 
  「当ページの写真・イラスト・記事の無断転載を禁じます」と指定されているので遠慮


●  橋下徹さん
    橋下とおる 基本政策 4つのトライ(目標と挑戦) 0.13MB  ちょっとくわしいデータにリンクあり
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●  熊谷貞俊さん
    政策ビジョン 0.22MB
    熊谷さだとし・基本政策 PDF  9.86MB


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 東海三県の議員で作っている「自治ネット」(無党派・市民派 自治体議員と市民のネットワーク)の視察で9日は滋賀県高島市、昨日10日は京都に行っていた。
 高島市長の話はとても面白かった。合併前の町の職員・議員・町長を経て4人で争った合併時の新市長選で小さい町からなのに当選、その後の2年の進め方、考え方、とても面白かった。
 京都市の学校と地域の連携はここまで出来るのかとその考え方に驚いたし、前提となる学校施設のPFIでの建設・維持、それとは関係なく行ったけど関係があった地区の住民福祉協議会のこと・・

 参加者も、毎回元気をもらって帰るこの視察、面白い視察内容が続いたこの3年。
 改めて報告したい。

 ・・夜、帰ったら、そうそう、大阪府知事選が始まっていた・・
 大阪府知事選の情報は、ときどき整理したい。
 ついでに、とてもおもしろい、市民的なブログにもリンクしておこう。

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●大阪府知事選 無所属新人5人が立候補 有力3氏の争いに  
1月10日16時56分配信 毎日新聞

候補者の話を聞く市民ら=大阪市浪速区で2008年1月10日午前10時43分、貝塚太一撮影
 大阪府知事選が10日告示され、午前中に、

 弁護士、梅田章二氏(57)=共産党推薦
 タレントで弁護士、橋下徹氏(38)=自民党府連推薦、公明党府本部支持
 元大阪大大学院教授、熊谷貞俊氏(63)=民主党、社民党、国民新党推薦
 保護司、杉浦清一氏(59)
 元中学校教諭、高橋正明氏(65)

--のいずれも無所属の新人5人が立候補を届け出た。事実上、橋下、熊谷、梅田の有力3氏による争いとなる。27日に投開票される。

 1979年以来続いてきた共産対非共産の構図が崩れ、33年ぶりに国政の与野党3極の戦いとなった。年内にも予想される衆院選の前哨戦としても注目される。

 全国最悪レベルにある財政の再建や企業の本社機能流出が続く関西経済の再生、公立小中学校の学力向上策などが争点になる。府の決算は9年連続赤字で、府債(借金)残高は約5兆円(06年度末)に及ぶ。府債の返済を先送りし、財政再建団体への転落を免れるという綱渡りの財政運営が続いている。

 3氏とも行財政改革を進めて財源を生み出し、新たな政策に充てる公約を掲げる。

 梅田氏は関西国際空港2期事業など大型事業を見直し、医療や介護の負担軽減を図る。橋下氏は出資法人や事業を見直し、出産・子育て支援事業に約50億円を充てる。熊谷氏は大阪市との二重行政解消による歳出削減や、1人当たりの府民所得を平均50万円増やす政策を掲げる。

 今回は3選を目指した太田房江知事が、「政治とカネ」問題で出馬を断念。昨年12月11日、立候補を否定していた橋下氏が一転出馬の意向を示したのをきっかけに、熊谷氏が名乗りを上げ、梅田氏を含めた3極の争いとなる構図が固まった。

 衆院選の前哨戦と意気込む民主、共産に対し、自民、公明は「政党色を薄めた方が有利」などとして、党本部は関与せず、府レベルの対応にとどめた。【坂口佳代】 最終更新:1月10日16時56分

●“大阪冬の陣”府知事選に5人届け出…今年初の大型選挙  サンスポ 1月10日
 今宮戎神社で参拝者らに支持を訴える橋下徹氏(円内も)=大阪市浪速区
 選挙カーから手を振る熊谷貞俊氏。右は民主党の菅直人代表代行=大阪市北区
 JR大阪駅前での第一声後、選挙カーで移動する梅田章二氏=大阪市北区
    

●大阪知事選  朝日2008年01月11日
 880万府民を擁する関西の雄。そのトップを選ぶ大阪府知事選が10日、始まった。弁護士やタレント、大学教授の仕事をなげうった有力3氏は、なぜ、知事になろうとするのか。決断に至った「その時」には、3氏の生き方が投影されていた。=文中敬称略

      ◇
 梅田章二(57)が第一声をJR大阪駅前であげるのは2度目だ。
 「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
 昨夏の盛り、梅田は仲間にメールで「決断」を伝えた。周囲の誰もが驚いた再挑戦だった。前回選挙後、「もう出ない」と周囲に伝えていたからだ。だが一弁護士に戻ってからの3年半、気持ちはくすぶり続けた。
 非正規雇用や能力給制度の広まり、職場での暴力――。法律事務所に足を運ぶ人たちから、労働環境の悪化を肌で感じていた。憲法9条が改正へ歩を進めつつあることにも危機感があった。
 「今の労働界を取り巻く状況は明らかにおかしい。だが司法の世界では制度は変えられない」
 共産党を含む革新団体から立候補の打診があったのは7月上旬。太田房江知事が自公民に担がれ、3選を目指す可能性が高かった頃だ。勝利への道のりは厳しい。それでも梅田は決意した。
 弁護士としての出発点は公害や労働事件。患者宅に泊まり込み、労働者と酒を飲みかわす「現場主義」だ。この4年間、自費で海外出張を重ねるなど憲法9条を守る運動も活発化させていた。
 親しい弁護士仲間は「行動的弁護士」と評する。梅田への評価は前回の選挙後も変わることはなかった。共産党などから立候補を打診された学者や弁護士は口をそろえて断った。「梅田さんがいるじゃないか」

      ◇
 「メディアの申し子、テレビっ子」。橋下徹(38)はこの日の街頭演説で自らを揶揄(やゆ)した。
 昨年11月20日、大阪の帝国ホテル。知人の紹介で初めて会った作家の堺屋太一に橋下は嘆いた。
 「このままテレビに出て世の中を批判しても変わらない。そんな人生は楽しいでしょうか」
 2日前の大阪市長選で立候補が取りざたされていた。知事選に色気がある。堺屋は確信する。
 ラフな服装で挑発的な物言いの弁護士。過激な発言は世間を騒がせることもしばしば。特異なキャラクターは重宝され、年間約2億円を出演料と講演料で稼ぎ出した。
 第一声で出自に触れた。「おかんと妹の3人で大阪に引っ越した。小学校では一番強い連中から殴るけるの連続。大阪ってこんなところかと思いましたね」
 過激発言はしかし、世を呪ったからではない。「計算」なのだ。「特徴がなければメディアに出演できませんから」
 場の空気を読んで振る舞いを決める才覚。「弁護士でもタレントでも成功している。絶対に機転が利く」(陣営幹部)。テレビ番組で政治家と接するうち、世の中を変える側への関心が強まっていった。
 初対面から9日後、堺屋は橋下を大阪市西区のイタリア料理店に誘う。「あんた知事選に出てみないか」。堺屋の誘いに橋下はうなずいた。
 「はい」

      ◇
 「弟がお世話になります」。告示日の10日、熊谷貞俊(63)の選挙事務所で頭を下げる男がいた。兄の信昭(78)だ。
 「信昭さんを知事に」
 横山ノック(故人)が初当選することになる95年の知事選。財界などが白羽の矢を立てたのが信昭だった。元阪大総長で財界にもパイプが太い。
 家族で唯一、立候補を勧めたのは貞俊だ。「社会に貢献するやりがいのある仕事だ。兄貴がやらなければおれがやる」
 幼い頃、国を率いるリーダーの伝記に夢中になった。小学6年の作文に「将来総理大臣になりたい」とつづった。
 貞俊は7人きょうだいの末っ子。男兄弟は16歳年上の信昭だけだ。父のような存在だが、「教育の考え方が違う」と反発することもあった。
 信昭は断念した。貞俊が友人に「知事になりたい」と漏らすようになったのは、このころだ。
 知人は言う。「あのとき『弟さんだったらよかった』という声が経済団体からあがった。いずれはやらねば、との思いが芽生えたのではないか」
 15年ごとに転機がくる。30歳で結婚、45歳で阪大教授に。60歳。「知事に」との声はなかった。昨年11月、友人に「3月の退職後は香川県の大学の学長になるよ」。
 12月3日、研究室の電話が鳴った。民主党府連の平野博文代表。「ちょっとお会いしたいのですが」。転機は63歳の目前に訪れた。


●<大阪知事選>「政党隠し」と「党営選挙」 対照的な与野党  1月10日19時16分配信 毎日新聞
 10日告示された大阪府知事選は、18日召集の通常国会の攻防に影響を与える重要な選挙となる。昨年11月の大阪市長選で推薦候補が敗れたことから、与党は「政党隠し」戦略を徹底、橋下徹氏の知名度を頼りに無党派層の取り込みを狙う。これに対し、熊谷貞俊氏を推す民主党は市長選に続く連勝を目指し、国政選挙と同様の党営選挙で臨んでいる。

 「橋下氏は幅広い支援が得られる。私たちは後ろから応援するのが戦略上はいい」

 自民党の菅義偉選対副委員長は語る。この言葉通り、党本部レベルの推薦を見送った与党は幹部の応援演説は控える。

 投開票日の27日は通常国会の審議が本格化するタイミングで、与党として負ければ、民主党が勢いづく。政党色を薄めるのはダメージを最小限に抑える思惑もあり、大阪入りした自民党幹部が経済界に支援要請するといった「地下活動」に専念している。

 ただ、大阪に強固な地盤を持つ公明党にとって、市長選に続く連敗は絶対に避けたい事態。選挙戦の展開次第では組織をフル回転させる可能性はある。

 一方、民主党は「次期衆院選の前哨戦」と位置づけ、攻めの選挙に徹する。10日の菅直人代表代行に続き、11日には小沢一郎代表も大阪入りするなど幹部を続々投入。全国会議員にも最低1回は応援に入るよう指示した。

 小沢氏は9日の会見で「府知事選は国政に大きな影響を与える」と指摘。敗北に備えるかのように予防線をはる与党と対照的に、政党色を前面に出して政局直結を強調している。【野口武則、渡辺創】

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 とてもおもしろい、市民的なブログ

 ブログ「晴天とら日和」 ⇒ ◆大阪知事選  晴とらブログ 晴天とら日和
(癒し系の娘のイラストと共に・・・)政治の話題を中心とした好奇心旺盛な関西圏のオバちゃんのブログ。








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 昨日のブログで1月1日の食べものを紹介。
 1月2日はつれあいの誕生日だから、ちょっと違う。
 この日の方が豪勢かな。
つれあいの85歳の母の手作り品
一人暮らしで元気
  
(どの写真もクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)

ケーキ屋さんでなく、高島屋の
巨大なレモン・シフォンケーキ
  

    

夜は前夜よりは、品数が多い・・・
それに飲み物が違う・・

いつも誕生日のショートケーキを2日の午前中にいろいろと買う。
でも今年は、ケーキはいらないそう。

・・なぜなら、特別なお酒が買ってあるから。
年末に福井に行ったとき、1年前に注文して今年当たった分をもらってきたもの。
黒龍の「しずく」。全国から希望があるけど手に入らないお酒。
ともかく、1升1本1万円だから・・・
こんな高いお酒を買ったのは、もちろん初めて。
味は・・・詳しくは改めて紹介しよう

パソコンの前には、
年末に花木センターで買った値下げ品のシクラメンも飾って

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 昨日は、例のポスター公営の詐欺事件での不起訴に納得できないから、検察審査会に申し立てした。

 午前中に書類の最終の仕上げ。午後1時半に岐阜地方裁判所の中の検察審査会事務局に提出して2時半から記者会見した。
 記者やカメラマンら10数人。
 
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ちょうど、年末来の書類部屋の整理中のため
新品のスチール棚2本が空いていたので
それを利用して、提出書類の帳合いに使った。
(どの写真もクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)


単なる申し立てということでか、
カメラさんはいつもより少ないかなぁ
  

昨日9日の夕方のNHKのニュースから
    



 ●  印刷用 審査申立書  PDF版 6ページ 230KB
 ●  印刷用 審査申立書の証拠説明書  PDF版 2ページ 129KB
 ● 提出のことの翌日の新聞記事や他の審査会の議決のことなど

 このgooブログは、一つの投稿が「最大1万文字」という制限があり、証拠説明書を掲載すると1万文字をオーバーするので、上記申立書だけ掲載。説明書は印刷用をご参考に。

 また、昨日と一昨日アップしたデータ 
   ⇒ ◆検察審査会の紹介/公職者の不正に対する検察の不起訴を批判する「起訴相当」「不起訴不当」の議決の例
   ⇒ ◆検察審査会への審査申立の準備。ポスター代水増し詐欺、年末の新聞の特集記事
 これらも参考になると思う。
 いずれにしても、どれも、転載も流用もご自由にどうぞ。

 あとは、審査会の判断待ち。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

審 査 申 立 書
岐阜検察審査会 御中
                         2008(平成20)年1月9日             

               申立人
              岐阜県山県市西深瀬208-1(告発人) 寺町知正
       
(ほか2名)
           申立人代表 寺町知正 
Tel/fax 0581-22-4989 携帯・・・・
       
Ⅰ 申立の趣旨
 被疑者横山善道、同宮田軍作につき、詐欺罪(刑法第246条第1項)として「起訴相当」もしくは「不起訴不当」の議決を求める。

Ⅱ 申立の理由
第1.審査申立人  標記(告発人)

第2.罪 名  詐欺罪(刑法第246条第1項)

第3.被疑者    被疑者 岐阜県山県市洞田523番地   横山善道
            (事件番号 ①平成19年検第100142号)

被疑者 岐阜県山県市平井74番地    宮田軍作
(事件番号 ③平成19年検第100144号)

第4.不起訴処分年月日    平成19年12月20日 (処分通知書)

第5.不起訴処分をした検察官     岐阜地方検察庁 (同)
                      検察官 検事   福田直俊

 第6.起訴事実を裏付けする事実
1. 被疑事実
被疑者らは、2004年に執行された岐阜県山県市議会議員選挙の候補者であり、いずれも山県市議会議員に当選した。被疑者らは、印刷業者らと共謀して、いわゆる選挙公営制度(「山県市議会議員及び山県市長の選挙における自動車の使用及びポスターの作成の公営に関する条例」(平成15年山県市条例第17号)第2条)を利用して選挙運動用ポスター費用の名目で金員を詐取した。

(1)被疑者横山善道は、2004年4月ごろ、真実は、8万円程度であるにもかかわらず、「ヨツハシ印刷」(岐阜市黒野南)との間で代金36万8550円で選挙公営制度の対象となるポスターを作成することを内容とする契約書を作成し、
被疑者横山善道は、2004年4月ごろ、山県市選挙管理委員会に対し、ヨツハシ印刷との間で上記契約を締結した旨を記載した「契約届出書」および上記契約書を提出し、
ヨツハシ印刷は、2004年4月ごろ、山県市長に対し、正当な請求であるかのように装い、被疑者横山善道の選挙運動に係わるポスター作成費用として36万8550円を請求し、同人をしてその旨偽罔(ぎもう)させ、よって、後日、ヨツハシ印刷の預金口座に振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させたものである。

(2)被疑者宮田軍作は、2004年4月ごろ、真実は、10万円程度であるにもかかわらず、「エーマウス」(岐阜市鷺山)との間で代金36万8550円で選挙公営制度の対象となるポスターを作成することを内容とする契約書を作成し(契約全体はポスター200枚の作成代金として54万6000円、そのうち公営制度対象のポスター135枚の作成代金は36万8550円)、
被疑者宮田軍作は、2004年4月ごろ、山県市選挙管理委員会に対し、エーマウスとの間で上記契約を締結した旨を記載した「契約届出書」および上記契約書を提出し、
エーマウスは、2004年4月ごろ、山県市長に対し、正当な請求であるかのように装い、被疑者宮田軍作の選挙運動に係わるポスター作成費用として36万8550円を請求し、同人をしてその旨偽罔(ぎもう)させ、よって、後日、エーマウスの管理する預金口座に振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させたものである。
 なお、被疑者宮田軍作の選挙に関する実質的な会計責任者の関与を推測する報道もあるが、そのことによっても被疑者宮田軍作の被疑事実は揺るがない。

2. 罪名及び罰条
   詐欺罪(刑法第246条第1項)

第7.不起訴処分の理由
「起訴猶予」で不起訴処分になった(告発人による処分理由告知請求に対する回答としての「不起訴処分理由告知書」)。

Ⅲ 不起訴処分を不当とする理由
第1. 7人の政治家たちは当初から水増し行為を認めている
1. 事件の報道
 2007年6月9日の新聞報道で県警による山県市議会議員らの事情聴取が明らかになった(第1号証)。6月12日には市議主導と報道されている(第2号証)。

2. 被疑者横山善道を含めた当事者の5人は経過を認めた
2007年6月15日の県庁記者クラブでの記者会見において、被疑者横山善道ほか山県市議渡辺、同武藤、同村瀬、同吉田の5人は水増し行為を認めた(第3号証)。

  3. 被疑者宮田軍作
上記会見に同席しなかった被疑者宮田軍作は、同年6月29日、自宅において、被疑事実を認める記者会見を行った(第4号証)。

4. 議長村橋
 議長であった村橋は、後述の県警の書類送検の日である7月10日、山県市役所で記者会見して、自らの水増しの事実関係を認めて謝罪し、議長職を辞した(第5号証)。


5. 山県市の対応
山県市(長)は、6月26日に弁護士3人の調査委員会を設置、7月31日に報告を受けて事実の認定がされて後に返還命令を出した(第6号証)。
事実経過を認めている上記7人全員は印刷所に不正金を返還、印刷所が市に返還した。

第2. 岐阜県警は起訴相当として書類送検した
  1. 警察は起訴相当として書類送検した
 7月12日、岐阜県警は、市議から県議に鞍替えした被疑者横山善道、被疑者宮田軍作ら市議6人、その他印刷所関係者などを書類送検した(第7号証)。

2. 岐阜地検の不起訴決定
岐阜地検は、2007年12月20日付けで全員を不起訴処分とした。
検察の不起訴の理由や事情について、検察の会見をもとに記事になっている新聞報道から読み取れば、「地検は『議員、元議員ら7人は事実を認め、すでに被害返済しているほか、5市議が辞職し、反省が認められる』とした。」「地検は『被害弁償が済んでおり、反省もしている』とした。」などである(第8、9号証)

第3. 議員辞職した5人と議員辞職していない2人との著しい不均衡
1. 被疑者横山善道、同宮田軍作のほかは、早々と議会内ポストを辞任した
6月18日に渡辺が議会運営委員長を、武藤が総務委員長を、村瀬が産業建設委員長を辞職すると願い出た(第10号証左側)。
7月12日に村橋は議長を辞職した(第10号証右側)。
なお、吉田は市議1期目であり、議会内で最も年齢も若く、当時は役職が無かった。

2. 議員辞職
2007年8月6日に吉田が市議を辞職した(第11号証)。
 2007年8月31日に渡辺が市議を辞職した(第12号証右側)。
2007年11月8日に村橋、武藤、村瀬が市議を辞職した(第12号証左側)。

3. 被疑者横山善道、同宮田軍作は辞職しないことを表明している
被疑者横山善道、同宮田軍作は、他の議員の辞職に際しても辞職しないことを述べ、報道されている。12月22日の検察の不起訴の報道でも、議員を続けると述べている(第8.9号証)。
議員辞職した元議員らの憤慨は当然である(第9号証左側)。

4. 刑事事件においては著しい不均衡は許されない
議員辞職した5人と議員辞職していない2人との著しい不均衡は放置できない。

第4. 他の公金詐取の詐欺事件に関する一般的な処分と著しい不均衡がある
  1. 今回の処分は、著しく妥当性を欠く
公金の詐欺や横領が明らかとなって、後に被害弁償がされていても、起訴されている事案は珍しいことではなく、それらと比較すると、今回の処分は、著しく妥当性を欠く。一例を示す。


2. 岐阜県庁の例
 岐阜県庁の現職職員人が県の公金を横領したことが2001年6月頃に発覚、本人は全額弁済したものの、知事は当該職員を懲戒免職処分した。告訴こそ無かったが逮捕され(第13号証)、後に岐阜地検により起訴され、岐阜地裁で有罪が言い渡され、確定した。

3. 山県市役所の例 
 山県市の現職職員2人が市の公金や備品を横領したことが2006年5月頃に発覚、2人は全額弁済したものの、市長は当該職員2人を懲戒免職処分にし、業務上横領で告訴した(第14号証)。後に岐阜地検により起訴され、岐阜地裁で有罪が言い渡され、確定した。
  
※・刑法第246条詐欺①人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処す
・刑法第252条横領①自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処す
・刑法第253条業務上横領①業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処す

第5. 公職にあるものが、地位を利用して公金を詐取したという犯罪の悪質性
本件事件を契機に、岐阜県議会や県内市議会の選挙に関しても、他府県の選挙でも同様の事案が明らかになってきた。文字通り、本件がリーディングケースになり得る。
犯罪の一般予防、再犯防止の観点からも、本件不起訴は看過できない。
実は、全国の政治家のうち、心当たりのある者は本件の経緯注目している。その理由は、「もし、自分が問われたら・・・」という懸念があるからである。一罰百戒(罪を犯した者を一人罰して、それを多くの人の戒めとすること)の意味は大きいのである。

第6. 議員には、多額の公費が支払われている
 1. 被疑者横山善道
 (1) 被疑者横山善道は、本件争点の2004年の山県市議選で当選、2007年に3月に市議を辞職し2007年4月の県議選山県市選挙区に立候補、当選し岐阜県議会議員となった。その時はすでにポスター代の水増し請求が県監査委員に住民監査請求されるなどの状況にあってか、2004年の山県市議選と同数の掲示板に張るポスターに関して、極めて少額のポスター代を県に請求した。すなわち、警察の捜査が無くても2004年山県市議選において高額請求していたことを認識していたのである。

(2) 県議会議員には、月額85万円年額1020万円、ボーナス約450万円、政務調査費年額360万円、その他に応召旅費といわれる自宅から県庁まで旅費名目で1日毎に約1万円が支給される。これらを加えれば被疑者横山善道は岐阜県から年間で合計約2000万円を得ている。視察時は別途日当や旅費が支給される。
 
(3) 前記のとおり、本件水増し行為を自ら認め山県市に受領額の全額を返還したものの、県議会議員にとどまっている。

(4) 次の岐阜県議選は2011年4月であるが、現在の居座りからすれば、「人のうわさも75日」と、現職議員として再選をはかると考えられる。

2. 被疑者宮田軍作
 (1) 被疑者宮田軍作は、本件争点の2004年の山県市議選で当選した。

(2) 山県市議会議員には、月額32万円年額384万円、ボーナス約170万円、政務調査費年額12万円、自宅から市役所までの旅費1日あたり1千円が支給される。これらを加えれば被疑者宮田軍作は山県市から年間で合計約600万円を得ている。視察時は別途日当や旅費が支給される。
 
(3) 前記のとおり、本件水増し行為を自ら認め山県市に受領額の全額を返還したものの、市議会議員にとどまっている。

(4) 次の山県市議選は本年208年4月13日告示20日投票であるが、現在の居座りからすれば、「人のうわさも75日」と現職議員として再選をはかる可能性もある。

第7. 当事者性
前記山県市の職員の不正を市長が告訴したことと比較すれば、本件においては、市長は支えあう議員であるからか、寛容であり、返還を求めただけと思料される。
本件申立人は、山県市の納税者かつ有権者であって、「山県市」と同格で当事者性を有するともいえる。かつ、「議員は何をやっている!」「政治家は信用できない!」という市民・有権者の声を代弁するものとして、2007年10月9日にその時点で辞職していなかった5人について告発をした者である。

第8. 不起訴・起訴猶予に対する市民、有権者の声は厳しい
不起訴・起訴猶予に有権者の憤りはいっそう高まっているし、県民の声も厳しい(第8.9号証)。
 有権者の貴重な投票を競ってたくさん得て当選し公職(議員)に就くという選挙において、有権者をだました行為は、民間人の詐欺などとくらべても著しく悪質である。こと選挙における背信は許しがたい。

第9. 辞職していない2人は、未だ社会的制裁を受けていない
 被疑者横山善道及び被疑者宮田軍作は、辞職した他の議員と異なり、未だ社会的制裁を受けていない。犯罪事実を認めながらも辞職しないことは、2人とも反省も改悛(かいしゅん)もしていないことの現れであり、刑罰を科すことが妥当である。

Ⅳ 検察審査会の存在意義と国民の期待
第1. 検察審査会の意義と期待の高まり
今回の検察の処分は、甘い。厳しく処罰しないから、類似の事案、政治家や公務員の不祥事などが頻発する。一般予防、再犯防止の観点から、検察は、厳しく処分すべきである。
先述したとおり、「世論」も厳しい(第15号証左)。このままでは、世論における検察不信は当然、警察当局や警察官からも、検察不信が出るのは当然である。
検察審査会の意義と期待が高まっている。本件に関しても同様である (第15号証右)。
裁判員制度を前に、検察のこのような状況は国民として許しがたい。

第2. 他の審査会の動き
本件申立人は、不服申し立てに関する審査会の手続きにつき、「起訴相当(検察官の不起訴は不当である。起訴すべき事件である。11人中8人の票が必要)」、「不起訴不当(検察官の判断には疑いがある。過半数の票で成立。11人中6人」、「不起訴相当(検察官の判断に誤りはない)」、のいずれかの議決を行い、検察に通知するものと認識する。
実際、公務員らの不法行為に対する検察審査会の不起訴不当等の議決の方向は、最近の各地の事案に関する申立認容議決の報道からも認識し得る。

◎「現職兵庫県議会議員の政務調査費流用で不起訴不当議決(2007年3月28日)」
(第16号証右側)

◎「大阪市長の補助金等に係る背任容疑で起訴相当と議決(2007年10月24日)」
(第16号証左側)

◎「岩手県雫石町議選での買収事件で不起訴不当と議決 (2007年12月23日)」
(第17号証右側)

◎「新潟公安調査事務所職員公金不正使用で起訴相当と議決 (2007年12月25日)」
(第17号証左側)

第3. 以上、検察審査会は、本務に鑑み、権限を発揮していただきたい。

Ⅴ 検察審査会法に基づく緊急の審査の求め
検察審査会法第33条は、「申立による審査の順序は、審査申立の順序による。但し、検察審査会長は、特に緊急を要するものと認めるときは、その順序を変更することができる。
2 職権による審査の順序は、検察審査会長が、これを定める。」としている。
また、同法第21条第2項は「検察審査会長は、特に必要があると認めるときは、いつでも検察審査会議を招集することができる。」としている。
 申立人は他の案件を軽んずる意思はないが、本件事案における本年4月に予定される市議選において関係者の立候補が予想される事情、全国的に本件同様の事案が明らかになっている事情などに鑑み、検察のあり方についての全国の範となるべく、緊急に審査していただきたいので同法同条の規定の適用を要請するものである。

Ⅵ まとめ
 日本の検察・警察制度に関して、国民・県民からの信頼を回復するために、検察審査会の権限によって、岐阜地方検察庁による本件不起訴処分について起訴相当もしくは不起訴不当の議決をされるよう強く望む次第である。

Ⅶ 添付書類
   不起訴通知書 (写) と 不起訴処分理由告知書(写) を併せて 1通
   証拠説明書及び各書証(写)  (第1号証ないし第17号証)
   申立書・不起訴通知書・不起訴処分理由告知書・証拠説明書・各書証の副本11式

                                  以上
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 

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 正月の食べものは地方のカラーがあり、さらに家庭によって様ざま。

 うちの1月1日の様子です。
 前日の夜は、今年はほとんど何も作らず、野菜や1日の予定のものを繰り上げて食べました。
 生後2ヶ月の赤ちゃんもいて、31日の夜は、みんなで抱いたりしてオモチャ。
 そのせいでか、翌日1月1日は、赤ちゃんは一日中、ほとんど寝ていたよう。

 明日は、1月2日の食べものかな。
(どの写真もクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)


練製品やハムなどは私が切って盛り付け
  

    

うちのお雑煮
昆布だしに醤油、正月菜を入れるだけ。
つけたら削り節をたっぷりのせる。
今年はお椀を出すこともサボった。
  

一番上の子のお土産。
12月に修学旅行の付き添いで行った沖縄の上物の泡盛
「ちんすこう」、シークァーサー。
昨年夏に研修で行ったという中国の紹興酒と本場のウーロン茶
  

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 今日は、資料作り中に見つけた、他地域の検察審査会の検察の不起訴に対する「起訴相当」とか「不起訴不当」とかの議決の例も紹介する。

 結構、各地で公務員の不正に対する検察の不起訴を批判する「起訴相当」「不起訴不当」が議決されていることにビックリするとともに期待度が高まった。
 政務調査費を流用した現職の兵庫県議とか、補助金関係で大阪市長とか、公安調査庁関係職員のカラ出張とか・・・下記をご覧あれ。

 それから、年末の新聞の特集記事は昨日のブログに紹介した。
      1.8日ブログ ⇒ ◆ポスター代水増し詐欺、年末の新聞の特集記事
 検察審査会に期待する、私たちにも心強い記事。

 裁判員制度の是非はともかく、司法への市民の参加は大事なこと。

 今日は午後申立書を検察審査会に提出、午後2時半から記者会見。
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 今見つけた面白いページ。たぶん検察審査会の動向についての報道が順次更新されているものと推測される
      ⇒  フレッシュ アイ ニュース 「検察審査会」

 ともかく、下記データは、今日のこちらの申し立てで証拠として使う。

 議員の政務調査費詐欺等に関して、兵庫県警は県議を2006年8月書類送検。地検は2006年11月、不起訴処分。申し立てを受けた神戸検察審査会は2007年3月28日付で不起訴不当とした事例。

● 県議の不起訴「不当」 政務調査費流用で神戸検察審査会  2007年04月18日 朝日新聞
 政務調査費約110万円をマイカーのローン返済に充てながら、兵庫県に「車のリース代」と報告したとして、虚偽公文書作成・同行使と詐欺の疑いで書類送検され、不起訴処分になった門(かど)信雄県議(57)=芦屋市選挙区、自民=について、神戸検察審査会は市民オンブズ尼崎の申し立てを受け、「不起訴不当」の議決をした。 議決は3月28日付。
 神戸地検は昨年11月、「当時は政務調査費の使途基準の解釈に幅があった」として不起訴を決めたが、議決は「車のローン代を調査研究費の『リース代』に充てるのは社会常識から納得できない」と指摘。「県民の血税を自己の利益とした悪質な事案」と結論づけた。
 神戸地検の大野宗(むね)・次席検事は「議決内容を踏まえ、再捜査のうえ適正に処理する」と述べた。
 門県議は8日に投開票された県議選で落選。任期は今年6月まで。朝日新聞の取材に対し「何も聞いてないので現段階ではコメントできない」と話した。

● 兵庫県議の不起訴不当 政務調査費をローンに流用   中国新聞 2007年4月18日  調査研究目的の政務調査費をマイカーのローン返済に流用したとして詐欺容疑などで書類送検された門信雄兵庫県議(57)=八日の県議選で落選=を嫌疑不十分で不起訴とした神戸地検の処分について、神戸検察審査会は十八日までに不起訴不当と議決した。
 審査会は「調査費の使途基準は抽象的だが、ローン代金に充てるのは社会常識で納得できない。血税を自己の利益としており悪質」と指摘した。
 議決などによると、門県議は二〇〇三―〇四年度の政務調査費のうち、約百十万円をローン返済に充て、収支報告書には「車リース代」と名目を記載した。
 県警は昨年八月、書類送検。地検は「調査費の使途基準の解釈には幅がある」などとして不起訴処分にした。昨年十二月、市民団体が検察審査会に審査を申し立てた。
 神戸地検の大野宗次席検事は「議決内容を踏まえ、再捜査の上、適正に処理する」としている。

● 門県議の不起訴不当 政務調査費問題で検察審査会  神戸新聞 2007年4月19日
 元自民党兵庫県議団幹事長の門信雄県議(57)=芦屋市=が、政務調査費の一部を自分の車のローン返済に充てていた問題で、神戸検察審査会は十八日までに、嫌疑不十分で不起訴とした神戸地検の処分について、「不起訴不当」と議決した。
 議決要旨などによると、門県議は二〇〇三-〇四年度に受け取った政務調査費のうち約百十万円を車のローン代に充てながら、収支報告書に「車のリース代」と虚偽の記載をしたとして、「市民オンブズ尼崎」などが兵庫県警に告発した。
 県警は詐欺と虚偽公文書作成、同行使容疑で門県議を書類送検。しかし、地検は昨年十一月、「政務調査費の使途基準に解釈の幅があった」として、不起訴処分にした。
 検察審査会は「門議員は、ローン代が政務調査費の使途基準に該当しないと認識しながら、リース代と記載した。県民の血税を自己の利益としており、悪質」としている。神戸地検の大野宗次席検事は「議決内容を踏まえ、再捜査のうえ、適正に処理する」とコメントしている。
 門県議は一九九一年から四期連続当選。県議会副議長などを歴任したが、八日の県議選で落選した。任期は六月十日まで。


巨額の貸付金や補助金を支出した問題で、背任容疑で告発された関淳一市長と磯村隆文前市長を不起訴とした大阪地検の処分は不当とし、起訴が相当と議決した事例。

● 大阪市長ら「起訴相当」 / 検察審査会が議決   高知新聞 2007年10月24日22時28分
 大阪市が地区医療センターだった旧芦原病院に巨額の貸付金や補助金を支出した問題で、大阪第2検察審査会は24日までに、背任容疑で告発された関淳一市長と磯村隆文前市長を不起訴とした大阪地検の処分は不当とし、起訴が相当と議決した。
 議決理由で審査会は「芦原病院だけを助成し続けることに必要性や公益性は見いだせず、血税を納める一般市民として理解できない。1円も返還されず市に損害を与えた」と指摘した。
 大阪地検は昨年12月、「公的役割を果たしている病院を支援する目的で行われてきた市の財政的支援の一環で、背任罪の意図は認めがたい」として、嫌疑不十分で不起訴とした。
 旧芦原病院は、地区の医療改善のため1963年に開設されたが、市民病院に準じる支援を続けてきた大阪市が補助金などを打ち切り、経営が悪化。2005年12月、大阪地裁に民事再生法の適用を申請し、翌年4月に営業譲渡された。


町議選の現金買収事件で、地検が町内の男性を不起訴処分にしたことについて、検察審査会が同処分を不当と議決した事例。
  ● 現金買収の不起訴「不当」、検察審査会 朝日新聞 2007年12月24日
 雫石町議選の現金買収事件で、盛岡地検が8月に町内の男性を不起訴処分にしたことについて、盛岡検察審査会は23日までに、同処分を不当と議決した。
 同審査会は議決の理由について、男性は「選挙への投票を依頼する目的があって行動し、結果的に1万円が授受された事実は記録上から明白」であり、「受け取った金を使用」しているため「不起訴とすることは納得できない」とした。


 公安調査局職員の「カラ出張」問題で地検が起訴猶予したことについて、検察審査会は2007年12月25日までに、起訴相当とする議決をした事例。
● 検察審査会が起訴相当と議決  新潟日報 2007年12月25日
 関東公安調査局新潟公安調査事務所で2003年度、「カラ出張」で工面された金が懇親会費などに充てられた業務上横領事件で、新潟市民オンブズマン(小淵真史代表)から不起訴処分に対する不服申し立てを受けていた新潟検察審査会は25日までに、起訴相当とする議決をした。これを受け、同オンブズマンは26日、新潟地検に起訴を求めて申し入れる。
 この問題は、同オンブズマンが04年に新潟地検に告発。新潟地検は、当時の男性首席調査官が03年度に旅費として受け取った約23万円を懇親会費などに充てたとしたが、被害金額が弁済されたなどの理由で起訴猶予としていた。
 不服申し立てを受けた同審査会は、起訴相当の理由として「公費を私的に流用しており、税金の無駄遣い」などと指摘した。
 同オンブズマンは「法に携わる公安調査庁職員の不正に対して、厳しく対処してほしい」としている。

●新潟公安調査事務所の架空出張費問題:不起訴処分は不当 検察審が議決 /新潟  2007年12月26日14時 毎日新聞
 新潟公安調査事務所の首席調査官らが「カラ出張」で浮かせた公金約23万円を職員の送別会などに充てた問題で、業務上横領容疑で告発された同調査官と庶務担当者2人を新潟地検が不起訴処分としたことに対し、検察審査会が不当と議決していたことがわかった。
 議決は、調査官を起訴相当とし、庶務担当についても処分の再検討を求める内容。議決要旨によると、2人は白紙の領収書などを利用して出張旅費名目で約25万円を関東公安調査局に請求。03年12月から04年3月ごろまでに6回にわたって、うち約23万円を送別会や職員に配る商品券の購入などに充てた。
 新潟市民オンブズマン(代表・小淵真史弁護士)は04年に2人を業務上横領容疑で新潟地検に告発。地検は「横領は予算を使い切るためで、私利私欲のためではない」などとして不起訴とし、同オンブズマンが検察審査会に審査を申し立てていた。
 検察審査会は「極めて悪質な組織的な犯行で公務員の自覚に欠ける」として処分再考を地検に求めている。
 地検は「議決を踏まえて鋭意捜査中」とコメント。同オンブズマンは26日に同調査官の起訴を求めて地検に申し入れをする予定だ。【岡田英】12月26日朝刊

●検査審査会が「起訴相当」  朝日新聞 2007年12月27日          
 新潟公安調査事務所の職員が03年12月~04年3月にかけて「カラ出張」で裏金約25万円を作り、うち約23万円を商品券購入などに充てていた問題で、業務上横領容疑で刑事告発されていた当時の首席調査官と庶務係主任を新潟地検が不起訴処分とした判断について、新潟検察審査会が「起訴相当」などと議決していたことが26日わかった。
 議決は首席調査官を「起訴相当」、庶務係主任を「不起訴不当」としている。
 職員を刑事告発していた新潟市民オンブズマン(代表・小淵真史弁護士)は同日、「起訴相当」とされた当時の首席調査官について、再捜査して起訴するよう同地検に申し入れた。
 小淵弁護士は「公金横領を指摘した検察審査会の判断を尊重してほしい」と話し、同地検は「議決を踏まえ、鋭意捜査している」とコメントした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・データはここまで・・・・・

 ● 検察審査会法
第1条 公訴権の実行に関し民意を反映せしめてその適正を図るため、政令で定める地方裁判所及び地方裁判所支部の所在地に検察審査会を置く。但し、検察審査会の数は、200を下つてはならず、且つ、各地方裁判所の管轄区域内に少くともその一を置かなければならない。
 
第2条 検察審査会は、左の事項を掌る。
1.検察官の公訴を提起しない処分の当否の審査に関する事項
2.検察事務の改善に関する建議又は勧告に関する事項
2 検察審査会は、告訴若しくは告発をした者、請求を待つて受理すべき事件についての請求をした者又は犯罪により害を被つた者(犯罪により害を被つた者が死亡した場合においては、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹)の申立てがあるときは、前項第1号の審査を行わなければならない。

第3条 検察審査会は、独立してその職権を行う。
 
第4条 検察審査会は、当該検察審査会の管轄区域内の衆議院議員の選挙権を有する者の中からくじで選定した11人の検察審査員を以てこれを組織する。

第25条 検察審査会は、検察審査員全員の出席がなければ、会議を開き議決することができない。
2 検察審査員が会議期日に出頭しないとき、又は第34条の規定により除斥の議決があつたときは、検察審査会長は、補充員の中からくじで臨時に検察審査員の職務を行う者を選定しなければならない。

検察審査会議の議事は、過半数でこれを決する。但し、起訴を相当とする議決をするには、8人以上の多数によらなければならない。

第31条 審査の申立は、書面により、且つ申立の理由を明示しなければならない。
 
第40条 検察審査会は、審査の結果議決をしたときは、理由を附した議決書を作成し、その謄本を当該検察官を指揮監督する検事正及び検察官適格審査会に送付し、その議決後7日間当該検察審査会事務局の掲示場に議決の要旨を掲示し、且つ、第30条の規定による申立をした者があるときは、その申立にかかる事件についての議決の要旨をこれに通知しなければならない。
 
第41条 検事正は、前条の規定により議決書謄本の送付があつた場合において、その議決を参考にし、公訴を提起すべきものと思料するときは、起訴の手続をしなければならない。

●最高裁のPRページから   検察審査会とは
 刑事裁判は,検察官が犯罪の嫌疑を受けている者(被疑者)を起訴することで始まります。検察官は,被疑者を処罰する必要があると判断したときに起訴をしますが,いろいろな事情から起訴をしないという処分(不起訴処分)をする場合もあります。
 検察審査会は,検察官がした不起訴処分のよしあしを審査する機関です。
     検察審査会とは
検察審査会
 選挙権を有する国民の中からくじで選ばれた11人の検察審査員が,一般の国民を代表して,検察官が被疑者(犯罪の嫌疑を受けている者)を裁判にかけなかったこと(不起訴処分)のよしあしを審査するのを主な仕事とするところです。
 これまでに検察審査員又は補充員(検察審査員に欠員ができたときなどに,これに代わって検察審査員の仕事をする人)として選ばれた人は約50万人にもなり,多くの人たちが国民の代表として活躍しています。

□審査はどういうときに行われるのか
 犯罪の被害にあった人や犯罪を告訴・告発した人から,検察官の不起訴処分を不服として検察審査会に申立てがあったときに審査を始めます。
 また,検察審査会は,被害者などからの申立てがなくても,新聞記事などをきっかけに自ら審査を始めることもあります。

□審査の方法は
 検察審査会は,検察審査員11人全員が出席した上で,検察審査会議を開きます。そこでは,検察庁から取り寄せた事件の記録を調べたり,証人を呼んで事情を聞くなどし,検察官の不起訴処分のよしあしを一般国民の視点で審査します。
 また,検察審査会議は非公開で行われ,それぞれの検察審査員が自由な雰囲気の中で活発に意見を出し合うことができるようになっています。

□審査の結果は
 検察審査会で審査をした結果,更に詳しく捜査すべきである(不起訴不当)とか,起訴をすべきである(起訴相当)という議決があった場合には,検察官は,この議決を参考にして事件を再検討します。その結果,起訴をするのが相当であるとの結論に達したときは,起訴の手続がとられます。

□これまでに審査した事件は
 これまでに全国の検察審査会が審査をした事件は14万件に上り,その中には,造船疑獄事件,サリドマイド薬禍事件,水俣病事件,羽田沖日航機墜落事件,日航ジャンボジェット機墜落事件,薬害エイズ事件,脳死臓器移植事件,豊浜トンネル岩盤崩落事件,雪印集団食中毒事件,明石花火大会事件といった社会の注目を集めた事件もあります。
 また,検察審査会が審査した結論に基づいて,検察官が再検討の結果起訴した事件は,1,200件を超え,その中には,懲役10年,懲役8年などといった重い刑に処せられたものもあります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    ウィキペディア 
概要
 日本においては、事件について裁判所へ公訴を提起(起訴)する権限は、検察官が独占している。したがって、告訴を行った事件など、犯罪被害者が特定の事件について裁判を行って欲しいと希望しても、検察官の判断により公訴が提起されずに、不起訴・起訴猶予処分等になることがある。
 このような場合に、その事件を不起訴にするという検察官の判断を不服とする者の求めに応じ、判断の妥当性を審査するのが検察審査会の役割である。検察審査会は、このような求め(不服申立手続き)に応じて審査を行い、「不起訴相当(検察官の判断に誤りはない)」、「不起訴不当(検察官の判断には疑いがある。過半数の票で成立。11人中6人)」、「起訴相当(検察官の不起訴は不当である。起訴すべき事件である。11人中8人の票が必要)」のいずれかの議決を行い、検察に通知する。
そのうち、不起訴不当と起訴相当の議決が成されたものについては、検察は再度捜査を行い起訴するかどうか検討しなければならない。しかし、検察審査会が行った議決に拘束力はなく、審査された事件を起訴するかの判断は最終的には検察官に委ねられるため、不起訴不当や起訴相当と議決された事件であっても結局は起訴されない場合も少なくない
・・・・
 ただし、司法制度改革の一環として検察審査会法を改正するための法律(平成16年法律第84号)が2004年5月28日に公布され、今後は「同一の事件について起訴相当と2回議決された場合には必ず起訴される」こととなり、法的拘束力を持つことになった(2009年5月27日までに施行するよう定められているが、裁判員制度開始に合わせることが予定されており、期日は未定)。


 解説  ・・なお検察審査会法は、「議決があった時は、同一事件について更に審査の申し立てをすることはできない」と定めていますが、静岡の事件で、審査会が「検察が再捜査して不起訴にした事件は、当初の事件とは別とみなされる」と判断し、3度目の捜査で起訴された例がある。・・

● 偶然に審査会委員になった新聞記者のおもしろい報告 はじめての検察審査会



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 昨年一年間、一番ちからを入れたテーマ、選挙公営、特にポスター代の水増し詐欺問題。
 年末12月20日の岐阜地検の不起訴処分。多くが驚いた。

 ほうっておけないからと、岐阜検察審査会に審査申し立て。
 今日はその準備。やっと、ほぼ出来た。

 明日、印刷やコピーをとったりして午後提出、その後記者会見の設定。
 さきほど、裁判所にもって入るところを映したいとテレビから電話。

 今晩は、まず、年末の新聞のポスター代問題の特集記事を2つ紹介。
 明日の朝は、資料作り中に見つけた、他地域の検察審査会の検察の不起訴に対する「起訴相当」とか「不起訴不当」とかの議決の例も紹介する。同時に、そもそも審査会のことも説明したい。
 
 申し立ての本文全文などは提出後に紹介しよう。

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 07回顧ぎふ(6) ポスター代水増し
市民不正どう判断


 不正を認めた元市議ら7人全員が起訴猶予処分に-。2004年の山県市議選で、元市議ら7人が市の選挙公営制度を悪用し、ポスター制作費を水増し請求した事件で、岐阜地裁が判断を下したのは、県警が詐欺容疑で書類送検してから約5ヶ月がたった今月20日。処分をめぐる関係者の思いはさまざまだ。
 ×   ×
 「この資源は全国に波及する」。市民から告発を受けた今年4月、県警捜査二課と山県署はそんな意気込みで捜査を場占めた。
 告発対象は市議二人と印刷業者だけ。しかしポスター費を請求した候補者25人を操作すると、ほかにも水増ししている市議がいることが発覚。捜査の結果、市議ら7人が請求額の6割にあたる計140万円を水増しして請求し市費をだまし取った疑いが明るみに出た。水増し額は最高で約28万円、最低でも11万円とされた。
 ×   ×
 「正直者がばかを見た結果だ」。起訴猶予処分は犯罪事実があることは認められたということ。処分に捜査関係者は悔しさをにじませた。
 この5ヶ月間に、7人のうち5人は辞職した。しかし、横山善道県議と宮田軍作市議の二人は現職のままだ。辞職してもしなくても同じ刑事処分だった。この問題を追及してきた同市の寺町知正市議は「検察が甘い姿勢をとったのが信じられない。それに辞めた人とそうでない人がいる。各人の対応に合わせて検察は差をつけた対応をすべきだ」。
 水増し請求していなかった市議にも不満は残る。ある市議は「納得できない。辞職していない二人は当然起訴されると思っていた。起訴されなくては、議会として辞職勧告をすることもできなくなり、もう辞めさせることもできない」。
 一方で、「起訴猶予だが、立件して意義はあった」と話す捜査関係者もいる。「各地でポスター制作費を自主返還するなど、わが身を振り返る議員が出てきた」。問題を問い続ける寺町市議は一定の評価もしている。
 ×   ×
 市民を代表して自治体の意思決定をする議員を志す人が、市民からの信任を得る選挙の際、不正をして許されるのか。たとえ手続きが複雑だろうと、制度に不備があろうと、市費をだましとったことに変わりはない。この問題に記者が初めて触れたときからの思いは、今でも変わらない。
 結局、問題は年を越す。寺町市議は年明けにも岐阜検察新疎開に不服を申し立てる方針だ。2009年5月までに始まる裁判員制度と同じく、検察審査会を構成するのは市民だ。市民はどう判断するのか-。
(稲熊美樹)(2007.12.28 中日新聞)


 企画特集【07ぎふを振り返る】 <2>ポスター代水増し事件 
不正追及、全国へ広がる
朝日新聞 2007年12月18日

 選挙漬けの1年だった。昨年12月の愛知県犬山市長選に始まり、今年2月の同県知事選、4月の御嵩町長選などの統一地方選の選挙戦に密着した。5月に岐阜に転勤してからは、7月の参院選。そのさなか、公費負担された山県市議選のポスター代水増し請求に、県警の捜査のメスが入った。
 一報に接した時、米国ニューヨーク市出身で、犬山市議会副議長のビアンキ・アンソニーさん(49)の顔を思い浮かべた。
 ビアンキさんは、市議1期目途中で市長選に挑戦し、落選した。その徹底した無党派選挙を取材してから、しばらくたって電子メールが届いた。「日本の選挙、おかしいです」
 犬山市長選の選挙ポスター代の法定単価は2330円。市内の選挙掲示板は166カ所あるため、総額の上限は38万6780円。公費負担された4候補では、1枚600円、総額9万9600円だったビアンキさんに対し、他の3候補はほぼ上限の総額約38万6千円を請求したのだ。
    ■
 当時は愛知県知事選のさなかで、貴重な指摘を掘り下げられなかった。山県市議選のケースは県警が立件すれば全国初と知り、「身近な政治とカネの問題。県外に飛び火するかもしれない。腰を据えて取材しよう」と決意した。
 同僚と手分けして市議や印刷業者に当たり、ポスター代を受け取った業者から市議への現金還流が明らかになった。取材で市議や県議に転じた元市議が水増し請求を認めると、他の市議も記者会見で謝罪し、5市議辞職への流れができた。
 問題の根深さに迫ることができたのは、情報公開請求の力だろう。市民団体や報道機関が資料を入手して調べた結果、県議選や、選挙公営制度のある県内15市の市議選でも同様の実態が浮かび上がった。
 15市の直近の市長選で、現職6人と落選10人の計16人が上限に近い額を請求していた実態も報道できた。取材で事実を認めた岐阜、羽島、各務原、大垣、恵那の5市長は「制度改正を検討する」と明言した。羽島市は上限額を引き下げる条例改正をしたが、ほかの4市長も、よもやお忘れではないだろう。
    ■
 選挙カー費用も含め、不正請求の発覚や住民監査請求などの動きは、全国に広がった。ポスター代問題を追及してきた寺町知正・山県市議は「政務調査費は領収書を公開する自治体すら少ないが、ポスター代は相場があるので過大請求がわかりやすい」と話す。
 犬山市議会も今月13日、ポスター代と選挙カー燃料費の上限額を引き下げる条例改正を全会一致で可決した。ビアンキさんは「井戸端会議では物事は変わらない。議員に声を上げさせるのが第一歩」と話す。
 水増し請求を認めた市議ら7人中、横山善道県議と宮田軍作市議は、今も職にとどまる。県警の書類送検を受け、詰めの捜査を進めている岐阜地検の判断が注目される。(岡本洋太郎)

■山県市議選ポスター代水増し事件 03年2月の山県市議選で公費負担されるポスター代を水増し請求したとして、県警は7月、現職市議6人、県議に転じた元市議1人と印刷業者らを詐欺容疑で書類送検した。山県市が設けた調査委員会は、7人が14万~28万円を不正請求し、総額は149万1千円と認定。「市議らには選挙公営制度への信頼を失わせた道義的責任もある」と指摘した。
(2007.12.18 朝日新聞)





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 10数年前、バブルに関連しての住専問題、その救済に税金を使うことの是非の議論、もちろん反対した。
 ちょうど岐阜ではその意思決定のタイミングに参議院議員の補選があり  (関連)3月22日 「住専と私と参議院選挙」 の集会 岐阜でも沸騰していた。
 衆議院議員を呼んで話を聞くように進めたけど相手の日程が合わず、名古屋大学の教授に来てもらった。

 ともかく、昨年の世界経済の破綻に関連する日本の銀行の幹部の表情にあきれた。税金で救済されたというのに、サブプライム問題での自行の状況を説明する会見で、へらへら笑っている輩。
 新聞にもそういうヘラヘラ笑う写真があって、記事をとっておいたつもりが、見当たらない。軽く笑っている程度の写真の記事を紹介しよう。

 末尾には、昨年9月の日経新聞の特集を引用するが、「一九九〇年代から二〇〇〇年代前半までにわたって、日本の金融機関が苦闘した不良債権問題。その原因も不動産バブルの発生とその崩壊だ。」「 サブプライム問題が信用力の低い個人向け住宅ローンの焦げ付きが原因だったのに対し、日本の不良債権問題で目立ったのは、法人向け融資の回収不能だ。」と分かりやすく説明されている。

 ますます思い出されてくる。
 ぬくぬくしすぎた金融機関。
 その後始末やリアクションは、結局は国民・経済に回る。

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●サブプライム 見通し甘く  読売2007.11.15
記者会見するみずほフィナンシャルグループの前田晃伸社長(手前)と西堀利常務(14日午後、日銀で)

みずほ1000億円下方修正
――邦銀への影響じわり

 米国の低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の焦げ付き問題の影響が、日本の金融機関にもじわりと広がっている。みずほフィナンシャルグループ(FG)が14日、2008年3月期決算の連結税引き後利益を1000億円下方修正するなど、邦銀も「影響はほとんどない」という見通しの修正を迫られてきた。国内金融機関のサブプライム関連の損失計上額は、判明しただけで3000億円を超えた。金融市場の混乱は続いており、損失はさらに拡大する恐れがある。(是枝智、森田将孝)

■あきらめ顔
 みずほFGが14日発表した9月中間連結決算は、本業のもうけを示す業務純益が前年同期比5・4%増の4142億円と好調だったが、サブプライム関連の損失が計約700億円出たことなどから、税引き後利益は16・6%減の3270億円にとどまった。08年3月期では、傘下のみずほ証券の損失が、他の証券化商品の分も含めさらに1000億円程度増えると想定している。
 10月に渡米し、米銀関係者らと意見交換したみずほFGの前田晃伸社長は記者会見で、「米銀トップからもこれだけ市場が悪くなるとは感じられなかった。余波がストレートに来た」と甘い見通しを悔やんだ。
 あおぞら銀行も14日、08年3月期決算の業績予想について、連結税引き後利益を当初見込みの845億円から626億円に下方修正した。能見公一会長は「下期も40~60億円の追加損失を見込んでいる。収束には時間を要するだろう」とあきらめ顔だ。
 損失が予想以上に増えた最大の理由は「(サブプライム関連商品の)市場がクラッシュ(崩壊)した」(前田みずほ社長)ことだ。

■機能停止
 邦銀は格付けの高い商品を中心に投資してきたが、高格付けのものであっても格下げが相次いだ。相対取引であるサブプライム関連商品の市場では、ほとんど買い手がつかなくなり、価格が暴落した。前田社長は「最大の反省は、流動性(取引)がなくなるリスクを常に考えなければいけなかったことだ」と振り返る。
 新生銀行も9月中間決算の関連損失が約190億円に増え、連結税引き後利益は前年同期比40・3%減の231億円にとどまった。三井住友フィナンシャルグループも9月中間期に約320億円の損失計上を迫られる。さらに“被害”は、地方銀行や信用金庫の一部、あいおい損害保険にまで波及している。

■拡大懸念
 海外では、米シティグループが2兆円近い損失を計上する見通しとなるなど、有力な欧米銀行・証券会社が相次いで巨額損失を計上している。米国の大手銀行と証券の計9社で、これまでに判明した損失額は4兆5000億円を超えている。
 欧米の金融機関に比べれば、日本の銀行や証券会社への影響はまだ小さいといえる。日本銀行の福井俊彦総裁は13日の記者会見で、「日本の金融システム全体として不安を考える必要はない」との考えを示した。
 しかし、市場の混乱は続いており、価格が想定以上に下がらないとの保証はない。9月中間決算では約50億円の損失計上にとどまる三菱UFJフィナンシャル・グループも、9月末で200億円程度の含み損を抱える。現在の含み損はさらに増えているとみられ、拡大懸念はくすぶっている。 (2007年11月15日 読売新聞)


●サブプライム損失3200億円 国内5金融機関、08年3月見通し   読売 2007.11.28
 米低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の焦げ付き問題に関連して、みずほフィナンシャルグループなど国内主要7金融機関が抱える損失額が27日出そろった。2007年9月中間決算に計上した損失額は計約1800億円、08年3月期の損失見込みは、見通しを出した5金融機関だけで最大約3200億円に達している。

 このうち農林中金は27日に発表した9月中間決算で、サブプライム関連商品を約4800億円保有し、価格下落後の売却などの損失として384億円を計上したことを明らかにした。保有する関連商品の含み損は9月末で533億円に上り、10月末ではさらに約140億円増えているという。ただ、損失の明確な見通しは示さなかった。

 9月中間決算で計上したサブプライム関連の損失が最も大きかったのは、みずほで、農林中金、三井住友フィナンシャルグループが続いた。08年3月期の損失見通しは、みずほが中間期の約2・4倍、三井住友が約2・7倍などと大幅な拡大を見込んでいる。市場の動揺は10月以降も続いており、損失額が今後拡大する可能性は大きい。

 金融庁が22日発表した国内金融機関(大手10行、地銀111行、信用金庫・信用組合455)が保有するサブプライム関連商品の残高は9月末で約1兆3300億円に達し、07年9月中間期の損失総額は2260億円となっている。
大手金融機関のサブプライムローン関連の損失計上額(単位・億円)
金融機関名
2008年3月期(予想) 2007年9月中間期
みずほ 1700      700
農林中金 見通し示さず  384
三井住友 870      320
新生 見通し示さず  190
住友信託 190       90
あおぞら 118~138   58
三菱UFJ 最大270  40
合 計 最大3168 1782

(2007年11月28日 読売新聞)

●銀行決算:サブプライム損失で利益半減 大手6グループ  毎日 2007.11.22
 大手銀行6グループの07年9月中間連結決算が21日、出そろった。貸し出しの伸び悩みに加え、米低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)関連の損失処理が響き、最終(当期)利益は6グループ合計で9478億円と過去最高水準だった前年同期(計1兆7352億円)からほぼ半減した。中間期で最終利益が前年を下回るのは4年ぶり。中間期のサブプライム損失は6グループで計1150億円にのぼり、08年3月期では計約3000億円に達する見通しだ。

 下期は、9月施行の金融商品取引法の影響や株安進行で投資信託の販売も落ち込む見通しで、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、みずほFG、住友信託銀行の3グループが08年3月期の業績を下方修正。6グループ合計の08年3月期の最終利益は前年同期比21%減の2兆2150億円と2年連続の減益となる見込みだ。
 9月中間期の本業のもうけを示す業務純益は6グループで計1兆6373億円と前年同期比2.5%増にとどまる一方、融資先の消費者金融会社の業績悪化で貸し倒れ引当金の大幅な積み増しなどを迫られた。

 サブプライムローン関連の損失は下期に一段と拡大する見通し。みずほFGが上期の700億円から08年3月期で1700億円に膨らむほか、三井住友FGも320億円から870億円に拡大すると見込んでいる。上期に40億円の損失を計上した三菱UFJは08年3月期の損失も最大270億円にとどまるとしている。
 本業も「大企業は資金需要がほとんどない」(三井住友FG)状況で、傘下銀行合算ベースの貸出残高は三菱UFJFGが前年実績を割り込んだほか、他の5グループも0~2%台の低い伸びだった。

 一方、06年9月中間期は融資先の業績改善で貸し倒れ引当金の戻り益が利益を大きく押し上げたが、今回の9月中間期は「中小企業を中心に倒産件数が増えた」(みずほFG)ことから、貸し倒れ引当金の積み増しなど不良債権処理費用が増加。三菱UFJの約2700億円をはじめ6グループ合計で5400億円に上った。【斉藤望】毎日新聞 2007年11月21日 21時11分

●最終益半減 成長戦略、立ち往生 サブプライム直撃、「海外証券化」で損失  毎日 2007.11.22
 07年9月中間決算で大手銀行6グループの最終(当期)利益が前年に比べ半減したのは、貸し出しの伸び悩みに加え、新たな収益源になるはずだった海外証券化業務が米低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に直撃され、多額の損失を出す羽目になったからだ。ドル箱の投信販売も株安で打撃を受けるなどリテール(小口金融)業務にも影響が出始めており、大手行の成長戦略は立ち往生を余儀なくされている。【坂井隆之】

 「市場がクラッシュし、(証券化商品は)何が適正価格か分からない状況だ」。みずほフィナンシャルグループ(FG)の前田晃伸社長は決算会見で困惑を隠さなかった。みずほは中間期にサブプライム関連で700億円の損失を計上。10月以降、サブプライム問題は証券化市場全体の混乱に波及したため、08年3月期の損失は1700億円に膨らむ。

 他の大手行もりそなホールディングス(HD)と中央三井トラストHDを除き、軒並みサブプライム関連投融資で痛手を受けている。新生銀行とあおぞら銀行を加えた大手8行の損失は中間期の計約1400億円から08年3月期には倍以上の計3400億円近くに拡大する。欧米市場ではサブプライム以外の他の証券化商品も価格が急落しており、米住宅ローン関連の証券化商品への投資残高が8000億円あるみずほFGなどは市場から「損失がさらに膨らむのでは」(格付け会社)と疑心暗鬼の目を注がれている。

 サブプライム問題は大手行の海外戦略も狂わせた。住宅ローン担保証券(RMBS)などの証券化ビジネスは米シティグループなどが開発し、巨額の利益をあげてきた。日本の大手行も「有望事業」と見て、みずほFGを先頭に本格進出を狙っていたが、サブプライムショックでリスクの大きさが明らかになり、各行が戦略見直しを迫られるのは必至だ。
 さらに、サブプライム問題による世界的な株価急落で収益のけん引役の金融商品販売にも影を落とし始めている。株安による顧客離れで各行の10月の投信販売は軒並み前年比3割減と落ち込み、先行きも不透明だ。

 21日決算発表した三菱UFJFGは、貸し出し利ざやの縮小やカード子会社のリストラなどで08年3月期の連結最終利益予想から5月時点の予想を2000億円も下回る6000億円に下方修正。畔柳信雄社長は「来年のシステム統合に向けた経費も重なり、今年度が一番苦しい時」と述べたが、投信販売落ち込みが続けば業績はさらに低迷しそうだ。

●サブプライム問題:国内金融機関の証券化商品、1兆3000億円保有  毎日 2007.11.23
 金融庁は22日、米国の低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)問題で、邦銀の損失状況を発表した。9月末現在で、サブプライムローンを含む証券化商品の保有額は、国内の銀行(新生銀行とあおぞら銀行などを除く)や信用金庫・信用組合の全体で約1兆3000億円あり、評価損と損失処理を合わせ約2300億円が9月中間決算に計上された。

 渡辺喜美金融担当相は「邦銀の保有は限定的で、自己資本が40兆円規模あるため、損失リスクには対応可能だ」として、金融システムに深刻な影響を与える状態ではないとの認識を強調した。ただ、今回の集計に含まれていないタイプの証券化商品も価格が下落しているほか、10月以降の追加損失は反映されておらず、今後、損失が拡大する可能性もある。

 集計では、大手銀行10行の保有額は約1兆2000億円で、評価損は約1000億円、証券化商品を売却などして損失処理した損失額は約1000億円だった。
 地方銀行は保有額1100億円、評価損60億円、損失額90億円。信金・信組は保有額200億円、評価損10億円、損失額100億円だった。【清水憲司】
毎日新聞 2007年11月23日 東京朝刊

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

9月9日 日経サブプライム特集 を 引用したブログ
・・・
一九九〇年代から二〇〇〇年代前半までにわたって、日本の金融機関が苦闘した不良債権問題。その原因も不動産バブルの発生とその崩壊だ。
 日銀の金融緩和政策を追い風に、土地神話に乗った銀行は不動産融資を競った。行き過ぎた地価高騰に対し、日銀が金融引き締めに転じ、大蔵省(当時)が不動産向け融資の総量規制を発動すると、歯車は逆転した。
 サブプライム問題が信用力の低い個人向け住宅ローンの焦げ付きが原因だったのに対し、日本の不良債権問題で目立ったのは、法人向け融資の回収不能だ。商業地の地価下落が激しく、担保にとっていた土地を回収・売却しても、融資分を埋められなかった。
 日本の不良債権問題は日本長期信用銀行など主要行の相次ぐ経営破綻にもつながった。金融庁の集計によると、九三年三月期以降、〇七年三月期まで累計した邦銀による不良債権処理額は約九十七兆八千億円にのぼる。
 サブプライム問題は仏銀大手のBNPパリバが八月九日、傘下ファンドの解約凍結を発表したことをきっかけに、世界の金融・株式市場の動揺となって飛び火した。
 不良債権問題が「二十世紀・日本型危機」だとすれば、サブプライム問題は「二十一世紀・グローバル型危機」という見方もできる。金融のグローバル化、金融技術の進歩がリスクの大きさを見えにくくしているだけに

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 1月6日の読売新聞の一面。
 次期衆議院選挙からの解禁を目標のようだ。

 05年衆院選では、政党は総務省の注意を受けて掲載をやめたが、07年参議院線は「総務省は『問い合わせがあれば説明はするが、主体的に取り締まることはできない』と話している」という流れ。

 その見解とかみ合うように、昨年7月の参議院期間中、政党のWebページは選挙情報が更新された。
 実際、誰も捕まったとは聞かない。警察も捕まえることはないとは前から聞いていたけど。
選管が文句を言わないとコメントする状況が出来上がってきて、準備は整ったようだ。

 今年こそ解禁といわれ続けながらも変わらずにきた日本のインターネット選挙、やっとその時期か。

 最後に、とても面白いブログがあったので、リンクして紹介しておく。

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●ネットでの選挙運動、まずHPから解禁…自公民方針  2008年1月6日3時9分 読売新聞
 自民、民主、公明3党は、インターネットを利用した選挙運動を解禁するため、今月召集される通常国会に公職選挙法の改正案を提出する方向で調整に入った。

 今回は第1弾としてホームページの利用を解禁する案を軸とし、他の野党にも賛同を呼びかけて次期衆院選からの実施を目指す。
 現在の公職選挙法142条は、法定のはがきやビラ、政権公約(マニフェスト)を除き、「文書図画」の頒布を禁じている。ホームページのようなコンピューター画面に表示されるものも文書図画の頒布にあたるとみなされるため、選挙期間中は候補者だけでなく政党も、更新はできない。

 選挙運動でホームページの利用が解禁されると、候補者や政党は公約や自らの主張・政策などを文字だけでなく、音声や動画などで伝えられる。内容も選挙情勢に応じて更新が可能となる。有権者も自分の好きな時間、場所で候補者の政策などを見比べることができるようになる。
 選挙運動のネット利用をめぐっては、民主党が2006年6月に4度目の議員立法を提出した。ホームページや電子メール、ブログのすべてを解禁する内容で、これらを使って選挙運動を行う者に、氏名とメールアドレスの表示が義務付けられる。違反した場合の罰則規定も設けている。

 一方、自民党は昨年12月に選挙制度調査会が論点整理を行い、ネット利用解禁について具体案を検討することとした。ホームページの解禁には異論がないものの、他人が候補者の名前をかたる「なりすまし」が容易な電子メールやメールマガジンの解禁には否定的だ。
 公明党は、偽ホームページなどへの対応は必要としているが、ネット利用の解禁には前向きだ。

●自・民が参院選公示後もHP更新、他党も追随の動き  2007年7月14日 読売新聞
 自民、民主両党が12日の参院選公示後も、党のホームページ(HP)を更新し続けていることが、波紋を広げている。
 従来、選挙期間中のHP更新は文書・図画の頒布や掲示を禁止した公職選挙法に抵触する恐れがあるため、各党とも自粛していた。他党からは追随する動きも出ている。
 自民党は公示日の12日、HPに「ニュース」として、東京・秋葉原での安倍首相の第一声の記事や写真、党三役の街頭演説の様子などを掲載した。民主党も12日に小沢代表、13日に菅代表代行の街頭演説の様子を掲載し、党幹部の遊説日程も更新している。

 05年衆院選では、民主党が岡田代表(当時)の第一声などを掲載したところ、総務省から「遊説内容を載せることは公職選挙法に抵触する恐れがある」と指摘され、その後は各党とも更新を控えた。公選法142条は、選挙運動期間中、法定のはがきやビラ、パンフレットを除き、「文書図画」の不特定・多数への配布・掲示を禁止している。

 今回、自民党は「特定の候補者名は出さないが、政党としては情報発信の義務がある」(広報本部)、民主党も「党幹部の演説内容を掲載することは、選挙運動ではなく、政治活動の一部だと考えている」(広報)と説明している。

 自民、民主両党の対応を受け、公明党は選挙期間中のHP更新は自粛するという当初方針を変え、13日午前から、公明新聞の記事を転載する形で太田代表らの遊説の様子を伝え始めた。共産党は13日付の党機関紙「しんぶん赤旗」の記事を引用する形で、志位委員長の第一声を掲載した。

 一方、社民党の担当者は「今後、他党の更新が問題にならなければ、更新を検討したい」と話す。
 総務省は「問い合わせがあれば説明はするが、主体的に取り締まることはできない」と話している。


●ネット選挙解禁?
公職選挙法、違憲判決で改革へ  
  ネット社会、その光と影を追うー  
 最高裁が在外邦人の選挙権行使を制限する公職選挙法に違憲判決を下した。
 投票率が上った衆院選でも、有権者の視点から選挙のあり方に様々な課題が浮上。  
 公選法は抜本改革を迫られている。                     ネット選挙の解禁などが議論の突破口になりそう。 
 通信手段が地球規模で目覚しい発達を遂げている。 
在外国民への候補者情報の伝達が著しく困難とはいえなくなっている。     
 →在外投票を衆参両院の比例代表選挙に限るべきべきでないと断じた判決である。

●ローカルニュース 7月17日の紙面から 参院選の在外選挙 国内外の情報格差依然   日本経済新聞 05/9/21 夕刊
 海外に住む日本人の投票は比例選挙に限られていたが、今回の参院選から選挙区選挙でも可能になる。鳥取県内では在外選挙人名簿に約300人が登録しており、選管や陣営は「政治への参加者が増える」と歓迎する。だが、インターネットを使って候補者の主張を知る有権者は多いが、国内外の情報格差は依然として埋まってない。選挙公報のネット掲載などは禁じられ、投票の判断材料は乏しいままだ。

在外選挙制度をPRするパンフレット
 一九九八年の公選法改正に伴い、国政選挙で比例選の在外投票ができるようになった。これに対し、最高裁は二〇〇五年、比例に限定した公選法の在外投票規定を違憲とする判決を下し、昨年、選挙区選でも投票できるよう公選法が改正された。

 総務省の統計では、投票に必要な在外選挙人名簿に登録しているのは九万千百六十六人(昨年九月二日現在)。県選管によると、県内の登録者は二百九十一人(今年六月三日現在)で、九九年末と比べて三倍近く増えた。

 だが、選挙人登録は全国的に伸び悩んでいる。二十歳以上の在外邦人は約七十六万人と推定されるため、登録者はわずか約12%だ。県は海外に三カ月以上滞在する県民を対象に、在外選挙制度のパンフレットを配るなどして周知に努めている。

 一方、候補者の主張や顔写真、プロフィルなどを盛り込んだ選挙公報は、投票を判断する上で重要だが、県選管は「公示後に印刷して完成までの時間を考えると、海外への配布までは難しい」と説明。候補者がビラを郵送することは禁止されており、陣営が在外有権者にアピールするのは現実的ではないようだ。

 また、インターネットによる選挙活動の弊害もある。選挙公報のネット掲載について、「改ざんの恐れがあり、選管がホームページに掲載するのもトラブルの原因」(総務省)などとして認めていない。また、候補者は公示後にホームページを更新することが禁止されている。

 同省は「候補の主張を広く知らせることも重要だが、不正行為を防ぎ、適正な選挙活動にしなければならない」と強調。鳥取選挙区のある陣営の関係者は「一票の重みを考えると、有権者の知る権利が生きるような制度にしていく必要がある。一人でも多くに考えを訴えたいのだが…。日本の選挙は規制が多い」ともどかしさを感じている。
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 転載自由とあるので、抜粋して転載とリンク
Like a rolling bean (new) 出来事録 気付いたらこんな時代のこんな出来事が・・・
 ・・・わたしも素人なりに考え、図解してみましたが、つまり今回の背景にあることは以下のようなことでしょうか??
 ☆間違いがあればお知らせください。転載自由です。
 情報通信法(など)とあるのは、「通信・放送の総合的な法体系」を指します。
 赤い矢印は、規制・抑制を表し、青い矢印は保護を表します。

■本来の、日本国憲法の理念に沿った選挙期間中の選挙活動と情報の保証:
 (クリックで拡大)

実際には上記のままは達成されていないところもあります。
でも、上で挙げたニュースなどを知るにつけ、この2007年7月時点では
■自民党新憲法草案にむしろ準拠:
 (クリックで拡大)

のように運用されている・・・ということかもしれませんよね。

最悪のパターンを想像すると、
国政を一旦握ったら、「国は、国政上の行為につき国民に説明する責務を負う」という、自民党新憲法草案21条追加項を根拠に、国政上の行為を主に執り行う与党からの情報発信には自由度を持たせながら、公選法を与党以外(野党、市民)にはかっちり適用しながら、与党にはなし崩し的な適用をして骨抜きにしたりしかねません。 ・・・・


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 昨年引退した高知県の橋本知事。
 議論を呼んだが、次の知事自体は相乗り候補が当選した。
       2006.11.19 相乗りや橋本氏引退のこと

 その橋本氏が朝日新聞に退任前に手記を寄せたとあり、退任後に公表されていたそのデータがとってあったので、このあたりで紹介しておく。
 何人かの固有名詞がでてくるが、梶原前岐阜県知事の名だけが2度出てくるのは流れか・・・

 一昨年7月に名古屋で、宮城県知事を退任された翌年の浅野史郎さんの講演会を行った。その日は岐阜県庁の裏金事件が発覚した数日後だった。
 到着して早々の控え室で浅野さんが、「岐阜県の裏金問題が分かって、皆さんの前ですっきり居られるので良かった」と話されたは印象的。さらに、その前月6月中旬の梶原氏主催の東京の集会のことも分かって・・・
 もう時効だろうから書くけど・・・
       ◆名古屋で浅野史郎さん講演会


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ここのところ6位、7位、8位あたり


●高知・橋本知事、退任前に思い明かす 手記全文     朝日新聞 2007年12月06日
 高知県の橋本大二郎知事(60)が退任を前に朝日新聞に寄せた手記「流れの先にあるものは」の全文を紹介する。

 ■細川氏との出会い
 知事になって間もない頃、熊本県知事を退任して浪人中だった、細川護熙氏と、東京の鳥居坂にある、会館の一室で面会をした。選挙の公約に掲げた、県版のシンクタンクの設立に向けて、理事長就任を依頼するのが目的だった。
 これに対して細川氏は、自分の経験を生かすことが出来れば、ぜひお役に立ちたいと答えてくれたが、それと同時に、近く文芸春秋に、新党結成の決意を綴(つづ)った、原稿を発表すると打ち明けられた。それが、平成4年5月の、日本新党の立ち上げにつながったが、そこには、地方分権を基軸にした、国と地方との、新しい枠組みづくりの理想が込められていた。
 しかし、知事として仕事をする中で、武士は食わねど高楊枝(たかようじ)と、分権のあるべき姿ばかりを追い求めていたのでは、日々の糧は得られない。このため、知事の職にあった16年間は、分権の理想と、国と地方の力関係の現実との、相克の連続だった。

 ■実力者の系譜
 このうち、現実の面で欠かせないのは、霞が関の官庁や、有力な政治家への陳情だ。例えば、知事になった当初、道路関係の分野では、金丸信氏が力を振るっていたので、東京の永田町にあった事務所や南麻布の自宅に、何度か頼みごとに出かけた。ある日、県道の六つの路線の、国道昇格への後押しをお願いに行くと、やおら秘書を呼んで、道路局長につなぐようにと命じる。当時の建設省の道路局長は、後に道路公団の総裁として、民営化論議に抵抗する悪役を務めさせられた、藤井治芳氏だったが、電話口に出た局長に金丸氏は、「今、高知の知事が来てるんだが、国道昇格の陳情だ。よく話を聞いてやってくれ」と告げると、受話器を私に手渡した。
 金丸氏が政界を退いた後は、同じ永田町のビルの一室にある、竹下登氏の事務所に通った。向き合って腰をかけると、きまったように、「どうなすった」と声をかけてくれる。竹下氏は、役所の幹部の入省の年次などを、こと細かく覚えていることで有名だったが、相談をもちかけると、どんなテーマでも、それならこの人が一番のキーパーソンだと、押すべきつぼを的確に教えてくれた。
 もちろん、総理大臣を務めた兄の下にも、何かと知恵を借りに行ったことがある。さりとて、納得の行かない話となると、相手が弟であっても、首を縦に振るタイプではなかったので、いささか手前勝手に地方への配慮を求めた時には、「道路族だ厚生族だと、族議員が批判されている時代に、お前が地方族になってどうする」と、たしなめられた。

 ■知事会議での変化
 決して、地方族の集団ではないが、地方の代表の一角を担う、全国知事会議の様相も、16年の間に大きく変貌(へんぼう)した。知事になった当時の知事会議は、総会屋に仕切られた株主総会のように、会長のご威光の下、粛々と進められていたが、改革派と呼ばれる知事たちが数を増すに従って、やり取りが活発になってきた。土屋埼玉県知事が、知事会長を務めていた時代に、ある県の知事が、「密室の中で会長が選ばれている」と発言をして、土屋氏が、憤然と気色ばんだ場面などは、以前なら考えられないことだった。それを機会に、会長選びにも、立候補に基づく選挙が、実施されることになった。

 ■裏切られた期待
 最も議論が盛り上がったのは、平成16年8月に、新潟で開かれた知事会議だった。三位一体の改革の一環として、3兆円の税源を地方に移す代わりに、その分、廃止すべき補助金や負担金を、「地方の側でリストアップしてみろ」と、国から挑戦状を突きつけられていたからだ。その時会長を務めていたのは、岐阜県知事の梶原拓氏だったが、夜遅くまで、好きなだけ意見を言わせたあげく、みんなが疲れ果てたところでまとめに入るという、手だれの技は見事なものだった。集まった知事たちは、その技にまんまと乗せられた感もあったが、その場は、自分たちの力で何かを変えられるという、期待感と高揚感に包まれていた。

 しかし、その期待がうたかたのごとく消え去るのに、時間はかからなかった。地方の暮らしを支えるのに欠かせない地方交付税が、大幅に削減された上、地方が、この改革に最も期待をしていた仕事の自由度は、ほとんど高まらないままだったからだ。
 この結果に対して、国と地方の制度に通じた玄人筋は、一部とはいえ、国から地方への税源の移譲という、かつてない風穴が開いたことを、画期的な一歩だと高く評価する。しかし、玄人筋の目ではなく、地域に暮らす住民の目で見た時、これが分権の成果だと実感できるような変化は、ほとんど起きていない。だからこそ、多くの国民は、地方分権とか三位一体の改革といった言葉に、ほとんど興味を示さなくなっているのではなかろうか。

 ■賽の河原の石積み
 では、今後の第二期の分権改革で、大きな展開が期待できるだろうか。自分は、それには否定的だ。その根拠は、ここ数カ月の経験に基づいている。というのも、全国知事会では、第二期の改革に向けて、事務事業への国の関与や補助金による縛りが、地方の独自性をいかに阻害しているかを、改めて調査することになったのだが、その中で、福祉分野の調査のチーム長を引き受けたからだ。

 チーム内で挙げられた事例を見ると、施設の設置や運営の基準から、研修の義務づけなどに至るまで、細かい項目がずらりと並んでいる。それだけ、国が細かいことにまで、地方の仕事に口を出している証ではあっても、国民がこのリストを目にしたら、地方分権とは、いかに事務的で瑣末(さまつ)な議論かと疑いかねない。その上、リストアップされた項目ごとに、「この事業は、国が関与する必要がある」といった、国の反論を許すのであれば、賽の河原の石積みと同じで、いつまでたっても、改革と呼べるほどの分権が進む見込みはない。
 
 ■知事の限界
 法律用語を使えば、今は地方の側が「挙証責任」を、つまり、国の関与に問題があることを証明する責任を負っている。しかし、国が圧倒的な力を持っている中で、これでは分権改革は進まない。改革の名にふさわしい、国の枠組みの転換を目指すなら、外交や防衛など、ごく一部の分野を除いては、すべての権限と財源を地方に移した上で、どうしても、国が関与する必要があると考える場合には、国の側が、それを立証する責任を負うように、仕組みを変えなければならない。

 しかし、これは、地方の力や知事会の力だけで、成し得るものではない。こうした考え方を、マニフェストの形で国民にお示しをした上で、政治の場を通じて、変えていくしか道はない。前段で相克の連続と述懐した、理想と現実の両面に分ければ、国と地方の力関係の中で泳ぎまわる、現実の面ではなく、国と地方の関係を変えるという理想の面で、知事の力に限界を感じた16年だった。

 ■改革派知事
 知事会議での議論は今も活発だが、最近では、総務省をはじめとする官僚出身の知事たちの、いかにもそれらしい発言が、幅をきかすようになってきた。その結果、分権改革をめぐる議論にも、玄人好みの薀蓄(うんちく)が目立つようになってきて、生活者の視点が薄らいできている。そんな知事会議の印象を、知人に話したところ、「それでは、『そのまんま東』対『そのまんま役人』ですね」と言われてしまった。知事会議の席上、いつも、真剣に議論に耳を傾けている東国原知事が、そのうち、フラストレーションを起こさないかと心配だ。

 その知事会の中で、一時期使われた改革派という呼び名も、私が退くことで自然消滅になる。では、改革派の知事は、それまでの知事とどこが違っていたのか。
 とはいえ、改革派も一様ではないから、明確な定義づけが出来るわけではないが、自分に限って言えば、玄人筋以外のお客様を大切にした点だ。ここで言う玄人筋とは、県庁の職員や県議会議員をはじめ、政党と支援関係にある団体や、労働組合の幹部といった人たちだが、かつては、寄らば大樹の政党相乗り型の選挙を通じて、玄人筋だけで、仲良く県政を動かすことが当たり前だった。それに合わせて、役所の側も、仲間内で情報を囲い込んできた。

 これに対して私は、意識的に、政党の推薦を受けずに選挙を戦ってきたので、何をするにも、幅広い層の県民の価値観を基に、判断を下すことが出来た。官官接待の廃止といった決断も、そうした、県民の視点に立った価値判断の結果だ。また、特定の団体や個人を相手にするのではなく、広く一般の県民に開かれた県政を進めるには、情報公開を手段に、行政の持つ情報を、県民と共有する必要があった。C型肝炎の問題や、インド洋での給油に関することでも明らかなように、今もって、一部の官僚の手に、情報が囲い込まれたままの国に対して、地方では、圧倒的に情報公開が進んでいる。これも、玄人筋ではなく、生活者に視点を置いた、改革の成果の一つだ。

 ■インターンシップ
 もう一つ、知事としての本来の仕事ではないが、他の知事がしていないことで、自慢出来ることがある。それは、希望する学生に、知事の仕事をありのまま見せる、「知事のそばでのインターンシップ」を続けてきたことだ。人事にかかわる打ち合わせを除けば、内部の協議もお客様との面談も、自分の仕事のすべてを、同じ空間で体験してもらった。平成12年から、2人の高校生を含めて、あわせて67人が参加してくれたが、一人一人と語り合いの時間も持って、お互いに刺激を分け合った。その中の一人は、岐阜県知事を退任した、梶原氏の手伝いをしていたが、その後発覚した、県の裏金問題に巻き込まれた。悩みを綴った手紙をもらった時、「一度惚(ほ)れ込んだ男には、とことん尽くせ」と、返事を出したが、その彼は、今は地元で、市議会議員を務めている。この他にも、私と同じNHKの記者になった青年など、行く道は様々だが、彼らは、将来必ず、この経験を生かしてくれるものと信じている。

 ■堂々たる日本
 就任時には、全国で一番若い知事だった自分も、退任の際には、若い方から23番目になっていた。その私に替わって選ばれた、新知事は40歳。2代続けて、全国一若い知事の誕生となった。

 しかし、知事を退くにあたっても、感傷はほとんどない。何かが終わったとか、一区切りついたとは、感じていないからだ。
 世界に伍した貢献をしながら、なお、高知県に代表されるような地方でも、国土と暮らしが保てる国を築いていく、それが、堂々たる日本の姿ではないか。そのためには、生活者の視点に立った国の形を、提案していかなくてはならない。そのための戦略と戦術を、どう組み立てるのか、わくわくするような思いで、退任の時を迎えている。

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