「お伝えしたいことがあります」
木曜日の夜、30分の初心者クロールレッスンを終えてから、さおりコーチが言った。
この日の気温は10℃。低気圧が紀伊半島の南海上を東に進んでいるため、西から天気は崩れだし、明日は東京でも初雪になる。
気温が一気に下がったその日の夜は生徒数が少なく、常連のおばちゃん2人とぼくの3人だった。
「私、1月でこのジムを退職します」
「うそぉ~」
ここ数日、さおりコーチが水泳のレッスン中、けっしてぼくと目を合わせなかったので「なんでだろう?」とあれこれ思い悩んでいたのだが、彼女の心にあったのは「退職」だった。
「遠くに引っ越すわけでもないし、嫁に行くわけでも、赤ちゃんができたわけでもないから・・・」
近くに住んでいるから2度と会えなくなるわけじゃないと言うつもりなのだろうが、それって、ぼくら生徒に対する気休めだろう?
「やめてどうするの?」
「家で静養してます」
突発性難聴でエアロビクスを教えている最中にめまいを起こし倒れたことがある彼女は、年始に体調を崩して医者に静養が必要と言われたらしい。レッスンに穴をあけ、生徒に迷惑をかけるのは嫌だと・・・。
「・・・わかった。んで、復帰はいつごろ?」
「・・・」
ブログって日記のように日々の出来事やその日に思ったことを書くのが一般的なのだろうが、心の整理がつかないと書けないこともある。この記事を書いている現在もなお、彼女の退職を受け入れることができないでいる。
「私の後は大竹コーチが引き継ぎますから・・・」
「大竹先生って一緒に泳いでくれないじゃないですか。さおり先生は一緒に泳いでくれるから大好きなんだ」
「・・・ありがとう」
信じていれば夢は叶うだなんて言うつもりはない。だけど、信じてなければ成し得ないことがある。それを教えてくれたのが、さおりコーチ、あなただ。夢はけっして諦めないこと。
頑張っているあなたの姿に、ぼくは勇気づけられていた。
会うたびに笑顔が交差する。今を生きている実感が浮かんでた1年。
あれやこれやで疲れていても、ぼくを前に進ませてくれてた。
・・・あなたに「ありがとう」が言えるのはもっともっと先です。たぶん。
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