ファインダー越しに目が合うと必ず微笑んでくれるそんな彼女。彼女からはカメラの陰に隠れたぼくの顔は見えないはずなのだが、ちっぽけなレンズを介して無言の会話がある。
「ちゃんと撮ってね」
「もちろんっす。レンズはずっと追いかけてるよ」
とか
「今日も来たの?」
「うん」
とか
・・・大道芸のスナップショットを撮るアマチュア・カメラマンは多い。だが、ぼくの写真は居並ぶカメラマンたちとはまったく違うショットだ。レンズの向きとそしてシャッターを押すタイミングでその違いがわかる。ぼくが撮りたいのは、ベリーダンサーの優雅な身のこなしや、きらびやかな衣装じゃなくて、被写体であるダンサーの人生を濃縮させたような一枚。数々のドラマを一枚の写真に写し出せたらといつも思う。
この日、パフォーマンスが始まって、しばらくは彼女の表情は硬かった。肌寒い天候だったせいもあったのだろう。
ぼくは、最初は彼女がダンサーたちの中にいることに気が付かなかった。というのも、ポジション取りに失敗して、観客の最前列だったからだ。低位置でしかも正面だと、レンズをあちこち向けるのは左右で写真を撮っている人たちの邪魔になるので難しかった。
この砂かぶり(かぶりつき?)のポジションを選んだのは、背景として日本丸をあしらえるからなのだが、その一方で、目の前のダンサーたちをやや下めから見上げる格好になる。
・・・つまり、路傍の石のごとくダンサーたちとは視線が全く交差しないポジション。
それでも、列の端っこの方で踊っていた彼女はぼくが隣を気にしながら向けたレンズに微笑んでくれた。そして、写真が撮りやすいように、ポジションを微妙に変えてくれた。
彼女の踊りは、観ているこちらまで踊る楽しさが伝わってくる。
こんなんで、彼女にはいつも感謝している。実際に彼女と言葉を交わしたことなんかないけど・・・。
いつも、写真を撮らせてくれてありがとう。そして、今度の野毛でもよろしく。
ご訪問&最後まで読んでくださりありがとうございます。
お帰りの際、ひとつクリックお願いします。
お手数かけてすいません。
↓↓↓↓↓↓
にほんブログ村
記憶に残るお弁当 下田ダイバーズ