tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

足音が響いた日(2)

2015-08-18 23:33:06 | 日記

(昨日からの続き)
あの日、首都圏も被災地だった。
地震の揺れや液状化現象、地盤沈下などによって、東京湾を含む関東南部に至る広大な範囲で、人々の生活に必須なライフラインが寸断された。
あの日、一晩中、歩きとおして、自宅へ帰り着いた女性から聞いた話。

途中、JRの高架を潜ると、作業員たちが線路を点検していた。
渋滞が続く千葉街道からJR津田沼へ。時計はとっくに2時を回っている。
津田沼十字路から藤崎交番前に差し掛かったとき、彼女は森林公園の向こうのほうで「ザッ、ザッ」という大勢の人の足音を聞いた。
それも、行進しているようにそろった足音だった。

以上が彼女から聞いた話。
・・・深夜に聞こえた多くの人の足音。状況が状況だから、彼女が幻聴を聞いたとすれば、その説明は簡単だ。
未曾有の災害に精神的に参ってた上に、寒い夜更けを長時間歩いていた。肉体的な疲れが、幻聴のひきがねとなったのかもしれない。
だがあの辺りは、かつて「一望千里」とうたわれ、戦前、騎砲兵大隊が置かれ、騎兵たちが訓練に明け暮れる日々を過ごしてた場所だ。
あそこを起点として、習志野原に点在する各陸軍施設をつないだ軍用鉄道が敷設され、物資・兵員の輸送や運転手の訓練などに活用された。
とすれば、彼女が聞いた足音は、戦争で亡くなった多くの方たちが祖国に起きた災害のために立ち上がり、街を何とかしようと動き出した足音に思えてならない。
多くの足音が聞こえたというあの日。そんな「幽霊」の話は、もっと被害が大きかった場所にもある。

震災の翌年3月。AFP通信による「東日本大震災から1年、石巻で語られる『幽霊』の噂」という記事があった。
またNHKも、2013年8月に「亡き人との“再会”~被災地 三度目の夏に~」という番組を放映。
亡くなった人たちに出会った人は、みな「幽霊」を怖がらない。恐がるのではなく、慈しむ。
震災で大切な人を失った人たちにとって、「たとえこの世にいなくても、あの世で生きている」と考えることが明日へ一歩を踏み出すための大きな力になっているのかもしれない。
4年目か。
合掌。。

(もう秋近し。いつまで怪談やってんのとの声もありまして・・・
今年のブログエアコンの稼動を終了させていただきます。おつきあい、ありがとうございました。)


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