花天井ができるほど花が密生する毛利庭園。満開の頃には、桜の花が電灯色にライトアップされる。暖かみのある夜桜景色。
昔は淡い月明かりに照らされた夜桜だった。闇夜にうっすらと桜の花が浮かび上がった。
「清水へ祇園をよぎる桜月 こよひ会う人みなうつくしき」 与謝野晶子
京都と言えども明治よりも前の時代の夜はまだ百鬼夜行のころ。電灯が各地で設置され出したのは1887年のこと。
「わたしの夜の太陽よ」、「たった一つの電灯よ」。
「わたしの暗い心から 吐息とともに込み上げる 思想の水を導いて
机にててらす電灯よ」
晶子先生は夜桜になにを想ったのだろう。
♪桜色舞うころ めぐる木々たちだけが ふたりを見ていたの