内戦が続くシリアでは、さまざまな勢力が入り乱れて戦闘が繰り返されてきた。続く内戦で、国境はあいまいなものとなった。トルコとの国境は、過激派組織に加わるために世界各国からやってきた若者たちにとっての入り口となる一方、内戦で家を追われた人たちにとっては出口となった。
アメリカは1930年代にサウジアラビアで石油の利権を獲得し、巨額の利益を上げてきた。石油を安定的に確保し、利権を守るため中東の安定が必要だった。
また、アメリカは国内にユダヤ人を多く有し、アラブ諸国の反対を押し切って建国されたユダヤ国家のイスラエルは、アラブ諸国と紛争を繰り返してきた。
2010年の年末に北アフリカのチュニジアで始まり、瞬く間にアラブ諸国に広がった、「アラブの春」。独裁を終わらせ、民主化を実現しようという動きだった。
独裁政権によって維持されていた中東の秩序は崩れていったが混乱も招いた。
かつて中東では、記憶に新しい湾岸戦争、イラク戦争などアメリカが思い切った関与をして秩序を形づくってきた。トランプ大統領はエルサレムをイスラエルの首都と認めたことでパレスチナ側の怒りを買い、中東和平の見通しはつかなくなっている。さらにシェール革命で、アメリカは巨大な埋蔵量を持つエネルギー大国となり、中東に依存する必要はなくなった。それと同時に世界の温暖化ガスをアメリカが激増させていくことになろう。
中東に対するアメリカの関与が弱まって影響力が高まったのはロシア。シリアをめぐり、トルコやイランとの関係を深めている。しかしロシアが中東にどう関与しようとしているのかはまだ見えない。だが、ねらいはシリア復興利権だ。
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