邦訳は『この星でいちばん美しい愛の物語』。この小説を読んだフランスの詩人ルイ・アラゴンが「これは世界でいちばん美しい愛の物語である」と、フランス語版の本書に書き記した文が邦訳のタイトルとなっている。
人はどの瞬間から恋に落ちるものなのだろう。彼女は自分たちが仕掛けたちょっとしたいたずらに、何とも思ってなかった男が命をかけていたずらをクリアした時に恋に落ちた。落ちたらもう逃れることはできない。
ラブストーリではあるが、主人公は幼い男の子。戦争という特殊な状況下で、一人前の男にならなきゃと自覚を持つ。だがやはり子供だ。戦争に取られた若い兄の新婚の女性に「大人の女性に対するのあこがれ」を抱く。
戦争が生み出した悲劇は、こんなキルギスの山奥の田舎の村にも訪れる。時代が悪かった、運が悪すぎた。そんな陳腐な言葉でひとくくりにまとめられてしまうものなのだろう。そういう意味で、この小説は幼い恋心がテーマというよりも、作者の反戦のメッセージがかすかに感じられる。戦争を超えた新しい生活。閉鎖的な村社会でも憧れの世界なのだろう。
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