第434回企業会計基準委員会の概要
https://www.asb.or.jp/jp/project/proceedings/y2020/2020-0528.html
令和元年改正会社法により,取締役の報酬について株式の無償発行が認められることになるが,法務省が基準諮問会議にその会計処理の検討を依頼し,同会議からの提言を踏まえ,企業会計基準委員会が検討を行っている。
この検討を基に,7月又は8月頃に公開草案が公表され,その整理を受けて,会社計算規則の改正案が取りまとめられ,パブコメが行われる予定となっている。
法制審議会部会資料23の注記に記載されている「ストック・オプション等に関する会計基準(企業会計基準第8号)における新株予約権の計上に係る取扱い」を準用する方向であるようだ。
cf. 法制審議会部会資料23-10頁
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900366.html
募集株式と引換えに金銭の払込みを要しない旨を募集事項として定めて行う株式の発行及び当該新株予約権の行使に際してする出資を要しない旨をその内容とする新株予約権の行使があった場合に増加する資本金及び資本準備金の額の合計額は,株主となる取締役が提供した役務の対価の額とするものとすることで,どうか。例えば,ストック・オプション等に関する会計基準(企業会計基準第8号)を参考とすると,次のようなものとすることが一案として考えられる(なお,以下では,議論を単純にするため,自己株式の処分ではなく,募集株式の発行であることを前提としている。)。
1 いわゆる事前交付型の株式報酬
① 当該株式を付与し,これに応じて発行会社が取締役から提供を受ける役務は,その提供に応じて費用として計上し(企業会計基準第8号第4項参照),対応する金額を資本金又は資本準備金として計上する。
② 各会計期間における費用計上額は,当該株式の公正な評価額のうち,対象期間を基礎とする方法その他の合理的な方法に基づき当期に発生したと認められる額として算定する(企業会計基準第8号第5項参照)。
③ 付与日から権利確定日の直前までの間に,権利不確定,すなわち当該株式の無償取得の見積数に重要な変動が生じた場合や,権利確定日において無償取得の数が確定した場合において,費用の戻入れをする必要がある場合には(企業会計基準第8号第7項(2)(3)参照),対応する金額をその他資本剰余金から減額する。
2 いわゆる事後交付型の株式報酬
当該株式の交付を受けることができる権利については,株式等交付請求権(会社計算規則第55条第8項)と同様に,新株予約権に準じて取り扱い,実際に株式会社が株式を発行するまでの間は,株主資本の額を変動させない。
3 当該新株予約権の行使に際してする出資を要しない旨をその内容とする新株予約権
行使時における当該新株予約権の帳簿価額を基に,資本金等増加限度額を定める(会社計算規則第17条参照)。