商業登記の登記事項証明書には,末尾に「登記記録区に関する事項」が記載されている。例えば,「設立 平成○年○月○日登記」とか,「平成元年法務省令第15号附則第3項の規定により 平成○年○月○日移記」などと記載されている部分がそれである。
「登記記録区に関する事項」が登記簿に記録されるのは,商業登記規則第1条別表により,
① 登記記録を起こした事由及び年月日
② 登記記録を閉鎖した事由及び年月日
③ 登記記録を復活した事由及び年月日
のいずれかを記録するものとされているからである。
ところで,過日,何気なく,「登記六法」に掲載されている商業登記等事務取扱手続準則(別記様式)登記事項証明書記載例2を眺めていたところ,同記載例には「登記記録区に関する事項」が遺漏していた。「しようがないなあ(登記六法)」とつぶやいたのであるが,実は,そもそもの遺漏であった。
この点に関しては,先般,「商業登記等事務取扱手続準則の一部改正について(通達)(平成22年4月1日法務省民商第711号)」が発出されており,「登記事項証明書記載例2を次のように改める」として,「登記記録区に関する事項」が補完されている。
cf.
商業登記等事務取扱手続準則の一部改正について(通達)(平成22年4月1日法務省民商第711号) by e-profession
なお,登記事項証明書の記載事項は,法定されており(商業登記規則第30条,商業登記等事務取扱手続準則第35条),「登記記録区に関する事項」を記載する根拠は,準則第35条第4項であると考えられる(他に見当たらない。)。
「記載例のとおり」が根拠であるよりは,規則第30条第1項を改正して,記載事項として明記すべきであると思われる。
商業登記等事務取扱手続準則
第35条 1~3 【略】
4 登記事項証明書の標準的な様式及び記載は,登記事項証明書記載例のとおりとする。