司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

会社が本店移転を転々と繰り返して,税務署の調査を逃れようとする手口を封じ込め

2021-10-31 09:38:02 | 会社法(改正商法等)
朝日新聞記事
https://digital.asahi.com/articles/ASPBZ71WGP8SOIPE007.html

 会社が本店移転を転々と繰り返して,税務署の調査を逃れようとする手口を封じ込めるために,国税通則法の改正で,今年7月から,会社が移転しても元の所在地を管轄する国税局又は税務署の職員が法人税や消費税などの調査ができるようになっているそうだ。
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大株主情報350万社に要請 法務省や銀行,マネロン点検

2021-10-27 20:09:24 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2020R0Q1A021C2000000/

「法務省と金融庁、金融機関は2022年1月から非上場を含む株式会社に、大株主に関する情報を法務局に提出するよう促す。マネーロンダリング(資金洗浄)に関わった不審な企業や人物が大株主になっていないか点検する。」(上掲記事)

「実質的支配者情報リスト」制度は,令和4年1月31日からスタートする。

 なお,もちろんのことであるが,法務省や法務局は,マネー・ローンダリングを「点検」するわけではない。新制度の事務を所管するだけである。「点検」するのは,あくまで金融機関等の特定事業者である。


「全国銀行協会は会員銀行に制度の利用を呼びかける。例えば口座を開設しようとする企業に対し、審査書類として添付を求める。銀行の裁量で、新規融資や更新の際にも再提出を要求できる。大手銀行だけでなく、地方銀行や信用金庫なども足並みをそろえる見通し。」(上掲記事)

 金融機関が,顧客である株式会社に対して,継続的顧客管理として定期的に「実質的支配者情報リスト」の提出を求めることになれば,新制度は,急速に普及するであろう。


「ただ、非上場の中堅・中小まで含めた株式会社に提出を義務付けるなら会社法などの改正が必要になり、実現まで数年かかる可能性がある。FATFは法人の「実質的支配者の確認」について、金融機関の対応が不十分だと指摘する。迅速な対応が必要なため、まずは任意で提出を求める。今後は法改正などを通じた義務付けに踏み込むかが課題になる。」(上掲記事)

 法的には,株式会社がこの制度を利用するか否かは「任意」であるが,上記のとおり金融機関が定期的に提出を求めることになれば,事実上スタンダードになるであろう。

 司法書士界としても,職業専門家として,顧客等に対して新制度を周知することが急務である。

cf. 実質的支配者リスト制度の創設(令和4年1月31日運用開始)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00116.html
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眞子さんの結婚,「皇統譜」に登録

2021-10-27 19:20:33 | いろいろ
NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211027/k10013324111000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_047

「出生」による皇族身分の取得と「婚姻」による皇族身分の離脱のみが登録されていますね。

 婚姻届の証人も,宮内庁長官と書陵部長のお二人でしょうか?

 ちなみに,官報に宮内庁告示が掲載されています。

「眞子内親王殿下は、令和3年10月26日、小室圭と結婚のため、皇室典範第12条の規定により、皇族の身分を離れられる。」(令和3年宮内庁告示第4号)

cf. 官報
https://kanpou.npb.go.jp/20211026/20211026h00603/20211026h006030003f.html

 官報に公告が掲載される根拠は,下記の内閣府令でしょうか。

〇 官報及び法令全書に関する内閣府令
 (官報)
第1条 官報は、憲法改正、詔書、法律、政令、条約、内閣官房令、内閣府令、省令、規則、庁令、訓令、告示、国会事項、裁判所事項、人事異動、叙位・叙勲、褒賞、皇室事項、官庁報告、資料、地方自治事項及び公告等を掲載するものとする。
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キャリアのため「ペーパー離婚」選ぶ女性も

2021-10-27 18:31:25 | 民法改正
毎日新聞記事
https://mainichi.jp/articles/20211026/k00/00m/010/020000c?fbclid=IwAR1_kEPs_IZLzVustvT82jW02DR2kUwy2F6RW_KzBdkaMxkDtcYMldShwy4

 衆議院選挙を前に,「選択的夫婦別姓」問題に関して,詳細記事。

「そこで2人が考え出した結論はこうだ。まず日本で離婚し、女性が戸籍上、旧姓に戻る。夫の海外赴任前に第三国を2人で訪れ、婚姻証明を発給してもらう。その後、赴任先に渡航する――。これで別姓と婚姻関係が両立するというわけだ。」(上掲記事)

 テクニカルな方法であるが・・・。
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全株懇「会社法改正,株主総会資料の電子提供制度に係る定款モデルの改正について」

2021-10-26 18:14:04 | 会社法(改正商法等)
全株懇「会社法改正、株主総会資料の電子提供制度に係る定款モデルの改正について」
http://www.kabukon.net/pic/study_2021_05.pdf

「会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)により導入される株主総会資料の電子提供制度が、2022年中に施行される予定であることから、別紙のとおり、「定款モデル」を改正することとします。なお、定款モデル改正の効力発生日は電子提供制度の施行日とします。」

 令和4年中に施行される予定。
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マネー・ローンダリング等の「疑わしい取引」をAIが分析

2021-10-26 16:54:04 | いろいろ
讀賣新聞記事
https://www.yomiuri.co.jp/national/20211025-OYT1T50124/?from=rss

「マネーロンダリング(資金洗浄)などの可能性がある「疑わしい取引」について、警察庁は来年3月にも、人工知能(AI)を活用した分析を始める。年間40万件超の届け出から犯罪性が高いものを自動的に選別し、業務の効率化を進める」

「届け出が端緒で摘発された事件は昨年、口座の不正譲渡や違法薬物の取引など1028件あった。」(上掲記事)

 40万件のうち約1000件・・。
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空き地売買で,地面師事件

2021-10-26 15:16:48 | 不動産登記法その他
NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211026/k10013322111000.html

「売り主は都内の別の不動産会社でしたが、3人のうち1人がこの会社に社員として入り込み、売買契約の窓口となって被害者を信用させた疑いがあるということです。
 そのうえで、売り主の会社と同じ名前の別会社を設立し、その口座に売買代金を振り込ませていたということです。
 支払い期日を過ぎても売り主の口座に入金がなかったことから被害が発覚したということで、警視庁が詳しいいきさつを調べています。」(上掲記事)

 いわゆる成りすまし事件ではなく,売主である会社に仲間を入社させ,普通に売買取引を仕組んで,売買代金の振込先を「同名の別会社の口座」に指定した,ということであるようだ。

 仲間を潜入させるとは,江戸時代の盗賊の手口のようだ。
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「伝染病隔離者遺言の再考・再生に向けて ─コロナ禍の今」

2021-10-25 19:56:10 | 民法改正
月報司法書士2021年7月号
https://www.shiho-shoshi.or.jp/monthlyrep/53364/

 上記に,特集「遺言書作成・基礎の基礎」があり,松尾知子「伝染病隔離者遺言の再考・再生に向けて ─コロナ禍の今」が掲載されている。民法第977条に関する稀有の論考である。

民法
 (伝染病隔離者の遺言)
第977条 伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者は、警察官一人及び証人一人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。

 不思議な条文であると思っていたが,

「現在の防疫業務は政府と地方自治体が当たるが、戦前は感染症対策も警察の重要任務で、多くの犠牲者も出ていた・・・・・警察行政は戦前、特別高等警察を所管する「警保局」や、地方行財政を担当する「地方局」を持つ内務省に管轄された。防疫は警保局の仕事で、感染症が流行すれば、現在の厚生労働省のように対策や予防広報などで活動した。」(後掲東京新聞記事)

ということだったようだ。

cf. 東京新聞記事
https://www.tokyo-np.co.jp/article/17239

福山道義「衛生警察行政の転換点(昭和17年)」
https://fukuoka-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=3034&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1

 民法第977条の立法事実といえるであろうが,ということであれば,現代においては,「条文自体の存在意義が問われる」(上掲月報司法書士24頁)といえようか。
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鹿児島にて

2021-10-24 19:09:48 | 会社法(改正商法等)
 昨日(23日)は,鹿児島県司法書士会会員研修会で,「令和元年改正会社法と改正商業登記規則における実務」をお話。「実質的支配者情報リスト」「会社関係書類の電子化」についても詳説しました。

 ハイブリッド研修ですが,リアル出席は,設営担当の方を含めて10名弱で,会員総数の約3分の1の方々がオンラインで受講とのこと。時代は変わりました。

 お世話になった先生方,ありがとうございました。
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法務大臣閣議後記者会見の概要「選択的夫婦別氏制度に関する質疑について」

2021-10-18 20:14:07 | 民法改正
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和3年10月15日(金))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00242.html

○ 選択的夫婦別氏制度に関する質疑について
【記者】
 選択的夫婦別氏制度についてお尋ねいたします。先日行われた衆・参の代表質問では,制度導入に関する質問が多く上がり,また,野党の多くは今回の総選挙の中で制度の実現を公約で掲げています。
 1996年の法制審の答申以降,法改正には至っていませんが,古川大臣個人として,選択的夫婦別氏制度についてどのようなお考えをお持ちか,お聞かせください。

【大臣】
 夫婦の氏をどのように定めるかは,一人一人の家族観にも影響を及ぼしうるものであり,国民的な議論も踏まえ,意見の集約が図られることが望ましいと考えています。
 選択的夫婦別氏制度の導入については,国民の間にも様々な意見があるところであり,引き続き,しっかりと議論すべき問題であると考えています。
 法務省としては,議論がより充実したものとなるように,過去の法制審議会での検討の経過等について,積極的に情報提供をするなどして,協力していきたいと思っています。
 今後も情報提供を積極的に行っていきたいと思っています。
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裁判書HPの判例集に誤字が数多発見

2021-10-18 19:44:16 | 民事訴訟等
日刊スポーツ
https://www.nikkansports.com/general/news/202110170000950.html

「最高裁の判例管理を巡っては「判例集」のほか、裁判所ホームページの「裁判例検索」システムから閲覧できる過去の判例のデータにも誤字脱字などのミスが多数見つかった。法務大臣が「法務大巨」、検察官が「検祭官」になっていたケースもあり、最高裁は判明した部分から随時修正する方針だ。」(上掲記事)

 本当にありました。

法務大「巨」
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50555
※ 1件

検「祭」官
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51855
※ その他全67件

弁護「入」
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50924
※ その他全35件

 古い時代の判決が多いようなので,おそらく紙の裁判書をスキャンしてOCR変換した際に誤変換し,それを整序してPDFデータ化する際に誤変換を看過して,HPに掲載してしまったものであるようだ。
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「相続登記の申請が義務化されます」

2021-10-18 17:59:48 | 不動産登記法その他
 納税月報2021年8月号に拙稿「相続登記の申請が義務化されます(前編)」が,同じく11月号に拙稿「相続登記の申請が義務化されます(後編)」が掲載されています。

「前編」では「相続登記の義務化について」,「後編」では「負動産の所有権を放棄する手続について」を解説しています。

 一般向けですが。
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外国に在る日本人の遺言の方式に係る押印規制の見直し

2021-10-18 14:55:36 | 民法改正
デジタル手続法整備法による民法の一部改正(令和3年5月19日法律第37号〔第1条〕 令和3年9月1日から施行)
https://www.sn-hoki.co.jp/article/pickup_hourei/pickup_hourei1465819/

「日本の領事の駐在する地に在る日本人が公正証書又は秘密証書によって遺言をしようとするときに、公証人の職務を領事が行う場合においては、遺言者及び証人は、民法第九六九条第四号又は第九七〇条第一項第四号の印を押すことを要しないこととした。(第九八四条関係)」

 何と,改正されていた。

改正後民法
 (外国に在る日本人の遺言の方式)
第984条 日本の領事の駐在する地に在る日本人が公正証書又は秘密証書によって遺言をしようとするときは、公証人の職務は、領事が行う。この場合においては、第969条第4号又は第970条第1項第4号の規定にかかわらず、遺言者及び証人は、第969条第4号又は第970条第1項第4号の印を押すことを要しない。

cf. 令和3年1月19日付け「脱ハンコに挑む(2)~海外での公正証書による遺言に係る遺言書の作成」
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グリー,バーチャルオンリー株主総会のオンデマンド動画を公開

2021-10-17 08:39:42 | 会社法(改正商法等)
グリー株式会社
https://corp.gree.net/jp/ja/ir/stock/meeting/2021/

 先日開催されたバーチャルオンリー株主総会の動画が公開されている。
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実質的支配者情報リスト制度の創設(令和4年1月31日運用開始)

2021-10-16 12:33:39 | 会社法(改正商法等)
実質的支配者情報リスト制度の創設(令和4年1月31日運用開始)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00116.html

 書式等の様式や,ポスター,チラシ等が追加されている。

 政府の行動計画では,新設される「実質的支配者情報リスト」を極めて重要視しているようである。したがって,株式会社は,今後,様々な取引等の場面で,この「実質的支配者情報リスト」を要求されることになると思われる。司法書士としては,関係先への周知に努め,「保管等の申出」の手続に積極的に関与していくべきであろう。

 株式会社において,この制度の利用は,任意とされているが,犯収法上の実務的には,活用が必須ということになると思われる。

 余談ながら,商業登記所は,現在,84庁であるようだ。
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