日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2020R0Q1A021C2000000/
「法務省と金融庁、金融機関は2022年1月から非上場を含む株式会社に、大株主に関する情報を法務局に提出するよう促す。マネーロンダリング(資金洗浄)に関わった不審な企業や人物が大株主になっていないか点検する。」(上掲記事)
「実質的支配者情報リスト」制度は,令和4年1月31日からスタートする。
なお,もちろんのことであるが,法務省や法務局は,マネー・ローンダリングを「点検」するわけではない。新制度の事務を所管するだけである。「点検」するのは,あくまで金融機関等の特定事業者である。
「全国銀行協会は会員銀行に制度の利用を呼びかける。例えば口座を開設しようとする企業に対し、審査書類として添付を求める。銀行の裁量で、新規融資や更新の際にも再提出を要求できる。大手銀行だけでなく、地方銀行や信用金庫なども足並みをそろえる見通し。」(上掲記事)
金融機関が,顧客である株式会社に対して,継続的顧客管理として定期的に「実質的支配者情報リスト」の提出を求めることになれば,新制度は,急速に普及するであろう。
「ただ、非上場の中堅・中小まで含めた株式会社に提出を義務付けるなら会社法などの改正が必要になり、実現まで数年かかる可能性がある。FATFは法人の「実質的支配者の確認」について、金融機関の対応が不十分だと指摘する。迅速な対応が必要なため、まずは任意で提出を求める。今後は法改正などを通じた義務付けに踏み込むかが課題になる。」(上掲記事)
法的には,株式会社がこの制度を利用するか否かは「任意」であるが,上記のとおり金融機関が定期的に提出を求めることになれば,事実上スタンダードになるであろう。
司法書士界としても,職業専門家として,顧客等に対して新制度を周知することが急務である。
cf. 実質的支配者リスト制度の創設(令和4年1月31日運用開始)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00116.html