いよいよ,明日(令和元年7月1日),改正相続法の原則施行期日を迎えますね。
ところで,遺産分割前における預貯金債権の行使(新民法第909条の2)については,施行日前に開始した相続に関しても,新法が適用されるものとされている(改正附則第5条第1項)。
改正後の民法
(遺産の分割前における預貯金債権の行使)
第909条の2 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の3分の1に第900条及び第901条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。
改正附則
(遺産の分割前における預貯金債権の行使に関する経過措置)
第5条 新民法第909条の2の規定は、施行日前に開始した相続に関し、施行日以後に預貯金債権が行使されるときにも、適用する。
2 施行日から附則第1条第3号に定める日の前日までの間における新民法第909条の2の規定の適用については、同条中「預貯金債権のうち」とあるのは、「預貯金債権(預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権をいう。以下同じ。)のうち」とする。
この点,預貯金債権についての仮分割の仮処分(新家事事件手続法第200条第3項)に関しては,特段の経過措置は設けられていなかったが・・。
改正後の家事事件手続法
(遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分)
第200条 【略】
2 【略】
3 前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。以下この項において同じ。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。
4 【略】
改正附則
(家事事件手続法の一部改正に伴う経過措置)
第11条 第3条の規定による改正後の家事事件手続法(以下「新家事事件手続法」という。)第3条の11第4項の規定は、附則第1条第5号に掲げる規定の施行の日前にした特定の国の裁判所に特別の寄与に関する処分の審判事件(新家事事件手続法別表第二の十五の項の事項についての審判事件をいう。)の申立てをすることができる旨の合意については、適用しない。
2 施行日から第3号施行日の前日までの間における新家事事件手続法第200条第3項の規定の適用については、同項中「民法第466条の5第1項に規定する預貯金債権」とあるのは、「預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権」とする。
しかし,法務省HPの経過措置に関する解説によると,「家事事件手続法第200条第3項の規律については,明文の規定はないが,当然に新法適用(法附則第2条の適用はない。)」と解されているようである。
cf. 経過措置について
http://www.moj.go.jp/content/001297949.pdf?fbclid=IwAR2OkvQ8ij9mOEQCjmAp_vwNtLXvE4gElA-VrvcccW906TjwYnZ4ctFj560
民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00222.html
ん~,附則第2条で,施行日前に開始した相続については「なお従前の例による」(旧法主義)ことを明らかにしながら,「明文の規定はないが,当然に新法適用」は苦しいように思われるが・・。
「一問一答」にもない論点であり,突然現れた感も・・。
実務的には,新法適用が望ましいと考えられるので,歓迎すべきともいえるが。
とまれ,実務上重要な点であるので,御留意のほどを。
ところで,遺産分割前における預貯金債権の行使(新民法第909条の2)については,施行日前に開始した相続に関しても,新法が適用されるものとされている(改正附則第5条第1項)。
改正後の民法
(遺産の分割前における預貯金債権の行使)
第909条の2 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の3分の1に第900条及び第901条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。
改正附則
(遺産の分割前における預貯金債権の行使に関する経過措置)
第5条 新民法第909条の2の規定は、施行日前に開始した相続に関し、施行日以後に預貯金債権が行使されるときにも、適用する。
2 施行日から附則第1条第3号に定める日の前日までの間における新民法第909条の2の規定の適用については、同条中「預貯金債権のうち」とあるのは、「預貯金債権(預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権をいう。以下同じ。)のうち」とする。
この点,預貯金債権についての仮分割の仮処分(新家事事件手続法第200条第3項)に関しては,特段の経過措置は設けられていなかったが・・。
改正後の家事事件手続法
(遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分)
第200条 【略】
2 【略】
3 前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。以下この項において同じ。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。
4 【略】
改正附則
(家事事件手続法の一部改正に伴う経過措置)
第11条 第3条の規定による改正後の家事事件手続法(以下「新家事事件手続法」という。)第3条の11第4項の規定は、附則第1条第5号に掲げる規定の施行の日前にした特定の国の裁判所に特別の寄与に関する処分の審判事件(新家事事件手続法別表第二の十五の項の事項についての審判事件をいう。)の申立てをすることができる旨の合意については、適用しない。
2 施行日から第3号施行日の前日までの間における新家事事件手続法第200条第3項の規定の適用については、同項中「民法第466条の5第1項に規定する預貯金債権」とあるのは、「預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権」とする。
しかし,法務省HPの経過措置に関する解説によると,「家事事件手続法第200条第3項の規律については,明文の規定はないが,当然に新法適用(法附則第2条の適用はない。)」と解されているようである。
cf. 経過措置について
http://www.moj.go.jp/content/001297949.pdf?fbclid=IwAR2OkvQ8ij9mOEQCjmAp_vwNtLXvE4gElA-VrvcccW906TjwYnZ4ctFj560
民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00222.html
ん~,附則第2条で,施行日前に開始した相続については「なお従前の例による」(旧法主義)ことを明らかにしながら,「明文の規定はないが,当然に新法適用」は苦しいように思われるが・・。
「一問一答」にもない論点であり,突然現れた感も・・。
実務的には,新法適用が望ましいと考えられるので,歓迎すべきともいえるが。
とまれ,実務上重要な点であるので,御留意のほどを。